知っておきたい時効援用の専門用語をわかりやすく解説

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この記事では、時効援用(債務の消滅時効の援用)について、知っておきたい専門用語を、わかりやすく解説していきます。

※簡便のため、手短な解説に留まります。厳密な解説とは異なる項目もあるため、予めご承知下さい。時効援用について詳しく知りたい方や、実際に時効援用を行いたい方、その他の疑問がある方は、弁護士・司法書士・行政書士の無料相談もご活用下さい。

時効援用に強い弁護士・司法書士

時効援用に関する専門用語

消滅時効

消滅時効とは、「一定期間行使されなかった権利が、時効で消滅する」制度です。民法第7章 時効(第144条~第174条の2)[1]によって定められています。

債務の消滅時効については、「債権者の債権(返済を受け取る権利)が消える」と言ったほうが良いでしょう。これを債務者の立場から見れば、「返済する義務が消える=返済しなくて良くなる」という事になります。

時効の援用

消滅時効制度を、債務に対して「援用」することを差します。
援用とは、ここでは「その制度を使う」といった意味合いだと理解して良いでしょう。

時効になった債務は、「もう時効なので、消滅時効を援用します」という意思表示をすることで返済義務がなくなります。これを「時効の援用」と言います。
厳密な手続きは法的には決められていませんが、確実を期すため、内容証明郵便にて行う事が通例です。

時効の完成

時効の完成とは、「定められた時効期間を過ぎた」ことを差します。「時効が完成している」など、文脈によって細かな言い回しは変化します。

「時効が完成している」状態だけでは、まだ返済義務は消滅していない点に注意が必要です。時効が完成した後、時効援用の手続きを取ることで、返済義務が無くなります。

時効債権

すでに時効期間を過ぎている(時効が完成している)債権を差す言葉です。
時効債権でも、まだ時効援用がされていなければ、債権そのものは消滅していません。そのため、時効債権について督促を行ったり、裁判所に訴えて支払や返済を求めたり、強制執行を申し立てる事などは、すべて合法となります。

債権回収会社や、債権回収に強い弁護士事務所などが、時効債権の督促を扱っている場合もあります。
こうした督促を受けた場合、相手に連絡せず、時効援用を行うことで、返済義務を消滅できる可能性があります。

時効の起算点

時効期間のカウントが始まる日のことです。
債務の消滅時効は、内容によって5年~10年と定められています(※2020年以前の現行民法)。この5年~10年のカウントが始まる日を、時効の起算点と呼びます。

現行民法では、「最終返済日の翌日」または「時効の中断が行われた日の翌日」等と解釈されます。2020年施行の改正民法では、この点が以下のように改められます。

『権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、または、権利を行使することができる時から10年間行使しないときのいずれか早く到達するとき』(改正民法第166条 主観的起算点)

最終弁済日(最終取引)

返済など、最後の取引を行った日を差します。
2020年以前の現行民法の法制下において、一般的に時効の起算点とされる日付となります。
時効の中断が発生している場合、時効の起算点は、最終弁済日ではなく、時効中断の発生した翌日となります。

時効の中断(時効の更新)

時効期間の経過のカウントがリセットされ、振り出しに戻ってしまうことを、現行民法では「時効の中断」、2020年改正後の新民法では「時効の更新」と呼びます。

時効の中断事由にあたる出来事が生じると、時効の中断となり、時効の起算点がその翌日に改められ、そこからまた時効期間のカウントが再スタートします。

時効の中断事由

時効の中断をもたらす出来事です。
請求(裁判上の請求、内容証明郵便による催告)
仮処分・仮差押え・仮執行
債務承認
の3つがあります。

裁判上の請求

裁判所を通しての、法的手続きによる督促を差します。具体的には、通常訴訟、少額訴訟、支払督促などが挙げられます。
こうした法的手続きが申し立てられると、時効の中断が発生し、時効の起算点がその日に改められます。

内容証明郵便による催告

内容証明郵便で督促状などが送られると、その時点から6か月間、時効のカウントがストップします。このストップは、時効の中断と異なり、一時停止的なものになります。
そして、内容証明郵便の発送から6ヵ月以内に、裁判上の請求を行うことで、時効が中断されます。

