夫(妻)が自己破産するなら離婚するべき?迷惑が掛かるのを防ぐ方法は

投稿日:2019年5月9日 更新日:

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★この記事を読んでわかること
(約4分で読めます)
  • 自己破産するなら離婚しかない?でも離婚したくない…そんな場合は
  • 結婚の自由は、憲法第24条で守られた権利。破産しても離婚は強制されない
  • 夫(妻)の貯金や財産にも影響なし。ただし共有名義のローンや、連帯保証人などになっている場合は注意も必要

夫(妻)が自己破産するなら離婚するべき?迷惑が掛かるのを防ぐ方法は

この記事では、「自己破産するなら、夫婦は離婚したほうが良いのか」について解説していきます。
離婚についての話は、夫婦・家庭によって、それぞれ気持ちや事情も異なるものと思います。

そこで今回は、

「本当は離婚したくないけれど、自己破産するなら、やむおえず離婚しかないのか」
「パートナーに迷惑をかけないためにも、自己破産は離婚した後からのほうが良いの?」

…と、“できれば離婚したくない”人向けの解説をお届けしていきます。

★自己破産をキッカケに「離婚したい」人向けの記事はコチラです

「夫婦仲もあまり良くないし、この機会に離婚したい」
「借金癖のある夫(妻)とは、自己破産をキッカケに離婚したい」

…など、自己破産をきっかけに「離婚したい」と考える人も、知っておくべき情報があります。こうした「離婚したい人向け」の解説は、次の記事をご覧ください。

★住宅ローンなど、共同名義・連帯債務や、保証人・連帯保証人については次の記事をご覧ください

また、自己破産する借金に、「夫婦の共同名義・連帯債務」や「夫(妻)が連帯保証人や保証人になっているもの」がある場合については、次の記事をご覧ください。(住宅ローンなどが当てはまる家庭が多いかと思います。)

「破産するなら離婚」といった決まりは無い!憲法第24条「婚姻の自由」

さて、「破産するなら離婚しかないの?でも離婚したくない」という方に、ぜひとも、一番最初に知っておいて欲しい、憲法の条文があります。

ご紹介しましょう。

【日本国憲法 第三章 国民の権利と義務 第24条(家族関係における個人の尊厳と両性の平等)】

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

出典:日本国憲法-国立国会図書館

この条文は、「婚姻の自由」を定めたものとしても知られています。

憲法は、日本国の最高法規です。他のいかなる法律や契約よりも優先されます。
その最高法規に、結婚は、おたがいの「合意のみに基づいて成立」すると書かれています。

結婚する自由、そして夫婦関係を維持する自由は、「おたがいの合意」以外の何にも妨げられません。
ですから、「破産するなら離婚」といった決まりもなく、離婚を強制されることもありません。
仮に、だれかに「離婚しろ」と言われても、離婚したくないと思うのなら、従う必要はまったくありません。

あなたにも、あなたのパートナーにも、この強力な権利が、日本国の最高法規によって守られていることを、まず胸に留めておいてください。

自己破産の効果・影響は、“ただの家族・夫婦”には及ばない

それでは具体的に、自己破産の手続きの“法的な効果”が、夫や妻、家族にどんな影響をもたらすのか、解説しましょう。
この問題について、まず弁護士による説明を見てみましょう。

自己破産の効果は原則として申し立てた本人にのみ帰属します。そのため,配偶者が(連帯)保証人等になっていなければ,原則として自己破産の効果が配偶者へ帰属することはありませんので,自己破産をしても離婚をする必要はありません。

出典:家族に迷惑を掛けないように離婚をしたほうがいいですか?

