給付型奨学金の審査の条件は?ブラックリストや借金があっても大丈夫?

投稿日:2018年7月9日 更新日:

★この記事を読んでわかること
(約6分で読めます)
  • 給付型奨学金とは?返す必要のない「もらえる奨学金」。
  • 給付型奨学金の審査条件は?メリット以外にデメリットも。
  • 給付型奨学金の審査に落ちた場合どうすればいい?

平成30年から始まった、「給付型奨学金」。
一口にまとめれば、“返す義務のない奨学金”です。

これまでの奨学金制度は、貸与型で“返還義務あり”が基本でした。そのため、「事実上の学生ローン」「国営サラ金」など、厳しい批判を受けることもありました。こうした声を受けてか、“返さなくて良い給付型の奨学金”が、平成30年から本格的にスタートしました。

そこで今回は、この給付型奨学金を「利用したい」と考える親御さんのために、簡単な仕組みや、メリット・デメリットなどを解説していきます。

なお、今回は“わかりやすさ”を重視して、なるべく簡単な解説にしていきます。
詳しい説明は、日本学生支援機構や、お子さんの学校の、奨学金申請の担当教員などにお問い合わせください。

給付型奨学金のメリットとデメリット

それでは、給付型奨学金の主なメリットとデメリットを確認して、その特徴を掴んでいきましょう。

給付型奨学金の主なメリット

返還義務がない(返さなくて良い)
平たく言ってしまえば、“お金をもらえる”わけですね。これが最大のメリットと言えるでしょう。これ以外には特別なメリットはありませんが、この1点だけでも十分に大きいですね。

給付型奨学金の主なデメリット

適用条件(審査)が厳しい
給付型奨学金は、誰でも利用できるわけではありません。適用条件(審査)があり、大きく分けて「所得」と「成績」で判断されます。

所得条件…家計支持者が住民税非課税(所得割が0円)であること
たとえば、夫婦と子ども2人の世帯だと、年収256万円以下が条件となります。

成績条件…“成績が高い”または“教科以外の活動で優れた成果”
この部分は、非常にあいまいな基準になっています。「給付奨学生採用候補者の推薦に係る指針(ガイドライン)[1]」によると、

「各学校の教育目標に照らして十分に満足できる高い学習成績を収めている」
「教科以外の学校活動等で大変優れた成果を収め、各学校の教育目標に照らして概ね満足できる学習成績を収めている」

といった内容が記載されています。
柔軟な判断ができそうな反面、“現場のさじ加減”で決められてしまう部分もあるかもしれませんね。

競争率が激しい(100人中2~3人)
給付型奨学金は、人数にも限りがあります。予算として確保されているのは、2万人分のみ。大勢いるように思えるかもしれませんね。ですが2万人という数字は、2015年に大学・短大・専門学校に進学した人の、たったの2.6%にしかなりません。つまり、仮に全員が給付型奨学金を申請した場合、100人あたり2~3人しか通らない事になります。

所得証明書や、家計の状況をつぶさに提出しなければいけない
給付型奨学金の審査を受けるためには、「所得証明書」をはじめとし、家計の状況をつぶさに提出しなければいけません。
毎月の収入がいくら、生活費がいくら、借金の有無と金額…など、かなり細かい資料の提出を求められます。子どもの通う学校を通して提出する事になるため、プライバシーの面で不安を感じる方も多いようです。

★給付型奨学金は、“返還を求められる場合”がある

給付型奨学金は貸与型と違い、「返さなくて良い」のが最大のメリット。ですが、成績不振になってしまった場合など、“給付がストップ”され、さらに“これまでの給付分の返還を求められる”ことがあるようです。
こうしたケースを考えると、“返さなくて良いから”と油断はできませんね。

給付型奨学金の審査に通らなかったら

給付型奨学金は、所得条件や成績条件があり、なかなか利用したくでも難しそうですね。もしも審査に通らなかった場合、どうすれば良いでしょうか?

進学をあきらめる(子供に諦めてもらう)
企業奨学金、私学奨学金など、他の方法を検討する
通常の返還型奨学金で借りる

…など、いろいろな選択肢があります。
ただ、できれば「進学をあきらめる」というのは避けたいですよね。まだまだ日本社会は学歴社会。就職だけでなく、結婚にも影響する場合もあります。

では、企業奨学金や私学奨学金など、企業や学校(私立大学など)が独自に行っている奨学金はどうでしょうか?こちらも審査があるほか、基本的に“成績優秀者”でないと難しいのが一般的です。