債務承認

債務の存在を認める言動のことで、時効の中断事由の一種となります。たとえば以下のようなものが、債務承認になるとされています。

返済を一部だけでも行う
「今は払えません」「一括返済は難しいです」など、債務があることを前提とした発言
…など

債務承認は、その行動が債務承認になると自覚していなくても、生じてしまいます。そのため、債権者に自分で電話を掛け、無自覚のうちに債務承認となる発言を行ってしまい、その結果、時効援用ができなくなる…といったトラブルも珍しく無いようです。

仮執行・仮処分・仮差押え(民事保全)

仮執行や仮処分・仮差押えは、「民事保全」と呼ばれる法的手続きです。時効の中断事由の一種となります。

差し押さえ(強制執行)と同様に、財産を裁判所に取り上げられてしまう手続きです。ただし民事保全の場合、正式な判決が確定するまでの「仮の措置」となります。

法的措置(訴訟など)の期間は長期間に渡ることもあるため、その間に債務者(裁判では被告)に財産を隠されたり、処分されてしまう恐れもあります。それを防ぐために、申し立てを行った時点での財産状況を保全するために行われる措置となります。

時効援用権の喪失

時効援用権の喪失とは、「時効援用をする権利を失ってしまう」ことです。時効完成後の債務承認によって引き起こされます。
時効援用権の喪失が起きると、その債務は、何年たっても時効援用ができない(認められない)事になってしまいます。
そのため、時効完成後(時効の期間が過ぎた後)の債務承認には、特に注意が必要となります。

時効援用の手続きに関連する用語

弁護士・司法書士・行政書士

弁護士・司法書士・行政書士は、国家資格をもって法律業務などを行う法律の専門家です。

弁護士がもっとも取り扱い分野が広く、民事訴訟、刑事訴訟、法律相談、法律事務など、幅広い業務が認められています。

司法書士は、登記や供託の代理、裁判所・検察庁・法務局に提出する書類の作成などが行えます。また、簡裁訴訟代理認定を持っている場合は、簡易裁判所においては、弁護士とほぼ同様の幅広い法律業務が行えます。
1件あたり140万円以下の債務については、簡易裁判所で債務整理や時効援用が行えるため、簡裁訴訟代理認定を持った司法書士なら取り扱える業務となります。

行政書士は、公官庁に提出する書類や、権利義務・事実証明に関する書類の作成を行えます。時効援用も、時効援用通知書が「権利義務・事実証明に関する書類」となるため、行政書士が行える範囲となります。

借金問題の解決に関しても、時効援用や債務整理を行ったり、そうした手続きに関する相談や、借金の悩みの相談に応じることも可能です。

ただし、すべての弁護士や司法書士・行政書士が時効援用や債務整理に強いわけではありません。「債務整理や時効援用のことはほとんど知らない、まったく実務経験がない」という弁護士・司法書士・行政書士もいます。

そのため、借金やローンなど、債務の時効援用について相談する場合は、時効援用に強い弁護士・司法書士・行政書士を選ぶ必要があります。

受任通知

弁護士や司法書士に正式に依頼を行った際に、係争の相手方などに対して発行される通知です。弁護士や司法書士が法定代理人になった事を示します。時効援用や債務整理の場合、債権者に対して発送されます。

債権者が貸金業者または債権回収会社の場合、この受任通知の発送によって、取り立てがストップします。最短即日で受任通知を発送できる弁護士や司法書士もいるため、最短即日で取り立てストップも可能となっています。

この取り立てストップの効果は、以下の法律に基づいています。

債権者が貸金業者の場合は、貸金業法第21条1項[2]
債権者が債権回収会社の場合は、債権管理回収業に関する特別措置法第18条8項[3]

なお、行政書士は法定代理人となれないため、受任通知を発行することはできません。

時効援用通知書

時効援用を行う際に、債権者に通知する書類です。以下のような内容を盛り込んで作成されます。

  • 日付
  • 債権者名、事務所所在地、代表者氏名
  • 差出人(援用者)の住所氏名、連絡先などの情報、押印
  • 債権の内容を特定する情報
  • 時効が完成していることの主張
  • 「時効を援用する」という明確な意思表示

