債務整理すると子供は転校?学校に通えなくなる?将来への影響とは

投稿日:2018年9月9日 更新日:

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この記事では、親の債務整理が、子どもの学校生活や将来にどう影響するのか解説していきます。

債務整理は、借金などの返済や支払が困難になった時に、残債を減額・免除できる制度です。いわば「お金が返せなくなった時の救済措置」なのですが、マイナスのイメージをお持ちの方も多いでしょう。

お金が払えず、督促状や催告書などを受け取り、「債務整理を検討しなければ」となっても、悪い想像ばかりしてしまって前に進めない…。そんな不安の一つとして、「子どもへの影響」も知っておきたいポイントです。

そこで今回は、親の債務整理が、子どもの生活や将来にどう影響するのか、詳しく見ていきましょう。

“債務整理で戸籍に傷がつく”はデマ!裁判所も否定しています

まず、債務整理についての有名なデマから否定してきます。
それは、「債務整理をすると戸籍に傷がつく」というものです。

「債務整理をすると戸籍に傷がついて、子どもたちが将来結婚できなくなる…」などの噂がありますが、これはまったくの間違いです。

大阪地方裁判所による、わかりやすい解説をご紹介します。
弁護士と、債務整理の相談をした「B介」さんとの会話という形になっています。

-B介-「せやけど,孫娘がなあ・・・。東京の孫娘が年頃で,ええ結婚話があるんですわ。ワシが破産なんかしたら,戸籍が汚れて,そのせいで孫娘の結婚が破談になってしまうんやないかと,もう心配で心配で・・・。(泣く)」

-弁護士-「大丈夫ですよ,安心してください,B介さん。破産しても戸籍に載ったりしませんよ。あなたが自分から破産したという話をしない限り,普通の人には,あなたが破産したということはまず分かりませんよ。」

-B介-「ほんまでっか。ワシの名前がマスコミに出たりしまへんか。」

-弁護士-「大企業の倒産じゃないんですから,あなたが破産しても普通の新聞には載りません。ただ,「官報」といって,役所が出している新聞のようなものには載ります。でも,この官報は,金融機関とか,サラ金とか,お役所関係とかの専門家でないと普通は読んでいないものですから,大丈夫ですよ。」

出典:大阪地方裁判所(archive)

上記の資料では、「破産(自己破産)」についての解説となっていますが、債務整理の他の手続き(任意整理、個人再生、特定調停)でも同様です。また、時効援用や任意売却など、他の手続きでも同じように、戸籍に傷がつくことはありません。

★債務整理はどこに“記録”される?正解は個人信用情報機関

「債務整理を行った」という記録が残るのは、“個人信用情報機関”と呼ばれるデータベースです。これは、個人の信用取引について、履歴を記録している機関となります。

あくまで“個人単位”での記録なので、世帯単位・家族単位での記録はありません。ですから、子どもの個人信用情報が汚れてしまう…といった心配もありません。

さらに言えば、債務整理によって返済の問題を解決することで、個人信用情報の記録も、一定期間できれいになります。

債務整理は、子どもの将来に悪影響まったくナシ

債務整理は、子どもの将来に悪影響をまったく与えません。
そもそも、「あなたが債務整理をした」という事を、第三者が知ること自体が難しいからです。

官報に掲載されても、知られない理由

債務整理でも、個人再生や自己破産をすれば、「官報」には記載されます。ですが、これは非常に細かい文字で、30ページ近くもあり、しかも新聞のように毎日発行されています。おまけに実態としては、誰もほとんど読んでいません。この「官報」に、一日だけ、非常に細かい文字で掲載されるので、実際には誰かに気づかれる心配がほとんど無いのです。

ましてお子さんが将来、就職や結婚をするとき、過去にまでさかのぼって、何千・何万もある官報のバックナンバーを調べ上げ、家族や親族の債務整理の記録まで探そうとする人は、どこにもいないでしょう。

子どもの学校生活への影響は?債務整理で転校は必要?

「親の債務整理は、子どもの将来に影響しない」と断言しても良いでしょう。ですが、「今通っている学校」についてはどうでしょうか?将来のことよりも、より身近な問題ですね。

これについても、原則としてはあまり心配はありません。
債務整理の当事者は、あくまで債権者と債務者。同じ家族であっても、「子ども」はまったく関係しないためです。

また、先ほどご説明したように、債務整理の事実は、第三者に知られる心配がまずありません。ですので、「債務整理が地域で噂になって、子どもが学校でいじめられないだろうか…」といった心配も無いのです。

転校については要配慮。「家の処分・引っ越し」が必要になる場合に備えを

一方で、「全くない」とは言えない心配もあります。
マイホームの売却・処分により引っ越しが必要となり、その結果、お子さんも転校を余儀なくされるケースです。

これは、

住宅ローンの返済が残った状態での債務整理
持ち家がある状態での自己破産

…といったケースで、特に注意が必要になるでしょう。「担保権の実行」による家の差押えや、自己破産の管財事件によって処分対象となる等のリスクがあるからです。

詳しくは以下の記事で解説しますが、こうした条件に当てはまる場合、債務整理に詳しい弁護士・司法書士といった専門家に、事前によく相談しておくことが重要です。

★住宅ローンの返済滞納で「競売」になると、子どもがいじめに遭う恐れも

「住宅ローンの返済で困っている」という場合は、逆に債務整理を“しない”ほうが、お子さんの学校生活への悪影響も予想されます。

住宅ローンの返済を滞り、その状態が続くと、やがて「競売」に掛けられてしまいます。そうなると、「競売物件情報」として、あなたの住所や氏名など個人情報が、裁判所から公表されてしまうのです。

その情報を見て、悪質業者が自宅にやってきたり、「何か事情を知りませんか?」と近所に聞き込みを行ったりするケースも多々あります。すると当然、住宅ローン滞納の事実が、地域にも知られてしまいます。結果として、お子さんが学校でいじめられたり…という被害も出てしまうでしょう。
住宅ローン問題に詳しい専門家の間でも、こうしたリスクは指摘されています。[1]

一方、債務整理を行えば、この「競売」を回避できるだけでなく、ほかの人に知られずに借金問題を解決できます。

ですので、お子さんの平穏無事な学校生活のためにも、住宅ローンの滞納は、「競売になる前に」債務整理で解決する必要があります。

 

脚注、参考資料
  • [1]住宅ローンが払えなくなったら読む本 矢田倫基 2017 幻冬舎 ISBN 978-4-344-91176-5

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