破産者マップ閉鎖まとめ~これから自己破産を考える人へ~

投稿日:2019年3月22日 更新日:

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自己破産者の個人情報を、googleマップ上にまとめた「破産者マップ」。
『“大島てる”(事故物件情報サイト)の自己破産版』とも言われ、2019年3月14日ごろに話題になりはじめました。

しかし、話題が広がると同時に批判も殺到し、ネット炎上に。
そして、3月19日をもって完全閉鎖されました。


今回は、この「破産者マップ」炎上事件を振り返りつつ、

これから自己破産を考えている方に役立つ情報
閉鎖された「破産者マップ」事件についての考察

…といった話を、まとめていきたいと思います。

 

---第一章 破産者マップとは---

破産者マップとは?閉鎖までの流れ

まず、「破産者マップ」について、どんなサイトだったのか振り返ってみましょう。

破産者マップは、官報に掲載された破産者の情報を、googleマップ上にまとめたものです。

自己破産や個人再生を行うと、官報にその債務者の住所氏名などが掲載されます。

しかし普段、官報を見ている人はいないので、これによって破産がバレることは無い…と言われてきました。

ところが、この官報掲載の破産者情報を、googleマップ上にまとめて公開するサイトが登場しました。それが、「破産者マップ」です。

この「破産者マップ」は現在すでに閉鎖されており、見れなくなっています。

破産者マップに対するTwitterや2ch(5ch)の反応

「破産者マップ」には、たくさんの批判が殺到しました。
名前や住所を公開されてしまった破産者の方は、たいへん悲しい思いをされたようです。

https://Twitter.com/PzCfb/status/1107298413807169536

 

https://Twitter.com/CLRuCnqTJqMLOq6/status/1107691780663705600

 

また、債務整理や自己破産を通して、人生のやり直しを助けている弁護士・司法書士からも、批判の声が上がりました。

破産者マップ公式サイトでも、「毎日、十数人の弁護士や司法書士の方から、削除要請やお問い合わせが来ているような状況」と記されていたことを、筆者も確認しています。(3/15時点。現在は閉鎖済)。

(※破産者マップ より 2019/3/15 現在は閉鎖済により閲覧不可)

その後、「破産者マップ被害者」「破産者マップ集団訴訟」「破産者マップを潰す会」などがTwitter上で次々に立ち上がりました。
また、5ch(旧:2ch)でも、借金生活板を中心に、破産者マップへの批判の声が高まっていきました。

「破産者マップ見れない」サーバーダウン、アクセス不可が続く

こうした批判が殺到したこともあり、破産者マップは、公開後すぐにサーバーダウン等で“見れない”状況が多発しました。
当時は、一時間に100万アクセスとも、240万アクセスあったとも言われています。
アクセスが集中して、サーバーが負荷に耐え切れず、エラ-になってしまう事が多かったようです。

また、3月17日ごろには、「403 Forbidden」(閲覧禁止)のステータスコードが表示されるようになりました。何らかの理由で、サイトの公開が停止されていたようです。

そして閉鎖へ(2019年3月19日)

このような状況を経て、2019年3月19日、「破産者マップ」は閉鎖に至りました。

https://Twitter.com/WMGjqEkelvEtglX/status/1107682833026424832

 

「ITmedia」の報道によると、“被害対策弁護団”が結成されるなど、被害の声が大きくなったことが理由ではないかと考えらえます。

サービスをめぐっては、「破産者のプライバシーや名誉を傷つける」などと批判を浴びていたほか、「破産を隠していたのに、ネットで公開されてつらい」といった声が当事者から上がっており、被害対策弁護団も結成されていた。

出典:「破産者マップ」閉鎖、「関係者につらい思いさせた」[岡田有花,ITmedia]
2019年03月19日 06時55分 公開

大勢の人から批判を受け、弁護士団による法的措置の準備も始まったことで、「破産者マップ」運営者もついに撤退・閉鎖を判断したようですね。

「破産者マップ」開設から閉鎖までの時系列まとめ

  「破産者マップ」の動き ネットの反応 弁護士や司法書士の活動
3月14日ごろ   「破産者マップ」が話題になりはじめる メール等で掲載削除を要請
3月16日 「破産者マップ」係長を名乗るtwitterアカウントが活動を開始 5ch(2ch)やtwitterで運営者の特定作業が進む  
  掲載情報の削除要請フォームが公開される ・破産者マップ集団訴訟
・破産者マップを潰す会
…等のtwitterによる抗議活動が展開される
 
  アクセスが集中し、サーバーダウンが多発
見れない状況が続く
   
  負荷軽減のためページレイアウトを変更    
3月17日 coinbase(仮想通貨取引所)での募金を開始 メディア等が破産者マップ運営に取材依頼  
  coinbase(仮想通貨取引所)アカウントが凍結される 運営者特定とのデマ情報が5chに流れる  
3月18日 削除要請を受け、十数件の削除を行ったことを公表   被害対策弁護団結成
クラウドファンディングを開始
  削除依頼に対して金銭要求はしていないと発表 「削除要請をしたらお金を要求された」との噂が流れる  
  サーバーが凍結される(403Forbidden) yahoo!、ITmedia等の大手メディアで報道される  
3月19日 「破産者マップ」閉鎖を宣言    

(※破産者マップを潰す会、ほか匿名有志の取りまとめ情報、および当サイトによる追跡調査の記録を元に作成)

破産者マップは今後どうなる?慰謝料や損害賠償、集団訴訟などの相談先はどこ?

