奨学金を滞納すると差し押さえ?国営サラ金と呼ばれる厳しい取り立てが!

投稿日:2016年7月29日 更新日:

 

「奨学金が返せない…」
「奨学金の返済がつらい…」
「奨学金の返済を滞納して給与を差し押さえられた」

そんな方が今、急増しているのを知っていますか?
報道によると、奨学金滞納者への訴訟件数は、2012年度で6193件。[1]
8年前の2004年から、なんと100倍にも増えています。

この背景には借り手の貧困に加え、日本学生支援機構の回収強化もあるでしょう。

もしも奨学金が返せなかったら、どうなってしまうのか…。
なぜ、奨学金を返せない人が、こんなに増えているのか…。
そして、奨学金を返せなくなったら、どう解決すれば良いのかを解説していきます。

奨学金が返せなくなったらどうなる?

奨学金は、「日本学生支援機構」という、ちゃんとした機関が行っている、就学支援の公的な社会福祉サービス。
なので、仮に返せなくなっても、怖い取り立てや厳しい督促はないだろう…と思えそうですよね。

ですが実は、奨学金の取り立ては、サラ金とまったく同じように行われます。
資料[2]から奨学金滞納者に対する対応の流れを見てみます。

滞納1日~3か月

(1)滞納解消をうながす督促状が送られる

まず、自宅に文章や電話による催告が行われます。
この段階では、「返済が遅れているので、早く払ってくださいね」といった程度です。
また、返還期限猶予制度の案内もあります。

滞納3か月~8か月

(2-1)ブラックリストに載る

個人信用情報センターに、滞納の記録が届け出されます。
これにより、いわば「ブラックリストに載る」状態になります。

以降、滞納を解消して、さらに数年ほど待たなければ、ローンを組むことも、クレジットカードを作ることも、アパートやマンションを借りることも、携帯電話を新しく購入することも難しくなります。

(2-2)取り立てが債権回収会社に委託される

また、この段階で、取り立てが民間の債権回収会社に委託されます。
債権回収会社とは、取り立て専門の企業です。
消費者金融(サラ金)などの取り立てを行うのと同じ企業が、奨学金の取り立ても行うようになります。

参考に、奨学金滞納の回収委託を受けていると思われる債権回収会社に関する記事を、以下に掲載致します。

(2-3)一括返済を求める書状が届く

これまで認められていた分割返済も認められなくなり(これを期限の利益の喪失といいます)、一括返済を求められるようになります。
残り500万円の返済がある場合、「一括でこの日までに500万円払って下さい」という請求になるわけです。

滞納9か月

(3-1)法的手続きを開始される

奨学金の一括返済を求めて、裁判所を通して「支払督促」を申し立てられたり、訴訟を起こされたりといった法的処置が執られます。
この結果、強制執行(差し押さえ)へと進む場合もあります。

(3-2)強制執行(差し押さえ)

債務名義が確定すれば、奨学金を借りている本人と、その保証人の財産や資産が、強制執行(差し押さえ)の対象となります。
自動車、土地建物などの不動産、給与、預貯金、保険金はもちろん、自宅にある家具や家電など、換金可能なものは全て差押対象です。

奨学金は国営サラ金?取り立てはかなり厳しい!

奨学金の取り立ての流れを見ると、「サラ金並に厳しい」と言わざるおえません。

サラ金と奨学金とで、取り立ての方法や流れに大きな違いはありません。
奨学金の場合も、「一括返還の請求」「支払督促」「訴訟」「強制執行」とステップが進むスピードは、サラ金と同様だと考えられます。

もちろん、サラ金に比べて圧倒的に低金利なので、その点はメリットです。

奨学金が返せない場合の救済措置…誰でも使えるわけじゃない?

厳しい面もある一方、奨学金には、「返せない場合の救済措置」も用意されています。
ただし、こちらも救済を受けるには条件があり、それがまた厳しい設定になっているようです。

奨学金の返済の全額免除を受ける(返還免除)

・本人死亡
・精神または身体の障害により、働けなくなった場合
など

奨学金の月々の返済額が一時的に減額される(減額返還)

・災害、傷病、経済困難、失業などにより、返済が難しくなってしまった場合
など

※あくまで一時的な救済措置です。
※トータルの返済額そのものは一切減りません。
※滞納があると申請できません。

奨学金の返済期間に猶予が認められる(返還期限猶予)

・災害、傷病、経済困難、失業などにより、返済が難しくなってしまった場合
など

※一時的に返済を待ってもらう制度です。
※トータルの返済額そのものは一切減りません。

簡単にまとめると、「奨学金を返さなくて良いですよ」と日本学生支援機構が認める場合は、『本人が死亡する』か、『働けないほどの重大な心身障害を負う』場合などに限られます。

それ以外では、たとえ東日本大震災のような大災害に見舞われたとしても、「一時的に待ってもらう」か「一時的に返済期間を延ばし、月々の返済額を減らす」ことしかできないと考えられます。

債務整理という解決策もある!