最後にもっとも可能性が高いのが、通常の“貸与型奨学金”を利用することです。給付型奨学金は利用できなくても、貸与型奨学金は利用できる場合が多々あります。
とはいえ、これは事実上の借金ですから、その後の返済のことまで考えて、しっかりと今から準備をしておくことが大切になります。

給付型ではない返還型(貸与型)奨学金も、備えて利用すれば問題なし

「返還を滞納すると取立てが厳しい」
「債権回収会社から督促が来てしまう」

…など、批判的な声も目立つ“返還型(貸与型)奨学金”。ですが、計画的に利用すれば、決して悪い制度ではありません。

貸与型奨学金の“危険性”の正体と、その対策

貸与型奨学金の問題は、現代の就職事情と関係しています。

一口に言えば、「奨学金を借りて大学や専門学校に進んでも、卒業後、(就職して)返せるようになるとは限らない」という事です。
だから事実上、“返せるアテのわからない借金”になってしまうわけです。

逆に言えば、“返済に困った時の備え”さえできていれば、大きな足かせにはなりません。つまり、今から2年後~4年後、お子さんが社会に出て、奨学金の返還をはじめる時に、“家族として助けてあげられる余力”を作っておくことが対策になります。

貯金を作っておくことが大事!でも難しい…そんな場合は

給付型奨学金には、「審査が厳しい」「競争率が高い」という問題があります。
多くの家庭では、通常の貸与型(返還型)奨学金を選ぶことになるでしょう。

貸与型奨学金の危険性は、“学校を出ても、就職がうまくいって、返せるアテができるとは限らない”という、先行きの不透明性にあります。
そのため、お子さんが世に出る2年後~4年後を見据えて、今のうちに“家族での支援体制”を整えておくことが、重要な対策になります。

平たく言ってしまえば、「いまから貯金しておく」という事です。

ただそうは言っても、現実には難しいですよね。
特に、ローンやクレジットカードなど、借金の返済に追われている場合、「絶対に無理」と思える人も多いでしょう。

そこで、ここからは、“ローンやクレジットカードなどの返済”が理由で、経済的な困難に陥っていたり、貯金ができないご家庭を対象に、アドバイスをお届けしていきます。

《こんなご家庭が当てはまります》
クレジットカードのリボ払いや長期の分割払い、ボーナス払いがある
住宅ローンや自動車ローンが残っており、返済に追われている
カードローンやキャッシングの返済で、生活がギリギリ
教育ローンやその他の借金の返済で、家計が毎月赤字になってしまう

今ある家計の借金を“早く終わらせる”ことが重要

もっとも重要なポイントは、“今ある家計の借金”を、なるべく早く終わらせることです。

お子さんが給付型奨学金の審査に通らず、貸与型奨学金を借りた場合、学校を卒業する2年後~4年後には、“数百万円の事実上の借金”を抱えて、世に出ることになります。その時、ご両親やご家庭にも、今ある借金の返済が残っている…という状態では、安心してお子さんの一人立ちを見守れませんよね。

だからこそ、2年後~4年後、お子さんが学校を卒業するころを目標に、“今ある借金の完済・整理”を目指して、今からアクションを取っていく必要があります。

それでは、具体的にどんな方法を取れば良いのでしょうか?

「早く完済したいけれど、収入を増やすのも、節約も、これ以上は難しい」

そんな方のために、詳しい方法を、次の記事でまとめています。
こちらも是非、あわせてご覧ください。

 

給付型奨学金の審査に、ブラックリストや借金は関係ある?

「借金があって、返済を滞納している」
「信用情報がブラックになっているかもしれない」

こうしたご家庭の場合、給付型奨学金の審査に影響するのか見ていきましょう。

給付型なので、個人信用情報は関係ない?

日本学生支援機構のガイドラインによると、給付型奨学金の審査項目は、「所得」と「成績」のみとなっています。それ以外の審査基準については、公表されていないようです。つまり、はっきりと“影響する”とも“影響しない”とも言えない状況です。

ただ、給付型奨学金は“返さなくて良い”ので、個人信用情報も関係しない…といった見立てもできます。その場合、ブラックリストも審査に響かないでしょう。

とはいえ、給付型奨学金の申請手続きの中で、家計の所得状況を提出する必要もあるようです。“借金の有無”についても聞かれるとのこと。この点を見ると、借金の有無が、審査にプラスに働くのか、それともマイナスに働くのかはわかりませんが、何かしら影響が出る可能性もありそうです。

