個人再生の「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の違い

投稿日:2019年5月28日 更新日:

個人再生の「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の違い

この記事では、個人再生の「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の違いについて解説していきます。

★この記事は、こんな人におすすめです

この記事では、次のような方を読者として想定しています。

借金を解消したい。個人再生で検討しているけれど、小規模個人再生と給与所得者等再生の違いを知りたい

役所に借金解決の相談をしたら、「個人再生が良いでしょう」と言われた。調べてみたら小規模個人再生と給与所得者等再生があるとわかった。どちらが良いか知りたい

こうした方を対象に、解説をお届けしていきます。
あくまで「実際に借金返済に悩んでおり、解決を検討中の、一般の方」を対象として、わかりやすさを重視して解説していきます。

また、「個人再生ってなに?初めて聞いたけれど…」といった人は、次の記事で、個人再生の概要をご確認下さい。

小規模個人再生と給与所得者等再生は、“タテマエ”と実際が違う

それでは解説をはじめましょう。
小規模個人再生と給与所得者等再生は、どちらも「個人再生」という手続きの種類になります。

そして、最初からちょっと厄介なのですが、小規模個人再生と給与所得者等再生には、“タテマエ”と実際に違いがあります。

“タテマエ”で言えば、

  • 小規模個人再生 … 個人事業主などが対象
  • 給与所得者等再生 … サラリーマン(お給料をもらっている人)が対象

…という事になっていますが、実際には、サラリーマンか個人事業主かは、あまり関係ありません。もちろん、パートやアルバイト、派遣社員かどうかも、関係ありません。

実際”をわかりやすく言うと、

  • 小規模個人再生基本
  • 給与所得者等再生応用

だと考えてください。

つまり、サラリーマンでも個人事業主でも、あるいはパート・アルバイト・派遣社員でも、個人再生となったら、ひとまずは小規模個人再生のことを考えれば良いわけです。

個人再生をする場合には,まず小規模個人再生を選択できないかどうかを考えるべきであり,それが利用できない場合に給与所得者等再生を検討するというのが通常です。

出典:小規模個人再生と給与所得者等再生の選択基準とは?-LSC総合法律事務所 archive

小規模個人再生が基本!理由は「返済を大きく減額しやすい」から

まず、非常にざっくりした言い方ですが、

“個人再生となったら、ひとまずは小規模個人再生でOK”

と、押さえておきましょう。

なぜかというと、小規模個人再生のほうが、給与所得者等再生よりも、借金を大きく減額できることが多いからです。

もっとも、これは“必ず”ではありません。人それぞれの事情によっては、給与所得者等再生のほうが大きく減額できることもあります。

こうした個人再生手続きの借金減額については、次の記事でも解説しています。

ここでは、簡単にまとめてみましょう。

小規模個人再生と給与所得者等再生の、借金減額の基準の違い
小規模個人再生 一定の基準により、総負債額を5分の1~10分の1まで減額。残った分が最低弁済額(=減額後の返済額)になる
給与所得者等再生 小規模個人再生の基準と、可処分所得の2年分とを比較して、大きいほうが最低弁済額(=減額後の返済額)になる。

給与所得者等再生を選ぶと、たいていの場合、小規模個人再生の基準よりも大きな金額が、最低弁済額(=減額後の返済額)になります。

裏返して言えば、“小規模個人再生のほうが、借金を大きく減らせることが多い”というわけです。

小規模個人再生は、債権者の同意が必要

さて、「小規模個人再生のほうが、借金を減額しやすいから、基本的には小規模個人再生になる」とわかりました。

しかし現実には、「小規模個人再生」が利用できない場合があります。
そうした場合に、“次の一手”として考えらえるのが、「給与所得者等再生」です。

一体どういう場合か…というと、「小規模個人再生で、債権者の同意が得られそうにない場合」です。

小規模個人再生お給与所得者等再生の、債権者の同意による違い
小規模個人再生 一定以上の債権者の同意が必要
※債権者の過半数が反対、または反対者の債権額が総債権額の2分の1となる場合、減額そのものが認められない
給与所得者等再生 反対意見があっても、減額が認められるのが通常
※債権者への意見聴取はある