ここまで解説した救済措置は、あくまで日本学生支援機構(奨学金を貸しているところ)の制度です。

これ以外にも、弁護士・司法書士に債務整理を依頼することで、奨学金の返済が減額・免除される場合もあります。
こうした解決方法について、この記事の記事で詳しく解説しています。

 

なぜ急増?奨学金滞納者、裁判を起こされる人…

報道によると、奨学金を返せずに“訴訟を起こされた人”が、2012年度で6193件。[1]
その後も増え続けており、平成24年度(2014年)では支払督促申し立て予告も含めて、32,564件の法的処置が行われています。

日本学生支援機構による法的処理実施状況 (平成26年度)
支払督促申立予告 16,707件
支払督促申立 8,495件
仮執行宣言付支払督促申立 1,960件
強制執行予告 4,436件
強制執行申立 646件
強制執行 320件
合計 32,564件

出典:平成26年度業務実績等報告書-日本学生支援機構 archive

この資料から分かることは、一日当たり平均89件の法的措置が行われていることを示しています。
訴訟に至らなくても、一括返済を求められたり、奨学金滞納でブラックリスト入りしてしまった人は、相当な人数がいるでしょう。

なぜこれほどまで、奨学金に困る人が増えてしまったのでしょうか?

奨学金問題対策全国会議”の事務局長・岩重佳治弁護士は、「学費アップと就職状況の悪化」が、その背景にあると指摘しています。[3]

大学の学費の高騰

1970年代では、国立大学の初年度の費用は、たったの1万6000円。
私立大学でも、17万5000円程度でした。

ところが2010年では、国立82万円、私立130万円。
50倍以上もの価格になっているんです。

学費が高くなれば、奨学金で借りるお金も増えてしまいます。
1970年代と比べて、物価も確かに上がっています。
とはいえ、これだけの上昇となると、負担もかなり増えているのは間違いありません。

就職状況の悪化

昔と比べて、就職状況が悪くなっているのも原因の一つです。

昔の日本は、終身雇用が当たり前。
大学を出れば、いい会社に正社員で入社して、その後ずっと定年まで、お給料が保証されていました。
なので、奨学金を借りて進学しても、その後の人生(収入)が安定していたので、問題にならなかったんですね。

ですが今は、大卒だからといって安定した職業につけるとは限りません。
パート・アルバイト・派遣社員などで就業し、収入が少なく不安定になり、奨学金の返済が難しくなってしまう方も増えています。

また、新卒で正社員就職したものの、会社倒産・リストラ・転職失敗などにより、収入が不安定化してしまう方も少なくありません。

奨学金を返せない場合の解決方法は、専門家に相談すること!

それでは、奨学金が返せなくなってしまった場合の対象方法を解説していきます。

日本学生支援機構の認める「返済免除」の条件は…本人死亡など。
ですが、だからといって「返せないなら自殺しかない」なんて事はありませんよ!

任意整理、個人再生、自己破産など、一般的な債務整理の手続きが利用できる場合もあります。

自己破産というとちょっと重い気もしますが…。
任意整理や個人再生で解決できれば、より少ないデメリットで、奨学金の問題を解消できる可能性があります。

どちらにせよ、まずは弁護士・司法書士など借金問題に詳しい法律の専門家への相談が不可欠。

もたもたしていると、滞納9か月後には裁判です。
こうなってしまった時に、慌てて弁護士を探そうと思っても、もう間に合いません。

ですが、あらかじめ弁護士や司法書士に債務整理の相談しておけば、いざ奨学金滞納で訴えられた時にも対処でき、差押えなどを防ぐこともできるでしょう。
相談先については以下の記事をご覧下さい。

奨学金が返せない、返還できない…債務整理で解決する方法

 

 


※この記事の参照資料・出典資料
[1]奨学金訴訟、100倍に8年で急増 借り手困窮/機構、回収強化:朝日新聞デジタル archive1 archive2
[2]【奨学金事業への理解を深めて頂くために[報道等を見て関心を持たれた皆様に向けたデータ・ファクト集]平成29年11月-日本学生支援機構 link archive1 archive2
[3]奨学金問題対策全国会議事務局長 岩重佳治弁護士インタビュー(前編) link archive

-奨学金, 滞納・返済

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