  • 自己破産の効果は、夫・妻など家族に影響しない
  • そのため、離婚をする必要はない

というわけで、原則として、「自己破産するなら離婚しかない」という話ではないのです。

ひとまず理解しておきたいポイント

いろいろ難しい話もあるのですが、ひとまず、原則として理解しておきたいポイントだけ、まとめましょう。

借金の問題や自己破産・債務整理は、「夫婦だから、家族だから」というだけでは、お互いに影響しない

あくまで契約関係で判断されます。ローン契約書の「甲」とか「乙」といった部分で、名前が載っている人だけが関係してくる話です。
そのため、たとえば「夫婦だから、家族だから」といった理由で、夫(妻)や家族の貯金が没収される…等の心配もありません。

「自己破産するなら離婚しなければいけない」といった決まりは無い

婚姻の自由は、日本国憲法第24条に定められた、国民の大切な権利です。
憲法は、全ての法律や契約よりも優先される、国の最高法規です。
何百億円、何千億円の借金があろうとも、離婚は強制されません。

こうした点を軸に、さらに理解を深めていきましょう。

★自己破産について、法律専門家への相談で不安を解消しましょう

さらに解説を続ける前に、一度ここでご案内です。

ここから先の解説は、もう少し複雑で難しい話になっていきます。
しかし、本当に大切な部分は、「結婚の自由は、二人の合意以外の何にも妨げられない」という憲法24条の決まりにあります。

「自己破産してもしなくても、離婚を強制されることはない」

私たちが国民として知っておくべき、最も大切なポイントは、この一点にあります。

あとの細かい部分については、人それぞれの事情もありますので、詳しい弁護士・司法書士に聞いてもらったほうが良いでしょう。

離婚しないと迷惑をかける?自己破産による夫・妻や家族への影響とは

さて、それではもう少し詳しい説明に入っていきましょう。

ここまでの内容で、

  • 借金の問題や自己破産・債務整理は、「夫婦だから、家族だから」というだけでは、お互いに影響しない
  • 「自己破産するなら離婚しなければいけない」といった決まりは無い

この2点を確認してきました。
しかし、では実際に何も影響がなく、これまでとまったく同じ生活を続けられるのか…というと、そうもいかない場合もあります。
とりわけ注意が必要なケースについて、ここで解説したいと思います。

持ち家がある場合、引っ越しが必要になることも

マイホームは、家庭生活の基盤になる、大切な空間ですね。
しかし、

  • 持ち家に一定以上の資産価値がある
  • 住宅ローンを返済中

…といった場合は、自己破産により、引っ越しが必要になるケースもあります。
こうなると、生活上の影響は避けられないでしょう。

ただ、「破産をキッカケに、もっと維持費の安い賃貸住宅に引っ越す」など、結果として家計の改善につながる場合もありますから、一概に悪いこととは言い切れません。
また、「個人再生の住宅資金特別条項で、家を残して、他の借金を減額する」など、このデメリットを回避する解決方法もあります。
詳しい方法については、弁護士・司法書士に無料相談でお聞きください。

夫婦の共同名義のローンや、保証人・連帯保証人になっている場合

夫婦の共同名義でお金を借りていたり、どちらかが相手の保証人・連帯保証人になってローンを組んでいる場合です。
こうした場合は、「夫婦関係だから」ではなく、「契約の当事者だから」という理由で、破産の影響を受ける可能性があります。

具体的には、

  • 本人(主債務者)の破産により、連帯保証人に対して請求が行われる
  • 共同名義のローンの場合、二人とも手続きをする必要がある

といったことが考えられます。

たとえば、夫婦共有名義の住宅ローンで、夫だけが自己破産をすると、破産手続きで競売に掛けられるのは、夫の持ち分である1/2だけとなります。そして、この1/2の持ち分が競売で落札されると、「共有物分割訴訟」を起こされてしまう恐れもあります。[1]

このように、保証人・連帯保証人や共有名義・連帯債務などの場合、破産手続きも複雑になりがちです。
ですので、こうした場合は必ず、弁護士・司法書士に早めに相談を行いましょう。

★他の方法で解決できる場合も…自己破産・離婚しかないと決める前に

いろいろな注意点について解説しましたが、これはあくまで「自己破産の場合」となります。他の解決方法を使って、返済や支払いの悩みを解決できる場合もあります。

「自己破産するしかない」
「離婚するほかない」

…と決めてしまう前に、まずは、さまざまな解決方法について、正しい情報を知ることが必要です。

そのためにも、弁護士・司法書士の相談窓口を、早め早めに活用していきましょう。

 

脚注、参考資料

-自己破産

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