任意整理できない借金とは?できる条件とできない条件

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この記事では、債務整理の一種類である「任意整理」について、できる条件とできない条件などを解説していきます。

任意整理は、借金などの返済・支払を減額する手続きです。

  • 銀行カードローンやキャッシング、サラ金
  • クレジットカードの返済(リボ払い・分割払い・ボーナス払いなど)
  • 住宅ローンや自動車ローン
  • 奨学金の返還
  • 家賃滞納、携帯電話料金の滞納
  • 債権回収会社や保証会社からの督促・取り立て

こうした悩みを、返済減額によって解決する「債務整理」の一種となります。
それでは、任意整理のできる条件・できない条件をチェックしていきましょう。

任意整理には、特に条件がない

いきなり結論から言ってしまえば、任意整理は、「特に条件はない」となります。
というのも、任意整理には、手続きを定めた法律(根拠法)が無いからです。

債務整理には、任意整理のほかに個人再生・特定調停・自己破産という種類があります。

個人再生は、「民事再生法」
特定調停は、「特定調停法」
自己破産は、「破産法」

…と、それぞれ根拠となる法律が定められており、できる条件・できない条件なども法律によって規定されています。

ところが任意整理の場合は異なり、そもそも「手続きについて定めた法律が無い」のです。そのため、「こういう場合ならできる・できない」といったルールも、原則としてありません。

さらに、任意整理は裁判所を通さず、弁護士または司法書士が、債権者と話し合いで減額を決める手続きです。裁判所が関わらないので、「裁判所の決めた基準」といったものもありません。任意整理は、“法的なルールがない”という、特殊な債務整理になるのです。

★法的なルールが無いからこそ、柔軟性が高い

任意整理は法的なルールが無いため、逆に言えば“柔軟性が高い”債務整理でもあります。

たとえば、個人再生や自己破産については、原則として“すべての債権者を平等に扱う”法的義務があります(偏頗弁済の禁止)。

※偏頗弁済(へんぱべんさい)とは、ある特定の債務者にだけ返済する行為をいいます。

そのため、

「家を手放したくないから、住宅ローンの返済だけ整理せずに続けたい」

…と希望する場合、個人再生であれば“住宅資金特別条項(住宅ローン特則)”という特殊なルールを適用すれば“できます”が、自己破産の場合は“できない”となります。

ところが、任意整理であれば、“偏頗返済を禁じる”といったルールも無いため、特定の債務だけを自由に選んで整理できます。そのため「住宅ローンの返済だけ整理せずに、家を持ち続けたまま、他の借金だけ減額する」といった事も可能となります。

根拠法がない「任意整理」…本当に借金を減額できる?

任意整理は、根拠となる法律が無い手続きです。言い換えれば、統一された法的な基準が無いという事でもあります。

「そんなフワっとした手続きで、本当に借金が減らせるの?」

…と、不安になりそうですね。
そして確かに、これは“任意整理で、心配するべき事柄”の一つです。

たとえば、個人再生なら、返済減額の基準があります。
自己破産なら、「原則として、すべての返済を免除する」という決まりがあります。
しかし、任意整理は法的根拠が無いので、「どのくらい減額すべき」という決まりも無いのです。

法律上の決まりは無くても、“相場”はある

さて、ここまで「任意整理には、法的な基準が無い」という事をご説明してきました。
ですが実際には、法的根拠は無いものの、“相場”のようなものはあります。

利息の引き直し計算をし、過払い金があれば残債の弁済に充てる
遅延損害金と将来利息をカットする
残りの返済を3年~5年の長期分割にする

といった結果に落ち着くことが多くなっています。

ただ、繰り返しになりますが、絶対にこうすべきだと決まっているわけではありません。
相場通りに減額されるか、それとも相場以上に借金を減らせるか、あるいは思った以上に返済を減らせないのか…。結果がどうなるのかは、はっきり言ってしまえば、“弁護士・司法書士の実力次第”という事にもなってきます。

★任意整理の結果を左右するのは、“弁護士・司法書士の実力”

任意整理は、特に法律上の条件はない債務整理です。
現実に“相場”のようなものはあるとはいえ、必ずしもその通りになる…といった“保証”はありません。

明確な基準がなく、あいまいな手続きだからこそ、弁護士や司法書士の実力が大きく問われる債務整理です。
同じ状況、同じ悩み、同じ債権者が相手でも、不慣れな弁護士・司法書士では、大した減額ができない事もあり得ます。逆に債務整理に優秀な弁護士・司法書士であれば、遅延損害金と将来利息カット、さらに元金の減額まで期待できるケースもあるようです。

こうした実力のある弁護士・司法書士を選ぶためには、「地元だから」「CMで見かけたから」といった理由だけで選ぶのは得策ではありません。実力や実績を評価して、しっかりと選ぶ必要があります。

債務整理の実力に評判の高い弁護士・司法書士の情報を、次の記事で取りまとめています。こちらも是非、参考にお役立て下さい。

債務整理に強い弁護士・司法書士のまとめと解説

株やギャンブル、投資失敗、浪費の借金は任意整理できる?

