債権回収会社が暴力団関係で行政処分!借金取り立てと反社会的勢力の問題

投稿日:2016年10月23日 更新日:

法務省

『借金の取り立て』というと、どうしてもヤクザや暴力団のイメージがありますよね。
かつては確かに、こうした反社会的勢力が取り立て業務に関わっており、テレビドラマで描かれるような、悪質な取り立てが横行していた時期もありました。

ですが近年では、“反社会勢力の排除”を掲げて、債権回収業からも暴力団の一掃が図られています。国の認めた合法的な「債権回収会社」も、実はこうした反社会勢力の一掃を目的に作られた制度でもあるんです。

こうした暴力団排除の努力により、近年では、たとえ借金の取り立てであっても、反社会的な人物が関係することは、ほとんど無くなってきました。

ですが、“まだまだ完全ではない”ことも確かです。

事件情報:ベル債権回収会社に行政処分

残念な事件が発生してしまいました。
ベル債権回収会社にて、“元暴力団員が関与する会社に対して債権譲渡を行っていた”事が、法務省の検査により発覚しました。

法務省の報道発表資料から抜粋します。

債権回収会社に対する行政処分について
報道発表資料
平成28年7月15日

本日、ベル債権回収株式会社に対して、債権管理回収業に関する特別措置法第23条の規定に基づき、業務改善命令を発出しました。
(中略)
●元暴力団員が関与する会社に対して債権譲渡を行っていたことに関し、債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年法律第126号。以下「法」という。)第19条第2項違反の事実は認められないものの、当該債権譲渡に関連する一連の事務処理において、不適切な対応が認められる。
●会社全体として、暴力団等の関与を排除しようとする意識が欠如しており、法令遵守意識の徹底が不十分である。
●個別案件を特定の社員に任せきりにするなど、従業員管理やリスク管理等の債権管理回収業を適正に営むための管理態勢、相互牽制態勢が十分に構築されていない。

出典:
法務省:債権回収会社に対する行政処分について link archive
立入検査において認められた不備事例 link archive

元暴力団員が関与する会社に対して債権譲渡を行っていた
違法ではないが、不適切な対応が認められる

というのが、今回の行政処分の理由です。

事件解説~違法ではないが不適切、その理由とは?

第19条第2項違反の事実は認められないものの、当該債権譲渡に関連する一連の事務処理において、不適切な対応が認められる。

この部分について、少し詳しく解説させてください。
『債権管理回収業に関する特措法』第19条2項では、債権回収会社が、債権譲渡してはいけない相手を定めています。

一 暴力団員等
二 暴力団員等がその運営を支配する法人その他の団体又は当該法人その他の団体の構成員
三 当該債権の管理又は回収に当たり、第十七条第一項若しくは前条の規定に違反し、又は刑法 若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯すおそれが明らかである者

出典:債権管理回収業に関する特別措置法

「暴力団員」は禁止されていますが、「元・暴力団員」は禁止対象になっていません。

今回の事件では、ベル債権回収会社が債権譲渡してしまった相手は、“”暴力団員の関わる会社でした。
あくまで“”なので、第19条第2項違反にはならないと考えられます。

とはいえ、反社会的勢力の排除の精神に照らし合わせたときに、「違法ではないが不適切」と判断され、業務改善命令が発出されたようです。

ベル債権回収会社は違法ではありません

今回、法務省から業務改善命令を受けた「ベル債権回収会社」ですが、これをもって違法企業だとは判断されていません。

法務省からの「債権回収会社の認可」も引き続きキープしており、現在も合法企業と公的に認められて、業務を続けています。

あくまで「業務の一部に、改善すべき点がある」とされたのが、今回の事件のあらましです。
現在は、さらなる健全化に向けて、不断の企業努力をされていると思われます。

暴力団排除の取り組みは、社会全体の問題

今回の事件は、非常に考えさせられる所の多い事件だと思います。

もっとも強く感じたのは、「暴力団排除の取り組みは、社会全体の問題」という事です。今回はベル債権回収が行政処分を受ける事になりましたが、元暴力団関係者とかかわっていたのは、ベル債権回収会社ではなく、その“取引先”です。

社会全体に浸透してしまった、暴力団関係、反社会組織のネットワークを根絶することは、一社、二社の企業努力だけでは、本当にできません。私たち一人ひとりも含めた、社会全体で意識を高めていかなければならない…と感じます。

たとえば、暴力団、詐欺、闇金などの被害に遭ってしまい、相手に脅されて、言われるままお金を払ってしまえば、そのお金は新しい犯罪の資金源になってしまいます。

そうした事が無いように気を付け、また、万が一被害に遭ってしまったら、反社会勢力にお金を払わずに解決する方法を取らなければいけません。


行政処分を受けたベル債権回収会社を、単に批判するだけでは、反社会勢力問題の根本的な解決からは遠ざかってしまうでしょう。
一つ一つの企業の問題ではなく、社会全体の問題として、これからも広い目でチェックしていく必要があると感じます。

 

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