正確な情報を、適切な文面で記載する必要があります。また、発送は配達証明つきの内容証明郵便で行います。
自分で作成して送付するのは難しいため、弁護士・司法書士・行政書士などに依頼するほうが良いでしょう。

配達証明つき内容証明郵便

配達証明は、「その郵便物を、確かに配達した」という証明を、郵便局が行うものです。(郵便法第47条)[4]
内容証明郵便とは、「その内容の郵便物を発送した」という事を、郵便局が証明できる仕組みの郵便物です。(郵便法第48条)[5]

つまり、配達証明つきの内容証明郵便は、「その内容の郵便物を、確かに発送した」という事を、第三者である郵便局が証明できる仕組みとなります。

内容証明郵便には、文面の書式などに細かい決まりがあります。また、内容証明郵便、配達証明ともに、通常の郵便料金とは別途の費用が掛かります。

借金やローンなど、返済・支払に関する専門用語

債務・債務者

「債務」とは、返済や支払など、お金を払う・返す義務のことです。この債務を背負っている人を、「債務者」と呼びます。

なお、「債務」には、いわゆる借金(現金の貸し借り)のほかに、次のようなものも含まれます。

  • 銀行カードローンやキャッシング、サラ金
  • クレジットカードの返済(リボ払い・分割払い・ボーナス払いなど)
  • 住宅ローンや自動車ローン
  • 奨学金の返還
  • 家賃滞納、携帯電話料金の滞納
  • 債権回収会社や保証会社からの督促・取り立て

「現金を借りたかどうか」に関わらず、“お金を返す・払う約束”があれば、それは債務だと考えて良いでしょう。

債権・債権者

「債権」とは、返済や支払いなど、お金を受け取る・返してもらう権利のことになります。この債権を持っている人や企業などを、「債権者」と呼びます。

より厳密に言えば、債権は、お金の貸し借りに限らず、「相手に何かをしてもらう権利」のことになります。しかし一般的には、「お金を払ってもらう権利=金銭債権」の意味で用いられることが多くなります。

債権回収

債権の回収のことで、一般的には「取り立て」「督促」等と呼ばれる、幅広い範囲の業務を差します。

債務者に対し、郵便、電話、自宅訪問などを用いて、交渉や説得によって支払いを求めるほか、裁判上の法的手続き(支払督促や訴訟など)を行ったり、差し押さえ(強制執行)によって強制的に債権を回収する事も含まれます。

保証会社

保証会社は、一般には「保証人の代わりになる会社」と言われています。

返済や支払を滞った際、保証会社と契約していると、保証会社が代位弁済を行います。そして、代位弁済を行った分は、保証会社が債権者となり(求償権が発生する)、債務者に対して支払いを求める事になります。
こうした代位弁済のほか、融資の審査業務なども代行している場合があります。

消費者金融やカード会社が、保証会社としての業務を行っていることもあります。そのため、たとえば「銀行カードローンを滞納して、督促状が“保証会社になっている消費者金融”から届く」といった事もあり得るでしょう。

代位弁済が行われた債務に関しては、その後に債権譲渡譲受が発生していない場合、債務整理や時効援用は、元の借入先(原債権者)ではなく保証会社に対して行う事になります。

家賃保証会社

家賃保証会社は、文字通り、家賃保証業務を行う会社です。
家賃保証会社と契約していると、家賃の支払いが遅れた場合、入居者に代わって代位弁済が行われます。そして、家賃保証会社が債権者となり(求償権が発生する)、賃借人に対して支払を求めることになります。

こうした代位弁済業務のほか、入居審査なども家賃保証会社が行う場合があります。

家賃保証会社は、クレジット会社・信販会社のほか、家賃保証業務を専門とする独立系の企業も多数あります。そのため、「家賃を滞納したら、大家さんとは違う業者(家賃保証会社)から督促状が届いた」という事もあり得ます。

