債権回収会社から督促状が!時効だと思うけど放置して大丈夫?

投稿日:2019年5月21日 更新日:

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債権回収会社から督促状が!時効だと思うけど放置して大丈夫?

この記事では、借金の時効についての相談事例をご紹介していきます。[1]

悩みの内容

  • 10年以上前に消費者金融で借りた借金、債権回収会社から督促状が。
  • しかし、「借金には時効がある」と聞いた。10年以上前だから、もう時効では?
  • 自分としては時効になっていると思うので、督促状を放置して大丈夫?

「自分も似たような悩みがある」という方は、ぜひご覧ください。

借金の時効は確かにある!でも「放置」では“時効にならない”

まずは、この事例の詳細情報をまとめていきます。

家族構成と収入
  性別 年齢 職業 月収
相談者(本人) 男性 60代 会社員 不明

※家族構成は不明

借金の内容
借入先 借入件数 債務残高 月々の返済額
消費者金融 1件 不明 現在はへんをしていない

相談に至る経緯

  1. 債権回収会社A社から督促状が届いた。内容は、10年以上前に返済をやめてしまった消費者金融B社の借金。督促状には、「至急電話しなければ裁判になる」と書いてある。
  2. 今まで督促がなかったのは、住民票を移動せずに引っ越しを繰り返していたから?しかし、最近になって住民票を移したら、督促状が来るようになった。

相談者の希望

  • 借金には時効があると聞いた。自分の借金はもう時効のはず。
  • 債権回収会社から取り立てを受けているが、もう時効なので放置しておいても大丈夫か知りたい。

専門家の回答:借金の時効は、「放置」では成立しない…“消滅時効の援用”手続きが必要

続いて、この相談者の悩みに対して、専門家がオススメしたアドバイスと、その理由を見ていきましょう。

専門家のアドバイス

  • 借金返済(債務)の時効は、商事債権で5年。ただし、判決を取られていると、判決の時点から10年に延長される。
  • また、時効が完成していても、債務の存在を認めると、債務承認により時効の起算点がリセットされてしまう。
  • “消滅時効の援用”をしないと、時効が成立しない。
  • 内容証明・配達記録郵便で時効援用通知書を送るだけでいいのだが、失敗のリスクがあるため弁護士・司法書士への相談が望ましい。

時効援用に強い弁護士・司法書士への相談を勧めた理由

  • 借金の時効は、複雑な法律に基づく専門的な判断が必要なため。
  • 自分で時効援用の手続きを行いたい場合でも、時効援用に強い弁護士・司法書士に一度は相談したほうが良い。

時効援用に強い司法書士に相談を行った結果

  • 確かに時効が完成しており、消滅時効援用通知を送って返済義務を消滅できた。
  • 相手方が対抗要件を備えている恐れもあったが、今のところ相手からの対抗や反論は来ておらず、時効援用に成功したものとみられる。

解説:放置では成立しない!相手が対抗してくる場合も…注意が必要な“借金の消滅時効の援用”

さて、今回は“借金返済の時効=消滅時効の援用”についての解決事例です。

どうにも時効と言うと、「時間が経つまで逃げ切れば、勝手に許される」ものだと思われがちです。
しかし、借金など債務の“消滅時効”は、ただ逃げているだけでは、永遠に成立しません。

時効が過ぎた後に、“消滅時効の援用”が必要ですが、これもまた簡単ではありません。

「いつから数えて」「何年で」時効になるのか?

そもそも、“時効の判断”そのものが非常に複雑です。

“○月○日から、○年で時効”

この“○月○日から”の部分も、“○年で時効”の部分も、○に入る数字が、状況によって変化するからです。

借り入れた日はいつなのか、だけではなく、

  • 最終返済日はいつなのか?
  • 判決を取られているか?
  • 債務承認を行ってしまっていないか?
  • 督促を受けているか?
  • いつ、どんな督促を、どこから受けたか?

…など、様々な要素によって、「いつから」「何年で」時効になるかが変化します。

これは複雑な法律にもとづく仕組みなので、しろうと判断はとても危険です。

失敗すると訴訟リスクも!相手に“反撃される”恐れもある

時効援用には、“相手から反撃を受けるリスク”もあります。

以下にご紹介するのは、時効援用通知書を送った結果、相手から「まだ時効ではない」と反論され、さらに“本気で裁判・差し押さえを行う”と、反撃を受けてしまったものです。

時効援用通知書に対して、債権者から反論が行われた際の文書の例です。書面本文の内容は次の通りです。「貴殿より平成○○年○月○日付時効援用通知書を拝受いたしました。同通知書によりますと、貴殿は弊社との金銭消費貸借約について、既に消滅時効期間が経過しているため、同通知をもって本債権の消滅時効を援用する旨を主張されております。しかしながら、本債権についきましては、弊社が債務名義(○○簡易裁判所 平成○年(ハ)第000号)を取得しており、消滅時効期間は経過しておらず、消滅時効は成立していないものと認識しております。つきましては、本書到着次第、ただちにお支払い頂きたく請求いたします。お支払いの無い場合、貴殿の財産、預金口座、勤務先等に対する強制執行を求めて、法的措置を取らせていただきますこと、予めご承知ください。

(※弁護士ドットコムをもとに当サイト作成)

相手の業者から、

「債務名義を取得しているので、消滅時効期間がまだ経過していない」
「そのため、時効援用通知書を受け取ったが、時効はまだ成立していない」

このように反論され、さらに

「ただちに全額を支払うよう請求する」
「支払がない場合、財産、預金口座、勤務先などに対する強制執行(差し押さえ)を求めて、裁判所に訴える」

…と宣言されてしまっています。

時効援用に失敗したのみならず、時効援用通知書を送ったことで、「この債務者は返済する気がない」「時効まで逃げ切るつもりだ」と判断されたのでしょう。

結果、相手業者としても、「時効まで逃がすわけにはいかない」と、本気で裁判・差し押さえを行う構えになったようです。


このように、時効援用は安易に自分で行うと、大変な失敗のリスクがあります。

だからこそ、自分で時効援用通知書を作って送りたい場合でも、弁護士・司法書士への相談が必須です。

★借金の消滅時効は、弁護士・司法書士にかならず無料相談を

解説してきた通り、借金などの返済で「もう時効かもしれない」と思ったら、かならず弁護士や司法書士に相談しましょう。

次の記事で、無料で消滅時効の相談ができる弁護士・司法書士をまとめています。
お悩みの方は、こちらも是非ご覧ください。

消滅時効の援用に強い弁護士・司法書士

 


--脚注、参考資料--
[1]本記事は、下記資料掲載の事例をもとにしています。
返済困難者相談支援の相談事例集
平成30年10月 大阪府商工労働部中小企業支援室金融課 相談事例C-(3)

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