貸付自粛制度とは?借金をやめたい・やめさせたい時に役立つ手続き

投稿日:2019年5月15日 更新日:

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★この記事を読んでわかること
  • 借金をできなくする「貸付自粛制度」とは?
  • 貸付自粛制度の申請方法や必要書類
  • どんな時に役立つ?貸付自粛制度で解決できる悩みとは

貸付自粛制度とは?借金をやめたい・やめさせたい時に役立つ手続き

この記事では、借金の借入を制限する「貸付自粛制度」について解説していきます。

記事の前半でまず、制度や利用方法を簡単に解説します。
記事の後半では、

「貸付自粛制度で借金癖が治るの?」
「借金の悩みの解決に、貸付自粛制度がどのくらい役立つの?」
「貸付自粛制度の撤回方法や対象外の業者はあるの?」

…など、いろいろな疑問にお答えしていきます。

★この記事はこんな人にオススメです
  • 家族や友人・恋人などの借金で困っており、これ以上借金をしてほしくない人
  • 借金癖が付いてしまい、抜け出すのが難しいと感じている人
  • 貸付自粛制度の撤回方法や、対象外の業者、借りれる業者などが気になる人

貸付自粛制度とは?

まずは、「貸付自粛制度」とはどんな制度なのか、簡単に解説していきます。

個人信用情報センターに、「私はお金を借りません!」との申出(貸付自粛情報)を登録できます。[1]

これにより一定期間(申出から5年間)が経つか、撤回するまでの間、自主的に“借金ができない状態”になります。[2]

申告できるのは本人のみです。[3]

家族などが代理で申告することはできません。ただし、法定代理人等の場合を除きます。

全国銀行個人信用情報センターまたは日本貸金業協会の窓口に申告を行います。

どちらに申告しても、貸付自粛情報が、すべての個人信用情報センターに登録されます。[1]

本人により、申出日の三ヵ月後から撤回が可能です。

申出日から三か月を経過するまでは、原則として撤回できません。[1]

貸付自粛制度の申請方法と申請窓口

貸付自粛制度の申請方法と申請窓口もまとめておきます。

貸付自粛制度の申請は、

  • 全国銀行個人信用情報センター
  • 日本貸金業協会

の2つの窓口で受け付けています。
どちらに申請しても、同じ効果になります。

全国銀行個人信用情報センター
名称 一般社団法人全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター
住所 〒100-0005
東京都千代田区丸の内2-5-1
電話番号 フリーダイヤル 0120-540-558
携帯電話・PHS等から 03-3214-5020
受付時間 午前9時~正午、午後1時~午後5時 (土・日・祝日、12/31~1/3を除く)
日本貸金業協会 相談・紛争解決窓口
名称 日本貸金業協会 相談・紛争解決窓口
住所 〒108-0074
東京都港区高輪3-19-15 二葉高輪ビル2階
電話番号 0570-051-051
受付時間 受付時間:9:00~17:00(土・日・祝休日・12/29~1/4を除く)

必要書類

  • 貸付自粛申告書と貸付自粛に係る承諾事項
  • 本人確認資料
    ※顔写真が貼付され、氏名・住所・生年月日の記載があるものは1種類、それ以外は2種類
  • 392円分の切手

自粛対象者の法定代理人等が申告する場合は、上記に加えて、以下の書類が必要となります。

  • 親権者の場合…
    戸籍全部事項証明書または自粛対象者と親権者が記載された戸籍個人事項証明書(原本)
  • 法定代理人の場合…
    法定代理人であることを証する、家庭裁判所の発行する審判書の謄本または後見登記ファイルの登記事項証明書(原本)

詳しくは、各窓口まで問い合わせてみましょう。

貸付自粛制度で、どんな悩みが解消できるの?

それでは、この「貸付自粛制度」で、どんな悩みが解消できるのでしょうか?

「夫の借金癖をなんとかしたい」
「ギャンブルにハマって、借金の自制が効かなくなってしまった」
「彼氏が借金を抱えていて、早く完済して欲しい」

…など、人それぞれ、貸付自粛制度を検討する背景にも、いろいろな事情があると思います。
いくつかの具体例を挙げながら、貸付自粛制度が効果的かどうか、検討したいと思います。

事例①:夫の借金癖を治したい…離婚せずに貸付自粛制度で解決できる?

まず、「夫の借金癖を治したい」という悩みを想定してみましょう。
調べてみると、「夫の借金癖」「旦那の借金癖」で、離婚を考えている人も多いようです。

ネットに書き込まれた相談内容から、一部抜粋してご紹介します。

旦那の借金癖がなおらない…離婚した方が良いの?

旦那の借金癖がなおりません。
25歳、2歳の子ども有りです。旦那は27歳。

結婚してから50万の借金が発覚し、旦那に話しました。
最初は「していない」の一点張りでしたが、明細を見せると黙り、最終的には私の貯金で返済しました。
それ以降「借りない」と約束したのですが、また借りていました。

出典:弁護士ドットコム

このような場合に、貸付自粛制度は解決策になるのでしょうか?