代位弁済が行われた家賃債務に関しては、その後に債権譲渡譲受が発生していない場合、債務整理や時効援用は、家賃保証会社に対して行う事になります。

債権回収会社(サービサー)

債権回収会社とは、「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー特措法)」[6]に基づき、法務大臣の認可を得て設置された、債権回収の専門業者です。

債権回収会社が督促を行う場合、

原債権者から債権を買い取り(債権譲渡譲受)、債権回収会社が債権者となって督促を行う
債権者から債権回収業務の委託を受けて、督促を行う

といったパターンがあります。
通常、こうした業務は弁護士の独占業務となりますが、一部の債権については、法務大臣の認可を受けた債権回収会社にも、こうした業務の取り扱いが認められています。

債権回収会社は、時効債権を扱っているケースもあります。そのため、「昔の借金を返済するよう、債権回収会社から督促が来た」といった場合、債権回収会社に対する時効援用で、返済義務を消滅できる可能性もあります。また、時効援用ができない場合も、通常の借金と同様に、債務整理で返済を減額・免除することも可能です。

債権回収に強い弁護士事務所

債権回収業務を主な取り扱い分野とする法律事務所(弁護士事務所)です。

債権回収(取り立て・督促)を、債権者に代わって行ったり、債権者から債権を買い取って回収業務を行います。こうした債権回収業務は、弁護士の独占業務として弁護士法で認められています。(弁護士法第72条・第73条)[7]

債権回収会社にも一部の債権回収業務が認められていますが、弁護士の場合は、債権回収会社よりも広範にわたって権限を持ちます。たとえば、医療費未収金や家賃債権の回収業務に関しては、債権回収会社には認められていませんが、弁護士なら可能となっています。

債権譲渡譲受

債権を他社(他者)に譲渡・売却したり、あるいは他社(他者)から譲受・購入することを差します。主に債権回収会社が、これを行うことが多くなります。ほかにも、債権回収に強い弁護士事務所などが行う事もあります。

債権譲渡譲受が行われると、債務者から見れば、「借りた相手とは違う業者から督促を受ける」「借りた相手とは違う業者に対して、返済を行う」といったことになります。

主に債権回収会社や、債権回収に強い弁護士事務所などが、債権譲渡譲受を受けるケースが大半となります。

債権譲渡譲受通知書

債権譲渡譲受が行われたことを、債務者に通知する書面です。郵便にて自宅等に送付されるのが一般的です。この通知書によって、債務者は、債権譲渡譲受によって債権が移動し、“返済するべき相手が変わった”ことを知ることができます。

原債権者

債権譲渡譲受が行われた場合の、もともとの債権者を差します。
原債権者は、すでに債権譲渡譲受によって債権を失っているため、時効援用、債務整理、また返済に関する交渉などの相手先となることは、基本的にありません。

踏み倒し・夜逃げ

支払や返済を行わず、督促を無視し続ける等の行為を差します。
実際には、法的措置(差し押さえ、強制執行)等により強制的に回収される可能性が高く、踏み倒しによって一生返済をせずに過ごすことは現実的ではありません。

踏み倒しを企図し、督促から逃れるために引っ越しを行うことを、「夜逃げ」と呼ぶこともあります。

なお、時効援用による返済義務の消滅や、債務整理による返済の減額・免除は、適正な手続きをもって行われるもので、踏み倒しや夜逃げとは異なります。

貸し倒れ

貸し倒れは、債権者が「債権回収が不可能になった」ことを差す用語です。
たとえば時効援用が成立した場合、債権者は、債権(返済を受け取る権利)を喪失するため、債権回収が不可能になります。こうした場合に「貸し倒れ」となります。

場合によっては、時効援用の成立により、個人信用情報機関の記録に「貸し倒れ」と記載されるケースもありますが、これによってブラックリストになることは通常ありません。

個人信用情報

借金やローン・クレジットカード・分割払いなど、個人の信用取引の記録や、返済能力、収入の安定性などの評価をまとめた一連の情報を差します。

融資の審査などに用いられ、審査の可決・否決の判断や、限度枠の決定などの際に参照されます。また、賃貸住宅の入居審査や、携帯電話の分割払いの審査などにも用いられる場合があります。

