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- 賃貸物件で、退去時に返ってくる予定の“敷金”。この敷金を返してもらう権利=敷金返還請求権が、債権執行(差し押さえ)の対象になる場合がある。
- 敷金返還請求権の差押えは、本人ではなく物件の貸主(大家さん)に対して行われる。
- 敷金が差し押さえられると、一円も敷金が戻ってこない。
- こうした法的措置を防ぐためにも、債務整理の相談は、早めに行ったほうが良い。
借金やクレジットカード、ローンなどの滞納で、もっとも恐ろしいのは“強制執行・差し押さえ”です。
「借金が返せなくなって、差押えの予告書が来た。でも、私は貧乏で家も賃貸アパートだし、差し押さえられる財産なんてないから大丈夫」
そう思っている人も、実際には“差し押さえの対象になる財産”を、いくつも持っている場合があります。
自分でも“思いもよらないもの”が、財産として、差し押さえられてしまう…。
そんなケースの一つとして、今回は、「敷金返還請求権の差押え」について、ご説明していきます。
退去時に返ってくるはずの“敷金”、差押えの対象に?実例をチェック
まずは“実際にあった事例”から、ご覧いただきたいと思います。
次の画像は、実際に法律事務所(弁護士事務所)から督促を受けた方の“訴訟予告書”の写真です。
出典:Yahoo!知恵袋
文面の中から、ポイントになる部分を書き出してみます。
1:貴殿が給与所得者であれば、勤務先からの給与債権を差押え
2:貴殿が個人事業主で、売掛金などの債権を取引先に有すれば、その債権を差押え
3:貴殿のご自宅が賃貸物件であれば、敷金返還請求権を差押え
4:貴殿がご自宅を所有されていれば、その所有権を差し押さえた上で競売を申し立て
5:更には、ご自宅内にある家具など、調査しうる範囲の貴殿の資産に対して執行手続きを申し立て
さまざまな財産が“差し押さえの対象”として列挙されていますが、その中に、「敷金返還請求権」も書いてありますね。
これは、「賃貸物件の退去時に、敷金を返してもらう権利」です。今はまだ入居中なので、敷金返還請求権は発生していない…という場合も、“将来、いつかは発生するであろう権利”と言えるでしょう。こうしたものを“将来債権”と呼びますが、これも実は差し押さえの対象となります。
敷金返還請求権の差し押さえは、“大家さん”に対して行われる
敷金について、簡単にご説明していきます。
賃貸アパートや賃貸マンション、貸事務所、貸店舗などに入居している方は、賃貸契約の時に、“敷金”を払っていると思います。(※最近では、敷金礼金なしの“ゼロゼロ物件”もありますが、ここでは含まないものとします)
この敷金は、いずれ退去するときに返してもらうのが原則です。実際には、敷金から原状回復費(部屋のクリーニング代)や未払い家賃などが差し引かれます。
家賃もしっかり払い部屋を普通に使用していれば、経年劣化が原因の修繕費などは貸主の負担になるので、それだけ多くの敷金が残ります。
この敷金の残額を返してください、という権利を敷金返還請求権と言います。
もしあなたが何かのローンやサービスの利用料金などの未払いがある場合、回収・取り立ての委託を受けた弁護士は、敷金返還請求権を差し押さえることが可能です。
敷金の返還請求権を差し押さえられた場合は、賃貸人(大家さん、不動産会社)が敷金を返還する相手は、本来の賃借人(あなた)ではなく、差押債権者(弁護士)になるということです。
敷金を差し押さえられた場合は、あなたには一円も返ってきません。
敷金返還請求権の差押えは、本気で行われるのか?
敷金返還請求権の差し押さえについて、こんな疑問もないでしょうか。
「敷金を返してもらう権利なんて、そんな細かいものまで本気で差し押さえられるの?」
これについては、本当に“ケース・バイ・ケース”だと言えるでしょう。
相手(債権者)が「一円でも多く徹底的に取り立て回収を行う」という姿勢なら、もちろん敷金返還請求権も差し押さえようとするでしょう。また、「ほかに差し押さえ可能な財産がほとんどない」「敷金返還請求権まで回収しなければ、弁済に満たせない」という場合もあります。
あなたの住所がわかっている以上、その物件の貸主も調べればすぐわかります。ですから、敷金返還請求権の差し押さえは、それほど難しい手続きにはならないはずです。
敷金を差し押さえられてしまったために、引越時の費用を捻出できず、ブラックリストなのでどこからもお金が借りられず路頭に迷ってしまった、という方もいるそうです。
こうした点こそが、差し押さえ・債権執行の本当の恐ろしさだと言えるでしょう。
敷金返還請求権を発生させるために、退去を迫られる場合もある?
敷金返還請求権には、“退去しなければ発生しない”という特性もあります(将来債権)。
なので、「敷金返還請求権を差し押さえられても、退去しなければ、権利が発生しないのだから差し押さえもできないのでは」…といった事も考えられます。
ですが逆に考えれば、“敷金返還請求権を発生させるために、債務者に退去をせまったり、物件明け渡し訴訟を起こす”ということも、考えられなくはありません。
そこまでやって良いものかどうか…という疑問もありますが、しかし債権回収の方法論としては、あり得ないとも言い切れません。
「払えない」と「払わない」の違い…証明するためにも、債務整理が必要
ローンや借金など「自分の意志で払わない債務者」に対して、債権者ができることは、最終的には法的措置しかありません。その一環として、“敷金を返してもらう権利=敷金返還請求権”まで差し押さえてしまうことがあると、ここまで説明してきました。
ですが、「払わない」ではなく、「払えない」という事情の場合はどうでしょうか?
この場合も、債権者(取り立てを行う側)の視点から見れば、結論は変わらず“法的措置”となります。債権者の側から見れば、「本当に払えないのか、それとも嘘をついていて、実際は払えるのに払いたくないだけなのか、見分けがつかない」からです。
こうした問題を解決するために必要となるのが、債務整理です。
「借金を減額・免除する手続き」と言われる、債務整理。ですが本質的には、“払えないことを公的に証明する”ことにもつながります。
債務整理には、特定調停・任意整理・個人再生・自己破産といった手続きがありますが、いずれも同様です。
督促や取り立てを受けると、
「いくら督促されても、お金がなくて払えないです」
と言いたくなる時もあるでしょう。
その「お金がなくて払えない」を、しっかりと証明するためにも、債務整理が必要となります。そして、本当に“お金がない”ことがわかれば、国(司法)の力で、適切に減額・免除をしてもらえるでしょう。
「払いたくても払えないのに、法的手続きになって、敷金返還請求権の差し押さえを受けて…」
そんな最悪の事態を防ぐためにも、債務整理の無料相談を、早め早めに活用していきましょう。