審査に通るかは別として、借金は早く完済したほうが良い

この記事の前半でも解説しましたが、給付型奨学金の審査条件は、“借金があるか・ブラックリストかどうか”に関係なく、“誰にとっても厳しい”ものになっています。

現実問題として、給付型奨学金の審査に通らず、貸与型(返還型)奨学金に頼らざるおえない状況も発生するでしょう。

そうした事を考えると、審査に通るかは別としても、今ある借金は早めに完済しておきたい所です。
返済を早く終わらせる方法について、次の解説記事を、ぜひ詳しくご覧ください。

 

もっと詳しく:給付型奨学金について

ここから先は、予備知識的な解説になります。
そもそも、なぜ今になって、給付型奨学金が導入されたのでしょうか?
その経緯を振り返ってみましょう。

給付型奨学金の本格導入は、2018年から

給付型奨学金は、2017年に一部先行導入され、2018年から本格的な実施がはじまった制度です。

JASSO日本学生支援機構の奨学金制度そのものは、前身の「日本育英会」が設立された、1943年10月まで遡ります。それから75年という長い年月を経て、ようやく「返さなくて良い奨学金」が導入される運びとなりました。

給付型奨学金は、国際社会の流れに合わせて導入された

もともと、貸与型(返還型)の奨学金は、「国営サラ金」「実質ただの学生ローン」など、厳しい批判も以前からありました。また、“返さなくて良い給付型の奨学金が必要”という声も、何年も前から上がっていたようです。

そうした中で、国が給付型奨学金制度の必要性を正式に認めたのは、2016年。
第二次安倍内閣にて閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン[2]」によって、給付型奨学金を導入する方針が明確化されます。

この背景には、世界的な流れもあると言われています。
OECD(経済協力開発機構:Organisation for Economic Co-operation and Development)加盟国の中で、学費が比較的高く、かつ給付型奨学金が整備されていないのは、日本・韓国・チリの3か国のみ(2016年時点)。
グローバル・スタンダードを見れば、「学費が安い国」か、「給付型奨学金が整っている国」か、どちらかがOECD加盟国の主流という状況です。

こうした世界的な流れもあり、同時に国内からの多くの要望もあり、国も給付型奨学金の導入に踏み切ったと見られています。

給付型奨学金でもらえる金額(給付金額)

国内の要望と、国際社会の流れから、ようやく導入された給付型奨学金。
ですが、その給付金額を見ると、まだまだ充実しているとは言い難い実情もあるようです。

給付型奨学金でもらえる金額(給付金額)は、以下の通り。

国公立自宅通学 2万円/月
国公立自宅外通学・私立自宅通学 3万円/月
私立自宅外通学 4万円/月

この金額は、決して“これだけで学費を払いきれるものではない”と言われています。

たとえば、国立大学の授業料は、年間53万5800円。これに入学金や、日々の学生生活にかかる費用なども含めると、必要な分のおよそ半分程度しかカバーできないとも言われています。

給付型奨学金の審査基準

記事の前半でも触れましたが、改めて審査基準についても、まとめておきましょう。
審査基準として公表されているのは、「所得」と「成績」の2点となっています。
短くまとめると、次のようになります。

所得 所得税非課税世帯であること
成績 学科、もしくはそれ以外の学生活動において優秀であること

「所得税非課税世帯」というのは、収入が少なすぎて、所得税の課税額がゼロになっている世帯です。相当な貧困世帯でなければ、給付型奨学金を得られない…と考えても良いでしょう。

一方、ブラックリストなどの個人信用情報や、借金の有無については、あまり審査に関係しない様子でもあります。

給付型奨学金の申請方法

給付型奨学金の申請方法は、原則として、所属する高校を通して手続きする事になります。学校に奨学金担当の教員がいるので、詳しくは通っている高校の先生に訊いてみましょう。申請期限は高校によって異なるようです。

現状の給付型奨学は不十分?さらなる拡充を求める声も

現状の給付型奨学金は、「給付額が少ない」「条件が厳しい」など、制度として不十分だとする声もあります。

ただ、奨学金を日本学生支援機構は、法律(独立行政法人日本学生支援機構法)で定められた機関ではあるものの、独立採算制の“独立行政法人”でもあります。そのため、あまり給付型奨学金の枠(予算)を増やしすぎると、採算がとれず、日本学生支援機構の維持そのものに支障をきたす恐れもあるのでしょう。

こうした制度的な難しさもあるため、給付型奨学金が幅広く定着するまでには、まだまだ時間が掛かりそうです。現実には、返済義務のある“貸与型奨学金”を頼らざるおえない人も多いでしょう。

貸与型奨学金が実質借金である事を考えると、他の借金がある場合、早めに完済しておきたい所ですね。

 


--脚注--
[1]給付奨学生採用候補者の推薦に係る指針(ガイドライン) archive
[2]ニッポン一億総活躍プラン archive

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