貸付自粛制度だけでなく、メンタル面の治療や、今ある借金の解決=債務整理も必要に

ネットに書かれた悩みを見てみると、「借金癖のある旦那なんかと、一緒にいられない!」と、離婚を即決される方ばかりでもないようです。

「離婚したほうがいいの?」
「離婚するしかないの?」

…と悩みながらも、「何とかしたい」と思っている人も多いようですね。

さて、こうしたケースでは、「貸付自粛制度」は、確かに一つの大きな助けにはなるでしょう。
しかし、

  • 貸付自粛制度だけでは、今ある借金の解決はできない
  • 貸付自粛制度で借入を制限するだけでは、借金癖が治るとは限らない

という点にも注意が必要です。

今ある借金については、返済を減額・免除する「債務整理」が必要ですし、また、借金癖に関しては、メンタル治療的な働きかけも必要かもしれません。後でもう少し触れますが、「ギャンブル依存症」などの症状に陥っている可能性もあるためです。

加えて、

“貸付自粛制度は、申立日の三ヵ月後から、本人の意思で撤回できる”

という点にも注意が必要です。
三ヵ月経ってしまえば、本人が黙って貸付自粛を撤回し、隠れて借金を始めてしまうかもしれません。
そうしたリスクもふまえると、貸付自粛制度は、あくまで「一時的な対処」と考えたほうが良いかもしれませんね。

事例②:禁パチできない…我慢できず借金を繰り返してしまう

「パチンコやスロットを我慢できない」
「辞めたくても辞められず、借金を繰り返してしまう」

このように、自分の“ギャンブル依存”を自覚して、苦しんでいる方も大勢いるようです。
禁パチ”“禁スロ”という言葉もあり、「禁パチできない」と困っている人もたくさん見つかります。

ネットに書き込まれた相談内容から、一部抜粋してご紹介します。

禁パチの方法

お世話になります。
パチンコが好きで、散財してしまいました(1パチもバカになりません)。
そこで禁パチを成功した方、何か方法がありましたら、お教えください。
よろしくお願いいたします。パチンコ歴は30年近くあります。

出典:Yahoo!知恵袋

このような場合に、貸付自粛制度は役に立つのでしょうか?

「禁パチできない」…ギャンブル依存症は“疾患”

「ギャンブルが辞められない」
「禁パチできない」

…というと、まるで本人の甘えのように聞こえてしまいますが、実はそうではありません。
ギャンブル依存症は、世界保健機関(WHO)では「病的賭博」、DMS-V(米国の精神疾患診断マニュアル)では「ギャンブル障害」と分類される、一種の疾患となります。[5]

ですので、ギャンブル依存症から脱却し、禁パチを成功させるためには、専門家の診察・治療を受ける必要があります。
貸付自粛制度だけでは、根治治療にはなりません。

しかしながら、貸付自粛制度を利用することで、「これ以上、事態が悪化するのを防ぐ」ことは可能でしょう。
それだけでも大きな意義がありますから、禁パチなどギャンブル脱却を考える人は、ぜひ検討してみましょう。

事例③:彼氏に早く借金完済して欲しい…貸付自粛制度+債務整理が適切なケースも

「彼氏と結婚や同棲を考えているけれど、彼氏に借金があって踏み切れない」
「早く完済してもらって、気持ちよく結婚したい」

こんな悩みを抱える女性も多いようです。

ネットに書き込まれた相談内容から、一部抜粋してご紹介します。

彼氏の借金

一緒にいると楽しくて大好きな彼氏。。
ですが、彼には借金があります。株で失敗した350万。月々の返済が厳しいから同棲したいと言われています。
私としては、お金のことでもめたりするのがいやなので、返済してから気持ちよく同棲したいです。

出典:Yahoo!知恵袋

このような場合に、貸付自粛制度で解決できるのでしょうか?

貸付自粛制度では、「今ある借金を減らす・無くす」はできない

貸付自粛制度は、あくまで“今後の借入を制限する”仕組みです。
今ある借金を無くしたり、減らしたりするには、「債務整理」という別の手続きを使う必要があります。

また、債務整理を行うと、個人信用情報センターにそのことが記録されるため、貸付自粛制度と同様に「今後の借入制限」も発生します。

債務整理と貸付自粛制度の違い
  今ある借金 借入制限 制限の撤回
貸付自粛制度 変化なし あり
(5年程度)
3ヶ月後から可能
債務整理 減額・免除 あり
(5年~7年)
不可能

こうした違いを比較すると、「恋人に、今ある借金を無くして欲しい、さらにこれ以上借金をしないでほしい」といった場合などは、貸付自粛制度よりも債務整理のほうが合っているでしょう。

★弁護士や司法書士に無料相談で、あなたの悩みの解決方法を教えてもらいましょう!