個人信用情報機関

個人信用情報の収集・管理・提供・開示を行う機関です。民間によって運営されていますが、経済産業大臣によって指定を受けた特殊な事業者となります。

また、法律によっても定めがあります。

割賦販売法では、『信用情報の収集並びに割賦販売業者等(割賦販売業者、ローン提携販売業者及び割賦購入あつせん業者)に対する信用情報の提供を業とする者』(第42条第3項)[8]

貸金業の規制等に関する法律では『資金需要者の借入金返済能力に関する情報の収集及び貸金業者に対する当該情報の提供を行うもの』(第30条)[9]

と規定されており、それぞれ割賦販売業者、貸金業者などに、個人信用情報機関の利用を義務付けています。

現在、個人信用情報機関として経済産業大臣の認可を受けているのは、以下の3つの団体となります。

ブラックリスト

個人信用情報機関に、滞納や債務整理など「審査に不利になる記録」が載っている状態を差します。一般に想像されるような、「お金を貸してはいけない人のリストや名簿」ではありません。(そうしたリストは存在しません。)

個人信用情報機関に、「審査に不利になる記録」が載っている状態だと、各種の与信審査にほとんど可決しなくなります。その状態を差して、たとえ話として「ブラックリストに載った」「信用ブラック」等と、関連的に表現されます。

実際には、「ブラックリスト」という名簿があるわけでもなく、また個人信用情報に「ブラックリスト」と掲載されるわけでもありません。また、こうした状態の人に“絶対に融資してはいけない”といった決まりもありません。

督促状

返済や支払を行うよう促す書面のことを差します。書式や手順などに具体的な定めはありません。単に「取り立ての郵便や書類」といったニュアンスで、督促状という言葉が使われる場面もあります。

催告書

返済や支払を行うよう促す書面のことを差します。役割としては督促状とほぼ同じですが、まず督促状が送られ、次に催告書が送られる…といった順番になるのが一般的です。とはいえ、これも厳密に定められた手順ではないため、実際にはケースごとに異なる部分もあります。

期限の利益の喪失通知書

期限の利益とは、「期限が定められていることによって債務者が受ける利益」とされています。一般的には、「分割払い・分割返済」のことを差すと考えて良いでしょう。

そして「期限の利益の喪失」とは、この期限の利益がなくなる事、つまり分割払い・分割返済が認められず、一括返済を請求される事になります。これを伝える書類等が、期限の利益の喪失通知書となります。

代位弁済通知書

保証会社や家賃保証会社による、代位弁済が行われたことを知らせる書類です。通常、郵便にて債務者の自宅等に送付されます。

代位弁済とは、保証会社や家賃保証会社が、保証契約に基づき、一時的な立替払いをする事です。
支払日に支払・返済が遅れると、その遅れた分の支払いを、保証会社や家賃保証会社が一時的に立て替え払いを行います。これが代位弁済です。
そして、「代位弁済を行ったので、その分の金額を、保証会社(や家賃保証会社)に払うように」といった内容の督促が行われます。これを伝える目的等で送付されるのが、代位弁済通知書となります。

法的手続執行予告

「支払のない場合、裁判所に訴える」ということを予告する書類で、強い表現の督促状(の一種)と捉えることもできます。

「再三の督促にも関わらず支払がなく、まことに遺憾です」といった、強い憤りを示す表現が用いられることもあります。

こうした書面で言われる法的手続き・法的措置の内容は、裁判、支払督促、少額訴訟、仮処分や仮差押・仮執行の申し立てなどが含まれます。
ただし、訴訟の係争相手となり得る債務者に対して、具体的にどんな措置を準備しているのか…といった情報は、戦略のため明記されないのが通例です。

