この記事では、債務整理後の借入審査やブラックリストについて解説します。
債務整理とは、借金などの返済を減額・免除する手続きです。
- 銀行カードローンやキャッシング、サラ金
- クレジットカードの返済(リボ払い・分割払い・ボーナス払いなど)
- 住宅ローンや自動車ローン
- 奨学金の返還
- 家賃滞納、携帯電話料金の滞納
- 債権回収会社や保証会社からの督促・取り立て
…こうした問題で悩んでいる場合、債務整理によって、返済を減額・免除して生活を立て直せる可能性があります。
ですが、“返済を減額・免除”という大きなメリットがある反面、
「債務整理をすると、ブラックリストになるのでは?」
「債務整理後は、一生、ローン審査や借入審査に通らないのでは」
…といった心配もあるかと思います。
そこで今回は、こうした心配について、実際にどうなるのかを解説していきます。
この記事では、債務整理全般について、ブラックリストや債務整理後の借入審査など解説していきます。
ただし債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」といった種類があり、それぞれに特徴が異なります。それぞれの手続きごとに、より一歩踏み込んだ解説は、以下の記事をご覧ください。
《内部リンク予定:任意整理後はブラックリストになる?ローン審査に通らない?》
《内部リンク予定:個人再生をするとブラックリスト?ローン審査に通らない?》
《内部リンク予定:自己破産後はブラックリストになる?ローン審査に通らない?》
目次
債務整理をするとブラックリスト…“しなくても”ブラックに
いきなり結論から言えば、「債務整理をするとブラックリストになる」というのは、本当です。
ただし、「それならブラックになりたくないから、債務整理はやめておこう」と考えるのは、少し待ってください。
そもそも、ブラックリストになる原因は、債務整理だけではありません。
- 返済を滞納した
- 督促状や催告書、一括返済請求書、期限の利益喪失通知などが届いている
- 滞納が続き、保証会社が代位弁済を行った
- 昔の借金の返済を止めたまま忘れていた
- 債権回収会社から督促が来た
…こうした場合、残念ながら、“すでに返済滞納により、ブラックリストになっている”可能性が極めて高いでしょう。
ですので、こうした事態を解消するために債務整理を行っても、改めてブラックリストになったり、さらに悪化したり…という事はありません。
まだ滞納していない人も、遅かれ早かれブラックに…
「私はまだ滞納していないから」という方も、先々のことを少しだけ想像してみましょう。
当サイトをご覧頂いているという事は、返済に何かしら心配な事情があり、債務整理を検討されている事と思います。このまま何もせず放置しておけば、いずれ近い将来、ブラックリストになってしまうでしょう。
そう考えると、むしろ先手を打って債務整理をはじめてしまったほうが、傷が浅く済むことも多々あります。そうした考え方も頭の片隅に入れて、続きをお読みいただければと思います。
債務整理で、“ブラックリスト解除”の目途が立つ
さて、先ほどは理解しやすさを重視し、「債務整理で、ブラックリストになる」と解説しました。
ですが、債務整理は「ブラックリストになる“ための”手続き」ではありません。むしろ逆に、借金などの返済の悩みを解消し、“ブラックリストを将来的に解除できる”手続きと言えるでしょう。
一体どういう事なのか、順を追って解説します。
ブラックリストは実在しない“たとえ話”
まず、そもそもブラックリストとは何でしょうか?