貸付自粛制度が、ピッタリな解決方法になるかどうかは、人それぞれの事情によって異なります。
場合によっては、貸付自粛制度よりも債務整理のほうが良いこともあります。

「どんな方法を選べば良いのか」
「自分の場合、どうすれば良いのか」

こうした答えも、人によって違います。

ですので、一人で悩まず、まずは借金問題に詳しい弁護士・司法書士に、相談を行ってみましょう。
あなたの悩みにピッタリの解決方法を、無料で教えてもらえます。

債務整理に強い弁護士・司法書士

貸付自粛制度の撤回方法や対象外、自粛中でも借りれる業者は?利用時に注意したいポイント

貸付自粛制度は、「一度申請すれば、永遠に全ての借金ができなくなる」制度ではありません。
撤回方法や、利用の際の注意点について見ていきましょう。

貸付自粛制度は、申立てから3ヵ月で撤回可能

貸付自粛制度は、何もしなければ5年間が有効期間とされています。
しかし、申し立て日から3ヵ月が経つと、本人の意思で「撤回」が可能です。

撤回の方法は、申立て時と同様に、

  • 全国銀行個人信用情報センター
  • 日本貸金業協会

のどちらかの窓口にて手続きを行います。
この場合も、本人確認書類などが必要になります。

家族に内緒で、本人が貸付自粛制度を撤回してしまう恐れも

貸付自粛制度は、申立ても撤回も、本人の意思で行うことになります。

「家族に言われて仕方なく貸付自粛制度を申立てしたけれども、我慢できなくなり、三ヵ月後に隠れてこっそり撤回してしまった」

…といったことも生じる恐れがあります。

貸付自粛制度の対象外の業者はヤミ金!自粛中でも「借りれる」に要注意!

調べてみると、

「貸付自粛制度 対象外」
「貸付自粛制度 借りれる」

などの検索もあり、興味をお持ちの方も多いようですね。

実はこれも、貸付自粛制度で注意が必要なポイントの一つ。貸付自粛制度の申立ては、基本的に「個人信用情報機関」の登録情報として扱われます。
このことから、「対象外」や「自粛中でも借りれる」業者は、個人信用情報機関に加盟していない“ヤミ金”の可能性があります。

ヤミ金からお金を借りてしまうと、威圧的・暴力的な取り立ての被害に遭ったり、会社や家族が脅されてしまったり…と、大変なことになってしまいます。

貸付自粛制度を撤回したい、対象外の業者から借りたい…と思ったら

もしも貸付自粛制度を利用中で、

「貸付自粛を撤回したい」
「対象外の業者から借りたい」
「借りれる業者はどこ?」

…という気持ちになったら、一度ぐっと我慢して、冷静によく考えましょう。

「これ以上、借金を重ねても良いことは無い」

こうした自覚は、あなた自身にもきっとあるはずです。

また、「どうしても生活費が足りない」など、のっぴきならない事情がある場合は、市役所や福祉の窓口などに相談に行ってみましょう。

撤回されない借入制限・借金禁止の方法は?

貸付自粛制度は、三ヵ月たてば本人の意思で撤回できてしまいます。
これでは、「借金をやめて欲しい、禁止したい」と思っている家族からすれば、少し頼りないですよね。

一方で、「撤回されない借入制限・借金禁止の方法」もあります。
それは、今ある借金を債務整理することです。

債務整理を行うと、

  • 返済の減額や免除
  • 取り立ての最短即日ストップ

といったメリットが得られて、完済をより早くできるようになったり、借金返済が大きく減ったりします。
一方で、債務整理を行ったことが個人信用情報機関に記録され、いわゆる「ブラックリスト」状態になります。

ブラックリストになると、5年~7年ほどの間、借入審査・ローン審査に実質ほとんど通らなくなり、お金を借りれない状態になります。

この点は「債務整理のデメリット」として知られていますが、「これ以上借金をして欲しくない」という家族等にとっては、メリットとも言えます。

今ある借金を解決+今後の借金を制限で、「借金をしない生活習慣」を身に着ける

貸付自粛制度と比較して、債務整理には、

  • 今ある(返済中の)借金を、減額・免除できる
  • 取り立てをストップできる
  • 新規の借入も、5年~7年ほど制限され、撤回できない

という特徴があります。
そのため、「今ある借金の解決・解消」+「今後の借金を制限」できます。

借金ができない状況で5年間も過ごせば、「借金癖」や「よく考えずに借りてしまう」といった生活習慣からも、脱却できそうですね。

★借金をやめたい・やめさせたい…解決の方法はどれがいい?弁護士や司法書士に無料相談を!

債務整理か貸付自粛制度か…といった問題は、人によって適した答えが異なります。

また、「債務整理」と一口に説明してきましたが、実際には「任意整理」「個人再生」「特定調停」「自己破産」といった種類もあります。

どの方法が適しているかは、弁護士や司法書士に無料相談を行って、診断してもらうのが一番です。

債務整理に強い弁護士・司法書士

 


脚注、参考資料

-コラム

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