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この記事では、「自己破産をすると、職場に迷惑が掛かってしまわないか」という疑問にお答えしていきます。
「破産したら仕事も家も失って、極貧生活になってしまうのでは」
そんなイメージを何となくお持ちの方も多いと思います。
家や財産については、次のような記事で解説していきます。
今回は、“仕事・職場・会社”に注目して、自己破産でどのような影響が出るのか確認していきましょう。
自己破産しても仕事は続けられる可能性大!
まず原則から言えば、自己破産をしても、仕事をクビになったりする心配は、現実的にほとんど無いでしょう。
破産したこと自体、勤務先の会社に対して通知する義務もない
=そもそも会社に知られない
破産によって職場に不利益を与えたり、迷惑をかけることもない
自己破産を理由に解雇することは不当解雇に該当する
…といった点が大きな理由になります。
ですので、「破産したら仕事を続けられなくなるかも」という心配は、基本的にはありません。
自己破産しても会社にバレない!現役司法書士が解説
破産手続開始決定がされると、裁判所はそのことを債権者に通知しますが、会社に対して債務がない場合は、裁判所から勤務先に破産手続が開始されたことを通知することはありません。[1]
したがって、勤務先から借入れがない人は、職場に知られず自己破産をすることが可能です。
債務整理に詳しい、松谷司法書士の解説をご紹介します。
自己破産をするときには裁判所に申立を行いますが、裁判所から勤務先に在籍確認などの連絡をされることはありませんし、借入先の債権者から連絡が入ることもないためです。
現に、会社に知られないまま自己破産をして手続きを終えている方もたくさんいらっしゃいます。公務員が自己破産するときに、役所などの勤務先にバレないようにすることもできます。
- 裁判所から勤務先への連絡もない
- 債権者からも勤務先への連絡もない
- 現に、会社に知られないまま自己破産をして、手続きを終えている人もたくさんいる
…こうしたことを、現役の司法書士がハッキリと言っています。
つまり、「自己破産をしても、会社に知られない・バレない」と考えて良いでしょう。
自己破産せず、差し押さえを受けた場合のほうが影響大
自己破産や債務整理をせず、滞納や未払いを放置していると、そのうち“差し押さえ(強制執行)”を受けてしまいます。
こうなると、勤務先に対しても“給与差押え”が生じる恐れがあります。
これは、「今後、従業員(あなた)に払うべき給与の一部を、債権者に払いなさい」という裁判所からの命令で、あなたではなく、勤務先に対して発せられ、債権の額を満たすまで続きます。
給料の差押えを受けると、ほぼ確実に勤務先に迷惑をかけてしまいます。
こうした事態を回避するためにも、自己破産や債務整理といった解決策を、先手を取って行っていくことが重要です。
弁護士や司法書士に、債務整理(自己破産、任意整理、個人再生など)を依頼すると、最短即日で取り立てがストップします。
また、債務整理が開始されると、裁判や差し押さえなどの法的な債権回収行為も、取り止めになるのが通常です。
訴訟、差し押さえ(強制執行)などを防ぐためにも、早め早めに、弁護士や司法書士に相談を行いましょう。
自己破産の職業制限(資格制限)には注意が必要
一部の職業では、自己破産の手続き期間中のみ、制限が掛かってしまいます。
(※手続き期間は、およそ三ヵ月~半年程度が一般的です。弁護士や司法書士に依頼して行うと、数か月単位で短縮できます)
制限対象のリストを、この記事の末尾でご紹介します。
長くなるので、ここでは簡単にまとめましょう。
主なところでは、
- 弁護士、司法書士、行政書士、会計士などの士業
- 金融、投資関係の一部職業
- 建築、不動産関係の資格
- 警備業の一部
- 人材派遣業の一部
…などが当該します。
他にも細かくいろいろな職業、資格が制限の対象になっています。
しかし、こうした職業制限は、一生続くものではありません。原則として、自己破産の手続き期間中のみ(免責許可の決定を受けるまで)が対象です。
“復権”といって、基本的に、手続きが終われば制限が解除されます。
こうした復権の仕組みについては、次の記事で詳しく扱っていきます。
