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この記事では、「生活保護費を受給しているが、まだ自己破産しておらず、借金返済が残っている」といった相談事例をご紹介していきます。[1]
悩みの内容
- 生活保護費を受給する時に、借金があることを申請した。
- ケースワーカーから、「自己破産するように」と言われ、その約束で生活保護の受給を開始。
- しかし、求職活動などで忙しく、一か月経った現在も自己破産できていない。
- このままだと生活保護を打ち切られるか心配
「自分も似たような悩みがある」という方は、ぜひご覧ください。
自己破産する約束で生活保護を受けたが…このままでは保護打ち切り?
まずは、この事例の詳細情報をまとめていきます。
性別 | 年齢 | 職業 | 月収 | |
相談者(本人) | 男性 | 30代 | 無職 | 生活保護費のみ |
妻 | なし | - | - | - |
子ども | なし | - | - | - |
借入先 | 借入件数 | 債務残高 | 月々の返済額 |
銀行カードローン・消費者金融 | 7件 | 100万円 | 不明 |
借金の理由
- 生活費の不足などを補うため
(※現在は生活保護費の受給により、生活費の不足は無い状態)
相談者の希望
- 生活保護を打ち切られないか不安
- 求職活動で忙しいが、どうすれば自己破産できるか知りたい
専門家の回答:早めに自己破産しないと“生活保護打ち切り”の恐れも
続いて、この相談者の悩みに対して、専門家がオススメしたアドバイスと、その理由を見ていきましょう。
専門家のアドバイス
- 相談者の場合、“生活保護を受給する前の借金”なので、今すぐ債務整理をすれば生活保護を打ち切られる心配は無い。
- ただし、このまま放置すると指導対象となり、保護の打ち切り(廃停止)になる恐れはある。
- 生活保護受給中の借金返済は認められないため、原則として自己破産になる(返済の全額免除での解決)
自己破産を勧めた理由
- 債務整理には「自己破産」「個人再生」「任意整理」「特定調停」といった手続きがあるが、
- 生活保護法第60条などに基づき、保護費での借金返済は認められないため、“返済がゼロになる”自己破産しか解決方法が無いから
自己破産を行った結果
- 自己破産による返済の免責が認められ、7社100万円の返済義務がなくなった。
- 生活保護も打ち切られずに、無事に返済の悩みを解消できた。
- 戸籍や住民票にも傷はつかず、求職活動の妨げにもならなかった。
- 弁護士に実質ほぼお任せでできたため、求職活動をしながら自己破産できた。
解説:生活保護を受給する場合、早めに自己破産が必要
生活保護を受給する場合、早めに自己破産を行う必要があります。
まず、原則として「生活保護費で借金を返す」ことは、認められていません。そのため、生活保護を受けるには、まず先に債務整理が必要だとも言われています。
しかし実際には、返済に追われて今日明日の生活費も無い…といった人に対して、緊急支援として、債務整理(=自己破産)を行う約束で、先に生活保護の支給を開始するケースもあるようです。[2]
実際にどういった判断になるかは、自治体ごとの判断基準などもあり、一概には言えません。
「本当は、借金がありながら生活保護を受給はできません。でも、生活がギリギリで緊急事態なので、先に生活保護を受け取ってください。その代わり、すぐに自己破産して借金を無くしてくださいね」
…という事です。
さらに、生活保護受給中の場合、早めに自己破産を行わないと、「指導対象となり、生活保護の打ち切りになる恐れもある」とのこと。
こうした点を考えても、やはり自己破産は、後回しにしてはいけませんね。
自己破産は生活保護の申込みから三ヵ月以内が目安!それを越えると費用面で厳しくなる恐れも
自己破産は、“なるべく早ければ早いほうが良い”のですが、遅くとも生活保護の申込時から三ヵ月以内には着手する必要があるでしょう。
というのも、もし、法テラスの民事法律扶助制度(費用の立て替え払い)を利用する事になった場合、「生活保護の申込時から三か月以内に発行された生活保護受給証明」が必要だからです。
【審査に必要な書類】
・生活保護受給証明書(援助申込みから3ヵ月以内に発行されたもの)
生活保護の援助申込時から三か月以内に自己破産を始めれば、費用が一円も払えなくても、法テラスの支援制度で費用を立て替えてもらえる可能性があるということです。
ですが、自己破産を後回しにしていて、上記の3ヶ月の期限を越えてしまうと、法テラスの民事法律扶助制度が使えなくなってしまう恐れがあるんです。
となると、最悪の場合、自分で自己破産費用を一括払いする事になってしまいます。
費用に困らずに自己破産をするためにも、早めに行ったほうが良いと言えます。
忙しくても自己破産は可能!実際は弁護士にほぼお任せ
「早めに自己破産する必要がある」ということは、今回の相談事例でも、相談者ご本人もよく理解されているようです。しかし、求職活動が忙しくて、なかなか自己破産ができない状態でした。
ところが実際には、自己破産などの債務整理は、弁護士・司法書士に依頼すれば、そのまま、ほぼお任せで進められます。自分の時間や手間はほとんど掛かりませんから、忙しい人でも、自己破産や債務整理は十分にできます。
「忙しいから、今は自己破産なんてできないだろう」と諦めてしまう前に、早めに弁護士・司法書士に相談していきましょう。
--脚注、参考資料--
[1]本記事は、下記資料掲載の事例をもとにしています。
返済困難者相談支援の相談事例集
平成30年10月 大阪府商工労働部中小企業支援室金融課 相談事例 A-(8)
[2]「生活保護なめんな」ジャンパー問題から1年半、小田原市が進めた生保改革 | ハフポスト
石戸諭 (記者 / ノンフィクションライター) 22018年07月18日
※小田原市の生活保護運用例。原則として生活保護を認めた後、細かい審査を行う方針になっている。