こうして「破産者マップ」は閉鎖に至ったわけですが、今後はどうなるのでしょうか?“永久閉鎖”と言われていますが、復活はやめて欲しいですね。

また、被害にあった方の救済がどうなるのかも、今後の焦点になりそうです。

破産者マップの被害に遭われた方は、自己破産歴がネットで広められたことにより、家庭生活や仕事に支障をきたしている方もいるようです。
そのため今後、破産者マップに対する慰謝料や損害賠償を求めて、訴訟が起こされる可能性もありそうです。

サイトをめぐっては、SNS上でプライバシーの観点から批判が噴出。集団訴訟募集サイト「enjin」では、掲載されたとみられる68人(18日夕時点)が参加し、サイトの削除や損害賠償などを求めて訴訟の準備を進めている。

出典:「破産者マップ」に集団訴訟の動き 弁護士「損害賠償の可能性は十分ある」JCastニュース
2019年 3月 19日 (火)

このように、訴訟準備を進めている人の話も、報道にあがっています。

破産者マップ被害の相談先

「破産者マップの被害にあった」
「破産者マップに対して損害賠償や慰謝料を請求したい」

といった方は、次のような所に相談してみましょう。

自己破産や債務整理でお世話になった弁護士・司法書士
法テラス
破産者マップ被害対策弁護団の弁護士

また、『破産者マップ被害対策弁護団』がリーガルファンディングにて資金を募っています。

破産者等の情報を大量にインターネットで公開するサイト「破産者マップ」をなくしましょう。 | リーガルファンディング

破産者マップ被害対策弁護団の参加弁護士

参考として、『リーガルファンディング』にて公開されている、「破産者マップ被害対策弁護団」の弁護士一覧をご紹介します。(2019/03/21時点)

団長 望月 宣武(日本羅針盤法律事務所、弁護士、東京弁護士会)
北 周士(法律事務所アルシエン、弁護士、東京弁護士会)
住田 浩史(御池総合法律事務所、弁護士、京都弁護士会)
高木 小太郎(横浜ユーリス法律事務所、弁護士、神奈川県弁護士会)
寺林 智栄(弁護士法人北千住パブリック法律事務所、弁護士、東京弁護士会)
野田 隼人(高島法律事務所、弁護士、滋賀弁護士会)
萩原 達也(ベリーベスト法律事務所、弁護士、第一東京弁護士会)
南 和行(なんもり法律事務所、弁護士、大阪弁護士会

出典:破産者等の情報を大量にインターネットで公開するサイト「破産者マップ」をなくしましょう。リーガルファンディング

破産者マップの被害にあってお困りの方は、こうした弁護士の先生たちに相談してみるのも良さそうですね。
(※各弁護士の事務所情報は、この記事の末尾にてご紹介していきます。)

また、自己破産や債務整理でお世話になった弁護士・司法書士の先生にも、相談しておいたほうが良いでしょう。

これから自己破産を考えている方へ

さて、「破産者マップ」はすでに閉鎖したため、これから自己破産や債務整理を考える人は、まったく心配しなくて良いでしょう。

今回、「破産者マップのせいで自己破産がバレてしまう」と、大勢の方が危機感を持ったようです。また、実際に被害に遭われた方もいるようですね。

しかし逆に言えば、破産者マップが登場するまでは、自己破産したことを、周りの人や職場に隠しておけた人も多いということです。
破産者マップはもう閉鎖したので、“自己破産や債務整理は、周りの人に内緒でバレずに行うことも、また可能になった”と言えそうですね。

万が一の時も、弁護士や司法書士は、依頼者をしっかり守ってくれる

今回の破産者マップ騒動では、弁護士や司法書士の活躍も見受けられます。

「破産者マップ被害対策弁護団」が注目を集めていますが、この弁護団だけでなく、削除申請を出したり、破産者マップ運営者に対する法的措置を準備したり…と、何十人もの弁護士・司法書士が、依頼者のために活躍したようです。

なかには、もう何年も前に受任した依頼者のために、破産後のアフターケアとして、対応にあたった先生もいるかと思います。
本当に依頼者に寄り添った、頼もしい弁護士・司法書士が大勢いることが、今回の騒動を通してわかりました。

 

 