「パチンコ、パチスロなどのギャンブルや、株・投資・FXなどの借金は減額できない」という話も、ネットを通して有名になってきたかと思います。

ですが、これは実は“自己破産にのみ、原則として適用される”ルール。自己破産の「免責不許可事由」という条項に当たるためです。ところが現実には、自己破産でも「裁量免責」という制度があり、免責が認める場合も多くなっています。

こうした自己破産の場合については、次の記事で詳しく解説します。

ただ、今回のテーマである任意整理は、自己破産とは違う手続きです。
自己破産の免責不許可事由に当たるからといって、任意整理でも“絶対にダメ”という訳ではありません。つまり、任意整理なら、「パチンコ、パチスロなどのギャンブルや、株・投資・FXなどの借金」でも、減額できる可能性があるわけです。

とはいえ、やはり任意整理は明確な基準がありませんから、これも最終的には弁護士や司法書士の交渉次第となるでしょう。

極端な例ですが、もしも債権者が「自己破産の免責不許可事由にあたるから、任意整理でも減免は認められない」と主張してきた時に、どう反論するのか…などの弁論術(議論のテクニック)も問われそうですね。

無職や専業主婦…無収入・年収ゼロ円でも任意整理は可能?

「任意整理には明確な条件が無いのなら、無収入でも可能性はあるの?」

といった疑問もあるかと思います。
これについても、確かに法的ルールはありません。ですが現実的な交渉の問題として、かなり難しいのではないか…と予想されます。

というのも任意整理は、あくまで「返済を減額して、返せる部分は返す」という前提に立っています。債権者と債務者、双方の利害関係の調整という側面もあるかです。
そのため無職や無収入で「返済の見通しが1円も望めない」となると、成立が難しくなってくるでしょう。

こうした理由もあり、現実的な問題として、収入が1円も無い場合の債務整理は、自己破産を選択することになるでしょう。

税金滞納など、任意整理で減額が望めない債務もある

ここまでの内容で、「任意整理には根拠法が無いため、明確な条件もない」という特徴を元に、条件面の解説を行ってきました。

ただし、原則としてはそうなのですが、一部に例外的な面もあります。その代表例が、「税金や保険料など、公租公課の滞納」です。こうした滞納については、現実的に、任意整理では減額・免除が期待できないでしょう。

理由としては、

他の債務整理について定めた「民事再生法」「破産法」のどちらでも、“税金や保険料は減免できない”とされているため
税金や保険料などについては、債務整理とは別に、分納・猶予・減免などの制度が定められているため

といった事が挙げられます。

ほかにも、

  • 一部の損害賠償
  • 養育費など民法の定める婚姻費用や扶養義務に基づく支払
  • 事業主の被雇用者に対する給与・賃金の支払い
  • 罰金

といったものも、「民事再生法」「破産法」どちらでも減免できないとされています。
民事再生法は「個人再生」、破産法は「自己破産」に適用される法律ではありますが、実際の判断として、任意整理にもこれに倣って行われます。

また、同じような理由から、「返済不能・支払困難に陥っている」といった事情も必要になるかと思われます。ただ、これに関して裁判所の資料など(債務整理の「手続対比一覧」など)では、「特に条件はない」と明記されている資料もあるため、はっきりしたことは言えません。

また、自己破産では「免責不許可事由」とされている「株やギャンブル、浪費・投資失敗など」が原因の借金は、任意整理では減額できる場合も多いようです。ですので、他の債務整理の基準が、必ずしも全て任意整理に適用されるわけではありません。

こうした複雑な事情もあるため、法律や制度、用語の解説など、表面的な知識を持っているだけでは、任意整理を適切に行うのは難しいと言えるでしょう。
だからこそ、任意整理は、債務整理全般について幅広い知識と、豊富な実務経験を持った弁護士・司法書士を頼ることが重要となります。

債務整理に強い弁護士・司法書士のまとめと解説

 

 

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