《内部リンク予定:自己破産による職業制限と資格制限は復権で解除できる!》
自己破産の職業・資格制限に引っ掛かってしまう…他の手続きで解決する方法も
「自己破産の資格制限に引っ掛かってしまう」
「破産すると資格制限で、今の仕事が難しくなりそう」
…そんな場合は、自己破産ではなく、他の債務整理(任意整理、個人再生、特定調停)で解決する方法もあります。
たとえば…
- 任意整理で将来利息と遅延損害金をカットし、分割計画をリスケジュールして、月々の返済額を大幅減額
- 個人再生で返済を1/5~1/10に減額し、残債を3~5年の分割払いに
…といった方法もあります。
これなら、「自己破産だと資格制限を受けてしまう」という人でも、仕事や資格への制限ナシに、返済の悩みを解決できるでしょう。
自己破産による資格制限(職業の制限)の一覧
最後に参考資料として、NPO消費者サポートセンター大阪の取りまとめによる、自己破産による資格制限の一覧をご紹介します。
資 格 者 | 制限法令 |
---|---|
弁護士 | 弁護士法第7条5 |
司法修習生 | 司法修習生に関する規則17条1の3 |
弁理士 | 弁理士法第8条10 |
司法書士 | 司法書士法第5条3 |
土地家屋調査士 | 土地家屋調査士法第5条3 |
不動産鑑定士、不動産鑑定士補 | 不動産の鑑定評価に関する法律第16条 |
公認会計士、公認会計士補 | 公認会計士法第4条5 |
税理士 | 税理士法第4条3 |
社会保険労務士 | 社会保険労務士法第5条3 |
行政書士 | 行政書士法第2条の2 |
中小企業診断士 | 中小企業診断士の登録及び試験に関する規則第5条3 |
通関士 | 通関業法第31条2 |
外国法事務弁護士 | 外国法事務弁護士記章規則第6条5 |
宅地建物取引主任者 | 宅地建物取引業法第18条3 |
旅行業務取扱管理者 | 旅行業法第11条の2 |
公証人 | 公証人法第14条2 |
人事院の人事官 | 国家公務員法第5条3、第8条1 |
国家公安委員会委員 | 公安審査委員会設置法第7条、第8条 |
都道府県公安委員会委員 | 警察法39条 |
国際委員会委員 | ユネスコ活動における法律第11条 |
検察審査員 | 検察審査会法第5条 |
公正取引委員会の委員長及び委員 | 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第31条 |
教育委員会委員 | 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条 |
商工会議所会員 | 商工会議所法第15条 |
商工会の役員 | 商工会議所法第35条 |
商品取引所会員 | 商品取引所法第31条 |
商品取引所役員 | 商品取引所法第49条 |
証券外務員 | 金融商品取引法第64条2 |
商品投資販売業 | 商品投資に係る事業の規則に関する法律第6条 |
商品投資顧問業 | 商品投資に係る事業の規則に関する法律第32条 |
金融商品取引業 | 金融商品取引法第29条4の2のロ |
証券金融会社の役員 | 証券取引法第156条31 |
金融商品会員制法人の会員 | 金融商品取引法第95条 |
信託会社 | 証券投資信託法第7条 |
地方公営企業等金融機構役員 | 地方公営企業等金融機構法第22条2 |
沖縄振興開発金融公庫役員 | 沖縄振興開発金融公庫法第12条の2 |
信用金庫等の役員 | 信用金庫法第34条2 |
社会保険審査会委員 | 社会保険審査官及び社会保険審査会法第24条、第25条 |
農水産業共同組合貯金保険機構運営委員会委員 | 農水産業共同組合貯金保険法第19条 |
漁船保険組合の組合員 | 漁船損害等補償法第24条 |
漁業信用基金協会会員 | 中小漁業融資保証法第16条 |
船主相互保険組合 | 船主相互保険組合法第17条 |
日本銀行の役員 | 日本銀行法第25条の1 |
政策委員会審議委員 | 日本銀行法第25条の1 |
土地収用委員及び予備委員 | 土地収用法第54条 |
都道府県公害審査会の委員 | 公害紛争処理法第16条 |
預金保険機構運営委員会委員 | 預金保険法第19条 |
投資顧問業 | 有価証券に係る投資顧問業の規制に関する法律第7条 |