法的手続執行予告については、「ただの脅しではないか」といった見解もありますが、実際に法的措置を取られてしまう恐れも十分にあります。

最終通告書・最後通知

「法的手続執行予告」等と同様に、「支払のない場合、法的な争いになる」ことを強く示す通知書となります。強い表現の督促状(の一種)と捉えることもできます。

内容としても「法的手続執行予告」と大きく変わりませんが、法的措置の執行が、さらに一層の現実味を帯びていると言って良いでしょう。
早ければ数日~数週間以内に、裁判所に何らかの措置を申し立てられると考えて、すみやかに対策を講じる必要があります。

法律に関する用語

日本国憲法

日本の国家形態、統治組織、統治作用を定めた最高法典です。時効援用や債務整理との関係では、憲法第13条・幸福追求権や憲法第25条・生存権などが関連します。こうした定めが憲法に含まれることもあって、借金を返すことよりも、健康で文化的な最低限の生活を送る権利や、個人の尊厳、幸福追求権が優先されると考えられます。

また、家賃滞納でしばしばトラブルになる「強制退去(追い出し)」に関しても、憲法25条・生存権に基づき、居住権侵害として争点になる場合もあります。

民法

日本において、私人間の関係について定めた一般法です。債務問題との関連では、民法第7章第三節[10]に定められた「消滅時効」が大きく関係します。時効援用は、この民法の定めに基づいて行われる手続きとなります。

なお、2018年6月13日、第196回国会にて民法改正が可決されており、2020年以降、移行期間を経て、改正民法に切り替わります。これにより、時効援用の仕組みも新しくなっていきます。

貸金業法

貸金業者について定めた法律です。貸金業者に課せられる義務や、各種の規制、違反時の罰則などが定められています。

過剰な取り立てを禁止する貸金業法第21条が、債務整理や時効援用に関する話では、特に言及される事が多いようです。
また、「弁護士・司法書士の受任通知で取立てがストップする」事も、貸金業者に関しては、この法律で定められています。

なお、貸金業法は貸金業者に対してのみ有効とされます。銀行や信用金庫、労働金庫、信販会社、債権回収会社などに対しては、別の法律で定めがあります。

銀行 銀行法
信用金庫 信用金庫法
労働金庫 労働金庫法
信販会社(クレジット会社) 割賦販売法
債権回収会社 債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー特措法)

※なお、家賃保証会社については規制法がありません。

債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー特措法)

債権回収会社(サービサー)について定めた法律です。

もともと債権管理・回収に関する業務は、弁護士の独占業務とされていました。しかし、バブル崩壊により大量に発生した不良債権の処理のため、一部の債権に関しては、法務大臣の許可を得た民間企業にも開放される事となります。これを定めたのが、「債権管理回収業に関する特措法」です。

判例

過去の裁判によって下された判決など、裁判所が示した具体的な法律判断のことを差します。判例は、法の公平性維持の観点から、その後の判決に対して強い影響力を持ちます。

時効援用に関しては、「時効援用権の喪失」(最高裁昭和41年4月20日判決)[11]などがあります。また債務整理においても、「過払い金の返還請求権」(最高裁昭和43年11月13日判決)[12]など、判例によるものが多々あります。

信義則

信義則とは、「お互いに相手の信頼を裏切ってはいけない」という法原則です。信義誠実の原則とも言われ、日本においては、民法第1条第2項で「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」と定められています。[13]

信義則は、時効援用や債務整理にも大きく関わります。たとえば、「債務承認」が時効の中断事由とされる事や、時効完成後の債務承認で時効援用権が喪失する事なども、信義則の法原則から導かれるものとなります。

 


--脚注、参考資料--
[1]民法第7章 時効(第144条~第174条の2) link
[2]貸金業法第21条1項(取立て行為の規制) link
[3]債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー特措法)第18条8項 link
[4]郵便法第47条 link
[5]郵便法第48条 link
[6]債権管理回収業に関する特別措置法 link
[7]弁護士法第72条・第73条 link
[8]割賦販売法 第42条第3項 link
[9]貸金業の規制等に関する法律 第30条 link archive
[10]民法第7章第3節 link archive
[11]「時効援用権の喪失」最高裁昭和41年4月20日判決 link archive
[12]「過払い金の返還請求権」最高裁昭和43年11月13日判決 link archive
[13]「信義誠実の原則」民法第1条第2項 link archive

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