実際にこれは、「お金を貸してはいけない、信用ゼロの人リスト」のような名簿ではありません。ブラックリストという名簿やリストは、実在しないのです。
ブラックリストの正体は、次の「信用情報機関」と呼ばれるデータベースです。
- JICC(日本信用情報機構)
- CIC(シーアイシー)
- 全国銀行個人信用情報センター
キャッシングやカードローン、クレジットカード、その他の借金や分割払いなどを利用すると、その利用履歴(のようなもの)が、「信用情報機関」に記録されていきます。これは、普通に使っていても、問題なく返済していても、記録されていくものです。
そして、返済を滞納したり、保証会社による代位弁済が行われたり、あるいは債務整理をすると、そのことも記録されます。
逆に言えば、「貸してはダメ」とか、「信用ゼロ」と書かれるのではなく、“単に事実が記録されるだけ”なのです。
とはいえ、この個人信用情報は、ローンなどの審査の時に、業者によって照会されます。そこで例えば“滞納”の記録があると、
「この人は他社さんで滞納しているから、うちもローン審査は通さないでおこう」
…と判断され、審査に落ちてしまいます。
このように、「個人信用情報に不利な記録が載っていて、それが原因でローンなどの審査に“通りにくくなる”状態」のことを、たとえ話として、ブラックリストと呼んでいるわけです。
ブラックリストの記録は、次々と更新されていく
個人信用情報に不利な記録が載っていて、それが原因でローンなどの審査に“通りにくくなる”状態
これがブラックリストの正体ですが、実はもう一つ重要な仕組みがあります。ブラックリストの情報は、時間が経つと次々と更新され、古い記録は消えていくのです。
ここでかんたんに、イメージを掴んでみましょう。
たとえば、平成30年4月に、ローン返済を滞納してしまった場合です。
・平成30年1月 … 支払
・平成30年2月 … 支払
・平成30年3月 … 支払
・平成30年4月 … 滞納
こんな風に、滞納の事実が記録されます。
これによって、“他社のローン審査も通らないブラックリスト”になってしまいました。
さて、4月は滞納してしまいましたが、5月分以降はまた遅れずに返済していったとしましょう。ただし、4月分の支払いは、督促を無視して放置しているとします。
すると、個人信用情報はこんな風になります。
・平成30年3月 … 支払
・平成30年4月 … 滞納
・平成30年5月 … 滞納
・平成30年6月 … 滞納
5月分、6月分は滞納せずに払っているのに、“滞納”の記録が続いています。4月分の滞納が解消されていないので、その後の分をちゃんと払っても、個人信用情報は“傷がついたまま”になってしまうのです。
債務整理をすると、ブラックリストの原因=“返済滞納”が、将来的に解消される
それでは、先ほどの続きを見ていきましょう。
個人信用情報に“滞納”が記録され、ブラックになってしまいましたが、解決のために債務整理を行ったとします。
すると個人信用情報は、こんな風になります。
・平成30年6月 … 滞納
・平成30年7月 … 滞納
・平成30年8月 … 滞納
・平成30年9月 … 債務整理
“債務整理をした”と、記録されるのですね。
そして、債務整理によって借金が減額され、減額後の返済がスタートします。すると個人信用情報は…
・平成30年8月 … 滞納
・平成30年9月 … 債務整理
・平成30年10月 … 返済
・平成30年11月 … 返済
このように、どんどん“キレイになっていく”のですね。
こうして順調に回復していけば、いずれ過去の滞納や債務整理の記録も更新されて消えていくので、ブラックリストが解除されるのです。
実際のブラックリスト解除はいつ?
先ほどの例では、わかりやすさのために、4ヵ月ぶんの記録として個人信用情報のイメージを解説してきました。ですが実際には、個人信用情報機関の記録は、5年~7年分が保存されると言われています。
そのため、債務整理で返済滞納を解消し、良い記録が積み重なっていけば、5年~7年後には“過去の滞納や債務整理の記録が消えて、ブラックリストが解除される”事になります。
債務整理後のローン審査、「一生通らない」はウソ
さて、ここまでお読みいただいた方なら、
「債務整理後は、ブラックリストでローン審査に一生通らなくなる」
というのが、まったくのウソだと、見抜くことができるでしょう。
「債務整理で滞納を解消すれば、そのうち信用情報がキレイになり、ブラックが解除される」…この仕組みがあるので、一生傷が残るような事にはなりません。
さらに言えば、“滞納”や“債務整理”の記録が残っていても、その後の返済がしっかりしていれば、ローンなどの審査に通ることもあるようです。
たとえば、こんな記録を想像してみましょう。
・平成30年9月 … 債務整理
・平成30年10月 … 返済
・平成30年11月 … 返済
(…省略…)
・平成32年3月 … 返済
・平成32年4月 … 返済
・平成32年5月 … 返済
この記録だと、「個人信用情報に“債務整理”が記録されているので、ブラック」と言えるでしょう。ですが、その後の順調な返済が続いていること、減額後の借金をまじめに返済している努力も、同じ記録から読み取れます。
「債務整理したとはいえ、もう2年もまじめに返済を続けている。だから、この人は信用して大丈夫だろう」
…そんな風に判断され、ローンなどの審査に通る可能性もあるでしょう。