補償コンサルタント | 補償コンサルタント登録規程第6条 |
貸金業者 | 貸金業の規制等に関する法律第6条 |
割賦購入あっせん業者 | 割賦販売法第33条 |
質屋 | 質屋営業法第3条 |
第三者発行型前払式証票の発行者 | 前払式証票の規則等に関する法律第9条 |
生命保険募集人及び損害保険代理店 | 保険業法第279条 |
一般労働者派遣事業者 | 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律第6条 |
労働保険審査会の委員 | 労働保険審査官及び労働保険審査会法第30条、第31条 |
港湾労働者派遣事業の事業主 | 港湾労働法第13条 |
港湾労働者雇用安定センター | 港湾労働法第12条 |
旅行業者 | 旅行業法第6条 |
警備員 | 警備業法第7条 |
警備業者 | 警備業法第3条 |
警備員指導教育責任者等 | 警備業法第11条の3 |
不動産鑑定業者 | 不動産の鑑定評価に関する法律第25条 |
不動産特定共同事業を営もうとする者 | 不動産特定共同事業法第6条、36条 |
一般建設業、特定建設業 | 建設業法第8条、第17条 |
建築士事務所開設者 | 建築士法第23条の4 |
建築設備資格者 | 建築設備資格者登録規定第6条 |
建築審査会の委員 | 建築基準法第80条の2 |
建設工事紛争審査会の委員 | 建設業法第25条の4 |
測量業者 | 測量法第55条の6 |
土地鑑定委員 | 地価公示法第15条 |
地質調査業者 | 地質調査業者登録規程第6 |
共同鉱業権者 | 鉱業登録令第51条 |
下水道処理施設維持管理業者 | 下水道処理施設維持管理業者登録規程第6条 |
公害等調整委員会委員長及び委員 | 公害等調整委員会設置法第9条、第10条 |
風俗営業を営もうとする者 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第4条 |
風俗営業の営業所管理者 | 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第24条 |
風俗環境浄化協会調査員 | 風俗環境浄化協会に関する規則第4条 |
一般廃棄物処理業者 | 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第7条 |
産業廃棄物処理業者 | 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条 |
特別管理産業廃棄物処理業者 | 廃棄物の処理及び清掃に関する法律第14条の2 |
通関業 | 通関業法第6条 |
鉄道事業、索道事業 | 鉄道事業法第6条 |
宇宙開発委員会委員 | 宇宙開発委員会設置法第7条 |
卸売業者 | 卸売市場法第17条 |
塩販売人 | 塩専売法第22条 |
製造たばこの特定販売業の登録 | たばこ事業法第13条 |
製造たばこの特定販売業者 | たばこ事業法第17条 |
日本中央競馬会の役員 | 日本中央競馬会法第13条 |
地方競馬全国協会の役員 | 競馬法第23条の13 |
調教師、騎手 | 競馬法執行規則第3条 |
国際観光レストラン | 国際観光レストラン登録規程第4条 |
有位者 | 位階令第6条 |
アルコール普通売捌人 | アルコール売捌規則第40条 |
科学技術会議議員 | 科学技術会議設置法第7条 |
原子力委員及び原子力安全委員 | 原子力委員会及び原子力安全委員会設置法第5条 |
宅地建物取引業 | 宅地建物取引業法第5条 |
民法上の制限 | 制限法令 |
代理人 | 民法第111条 |
後見人 | 民法第847条 |
後見監督人 | 民法第852条 |
保佐人 | 民法第876条 |
補助人 | 民法第876条 |
遺言執行者 | 民法第1009条 |
自己破産の資格制限は、それぞれの資格などを定めた法律によって定められています。
そのため、実際にどのような制限が生じるか、仕事にどんな影響が出るかなどは、各法律や業界規則などを参照して、個別に判断するほうが良いでしょう。
こうした判断には、法律の専門的な知識も必要になります。
だからこそ、“依頼するかどうかは別としても、弁護士・司法書士への相談だけは行ったほうが良い”と言えます。