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この記事では、借金の時効についての相談事例をご紹介していきます。[1]
悩みの内容
- 10年以上前に消費者金融で借りた借金、債権回収会社から督促状が。
- しかし、「借金には時効がある」と聞いた。10年以上前だから、もう時効では?
- 自分としては時効になっていると思うので、督促状を放置して大丈夫?
「自分も似たような悩みがある」という方は、ぜひご覧ください。
借金の時効は確かにある!でも「放置」では“時効にならない”
まずは、この事例の詳細情報をまとめていきます。
性別 | 年齢 | 職業 | 月収 | |
相談者(本人) | 男性 | 60代 | 会社員 | 不明 |
※家族構成は不明
借入先 | 借入件数 | 債務残高 | 月々の返済額 |
消費者金融 | 1件 | 不明 | 現在はへんをしていない |
相談に至る経緯
- 債権回収会社A社から督促状が届いた。内容は、10年以上前に返済をやめてしまった消費者金融B社の借金。督促状には、「至急電話しなければ裁判になる」と書いてある。
- 今まで督促がなかったのは、住民票を移動せずに引っ越しを繰り返していたから?しかし、最近になって住民票を移したら、督促状が来るようになった。
相談者の希望
- 借金には時効があると聞いた。自分の借金はもう時効のはず。
- 債権回収会社から取り立てを受けているが、もう時効なので放置しておいても大丈夫か知りたい。
専門家の回答:借金の時効は、「放置」では成立しない…“消滅時効の援用”手続きが必要
続いて、この相談者の悩みに対して、専門家がオススメしたアドバイスと、その理由を見ていきましょう。
専門家のアドバイス
- 借金返済(債務)の時効は、商事債権で5年。ただし、判決を取られていると、判決の時点から10年に延長される。
- また、時効が完成していても、債務の存在を認めると、債務承認により時効の起算点がリセットされてしまう。
- “消滅時効の援用”をしないと、時効が成立しない。
- 内容証明・配達記録郵便で時効援用通知書を送るだけでいいのだが、失敗のリスクがあるため弁護士・司法書士への相談が望ましい。
時効援用に強い弁護士・司法書士への相談を勧めた理由
- 借金の時効は、複雑な法律に基づく専門的な判断が必要なため。
- 自分で時効援用の手続きを行いたい場合でも、時効援用に強い弁護士・司法書士に一度は相談したほうが良い。
時効援用に強い司法書士に相談を行った結果
- 確かに時効が完成しており、消滅時効援用通知を送って返済義務を消滅できた。
- 相手方が対抗要件を備えている恐れもあったが、今のところ相手からの対抗や反論は来ておらず、時効援用に成功したものとみられる。
解説:放置では成立しない!相手が対抗してくる場合も…注意が必要な“借金の消滅時効の援用”
さて、今回は“借金返済の時効=消滅時効の援用”についての解決事例です。
どうにも時効と言うと、「時間が経つまで逃げ切れば、勝手に許される」ものだと思われがちです。
しかし、借金など債務の“消滅時効”は、ただ逃げているだけでは、永遠に成立しません。
時効が過ぎた後に、“消滅時効の援用”が必要ですが、これもまた簡単ではありません。
「いつから数えて」「何年で」時効になるのか?
そもそも、“時効の判断”そのものが非常に複雑です。
“○月○日から、○年で時効”
この“○月○日から”の部分も、“○年で時効”の部分も、○に入る数字が、状況によって変化するからです。
借り入れた日はいつなのか、だけではなく、
- 最終返済日はいつなのか?
- 判決を取られているか?
- 債務承認を行ってしまっていないか?
- 督促を受けているか?
- いつ、どんな督促を、どこから受けたか?
…など、様々な要素によって、「いつから」「何年で」時効になるかが変化します。
これは複雑な法律にもとづく仕組みなので、しろうと判断はとても危険です。
失敗すると訴訟リスクも!相手に“反撃される”恐れもある
時効援用には、“相手から反撃を受けるリスク”もあります。
以下にご紹介するのは、時効援用通知書を送った結果、相手から「まだ時効ではない」と反論され、さらに“本気で裁判・差し押さえを行う”と、反撃を受けてしまったものです。
(※弁護士ドットコムをもとに当サイト作成)
相手の業者から、
「債務名義を取得しているので、消滅時効期間がまだ経過していない」
「そのため、時効援用通知書を受け取ったが、時効はまだ成立していない」
このように反論され、さらに
「ただちに全額を支払うよう請求する」
「支払がない場合、財産、預金口座、勤務先などに対する強制執行(差し押さえ)を求めて、裁判所に訴える」
…と宣言されてしまっています。
時効援用に失敗したのみならず、時効援用通知書を送ったことで、「この債務者は返済する気がない」「時効まで逃げ切るつもりだ」と判断されたのでしょう。
結果、相手業者としても、「時効まで逃がすわけにはいかない」と、本気で裁判・差し押さえを行う構えになったようです。
このように、時効援用は安易に自分で行うと、大変な失敗のリスクがあります。
だからこそ、自分で時効援用通知書を作って送りたい場合でも、弁護士・司法書士への相談が必須です。
--脚注、参考資料--
[1]本記事は、下記資料掲載の事例をもとにしています。
返済困難者相談支援の相談事例集
平成30年10月 大阪府商工労働部中小企業支援室金融課 相談事例C-(3)