債権者とは、「お金を貸した側」のことです。
お金を貸した側は、当然、返して欲しいと思いますよね。

それでも普通は、個人再生となれば、「減額を認めましょう」となることが多いのですが…。

たまに、

「減額など認めない!耳を揃えて返済してください!」

と、異議を申し立てる債権者もいるのです。

そうした“借金減額反対”の債権者が一定数いると、小規模個人再生では減額が認められないのです。
※一定数=全体の債権者数の1/2以上、または反対者の債権額が総債権額の1/2以上

反対意見が出そうかどうか、手続きを選ぶ前に判断する必要がある

ここで難しいのは、「反対意見が出そうかどうか、事前に判断しておく必要がある」ということです。

とりあえず小規模個人再生で進めておいて、いざ反対意見が出たら、「じゃあやっぱり給与所得者等再生にします」と途中から切り替えることはできません。
(※小規模個人再生の再生計画が否決され、再生手続きが終了した後、あらためて給与所得者等再生を申し立てることは可能ですが、費用も時間も倍ほどかかってしまうでしょう。)

ですから、個人再生の申立てをする前に、

「この債権者は、小規模個人再生だと反対してくるかな?」

…と、見通しを立てる必要があるのです。

経験がものを言う“駆け引き”の部分

「相手が小規模個人再生の借金減額に反対するかどうか」

これを見通すのは、“駆け引き”の部分になります。

トランプをやっていて、「相手の手札はなにかな?」「次のターンで、どんな手札を切ってくるかな?」と、予想を立てていくのと同じです。

ルールブック(=法律)をいくら読んでも、相手の手札はわかりませんよね。経験がものを言う場面です。

こうした判断は、私たち一般人には、まずできません。
ほとんどの人が、債務整理をするのは初めて、多くても二度目ぐらいでしょう。一方、相手は金融業者、貸金業者、保証会社、債権回収会社…数多くの債務者を相手にしてきた“歴戦のプロ”ばかりです。

1~2回しかポーカーをやったことの無い人が、プロのポーカー・プレイヤーを相手に、まともな立ち回りができるでしょうか?
できないのが当然ですよね。

だからこそ、

「相手が小規模個人再生の借金減額に反対するかどうか」

といった見通しを立てるためにも、弁護士・司法書士という“歴戦のプロ”のアドバイスをもらう必要があります。

小規模個人再生と給与所得者等再生の違い

それでは最後に、小規模個人再生と給与所得者等再生の違いを、改めて表にまとめていきましょう。

細かい部分はさておき、大きく注目したい違いは、次の通りです。

小規模個人再生と給与所得者等再生の違い
  小規模個人再生 給与所得者等再生
借金の減額 大きく減額しやすい 小規模個人再生よりは減額できない事が多い
債権者の同意 一定数以上の債権者の同意が必要 意見聴取はあるが、同意がなくても減額が原則として認められる

そして、小規模個人再生と給与所得者等再生の選び方です。

  • 基本的には、小規模個人再生を検討
  • 債権者の同意が得られそうにない場合、給与所得者等再生を選ぶ

こうした考え方を基本として良いでしょう。

ただし、人によっては「給与所得者等再生のほうが、借金を大きく減額できる」というケースもあります。
このあたりの基準はとても複雑なのですが、総負債額と収入、清算価値保証原則などにより決まってきます。

★自分ひとりで決めず、必ず弁護士・司法書士に相談を

「小規模個人再生か、給与所得者等再生か」という問題は、一概に決められるものではありません。

債権者の傾向など、“経験”で判断する部分もあります。
また、民事再生法の規程や、それに関する政令などにも熟知しなければ、どちらのほうが効果的かを判断することもできません。

自分一人で決めることは、まるで、“サバイバル本を読んだだけで無人島生活に挑む”ようなものです。もしもあなたの友人が、そんなことをしようとしたら、全力で止めますよね。

ただ調べたり、学んだりしただけでは“実務では通用しない”…。
だからこそ、実務経験の豊富な、弁護士・司法書士に、かならず相談を行いましょう。

個人再生や債務整理に強い弁護士・司法書士

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