---第二章 破産者マップの問題点---

なぜ炎上?破産者マップの問題点と批判殺到の理由

ここからは、「破産者マップ」が今回なぜ大きな批判を浴びたのか、その理由や原因についてまとめていきます。

いろいろな論点がありますが、今回、当サイトとしては以下の点に注目したいと思います。

:破産者マップの削除申請
:破産者マップは違法ではないのか?
:個人情報保護の観点から、破産者マップに問題は無かったのか?
:破産者マップが犯罪(ヤミ金や詐欺師など)に悪用される恐れ

破産者マップの削除申請の方法と問題点

まずは、破産者マップの「削除申請」についての問題点です。
破産者マップはすでに閉鎖されているため、現時点(3/19時点)では、削除申請の必要はありません。

しかし、サイトが公開されていた当時から、削除申請についての様々な問題点が見受けられました。

(1)削除申請への対応が遅い

破産者マップの運営者は、「少人数で行っている」「技術が無い」などを理由に、削除申請への対応をスムーズに行えなかったようです。
本当に少人数なのか、また本当に技術が無いのか…といった議論もありますが、はっきりした事はわかりません。

とはいえ、たくさんの削除申請が来ているにも関わらず、公式サイト上で「12時間休みます」と宣言し、削除依頼を放置してしまったり…と、反感を招くような対応をしたことには、苦言を呈したいと思います。

「一刻も早く削除してほしいとのお話やシビアなお話もいただいているのですが、すみませんが、そのような状況でスタッフはいったん12時間ほど休みます
(※破産者マップ より 2019/3/15 現在は閉鎖済により閲覧不可)

こうした対応は、決して誠実な対応とは言えないと思います。

(2)削除申請フォームで身分証明や個人情報を求められる

破産者マップは、3/16ごろから、削除申請をgoogleフォームで受け付けていました。ですが、そのフォームの入力項目も、疑問に思うような内容が見られました。

  • 削除を希望する理由や事情(200文字以上)
  • 破産に至った事情(200文字以上)
  • 破産手続きする際、弁護士からどのような説明を受けましたか?
  • 破産後の生活(200文字以上)
  • 現住所、氏名、電話番号などの個人情報
  • 公的身分証明書の提出

…個人情報の掲載削除を依頼するために、より詳しい個人情報を渡す必要があったわけです。

ただでさえ、「勝手に個人情報をばら撒いている」と言われても仕方のない破産者マップに、さらに個人情報を渡すことは、とてもできませんよね。

しかも、「破産に至った事情」など、削除作業に必要とは思えない情報まで、提出を求められています。

一体どんな思惑で、こうした削除申請フォームを作ったのでしょうか。
運営者の考えは、理解しがたいものを感じます。

(3)削除申請で送信した個人情報は適切に管理(または破棄)されている?

破産者マップはすでに閉鎖していますが、「削除申請のために個人情報を送ってしまった」という人は、まだまだ不安があるかと思います。

破産者マップ運営者によって、個人情報が適切に管理(または破棄)されている保証は、今のところありません。

こうした不安がある方も、お世話になった弁護士・司法書士や、法テラス、「被害対策弁護団」の弁護士などに相談してみたほうが良さそうですね。

破産者マップは違法?運営者は警察に逮捕されないの?

「破産者マップ」をめぐって、Twitterや2ch(5ch)でも、さまざまな議論が起こりました。
その中でも特に、「破産者マップは違法ではないの?」という話題について、見ていきたいと思います。

破産者マップは個人情報保護法違反?

まず、「破産者マップは個人情報保護法違反ではないか?」という指摘があります。

破産者の住所や氏名を集めて、googleマップ上で公開していましたから、まずこれが「個人情報」にあたるのでは?という疑問は生じますよね。

個人情報保護法では、個人情報とは、

“氏名、生年月日その他の記述等により、特定の個人を識別することができるもの”

と定められています。

【個人情報保護法 第二条】
(定義)
この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。第十八条第二項において同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)

出典:個人情報保護法-電子政府のeGov link

住所と氏名があれば、特定の個人を識別できてしまうので、破産者マップが収集・公開した情報は、「個人情報」と言えそうですね。

とはいえ、法律の話は、ただ条文を読んだだけでは判断できません。法律専門家や関係機関などに相談することが大切です。

実際に、「個人情報保護委員会」に問い合わせを行った人がいるので、その結果をご紹介しましょう。

https://Twitter.com/kinkorokoro/status/1107514372488781825

 

個人情報保護委員会は、破産者マップをただちに「個人情報保護法違反で違法!」と言ったわけではないようです。
ただし、“個人情報保護法の対象になりえる”とのことで、適切な情報の取り扱いがされているかなどが調査され、不適切な点があれば行政指導を受ける可能性はあったようです。

もっとも、「破産者マップ」自体が閉鎖してしまったので、個人情報保護委員会が、今後どのような対応をするかは、はっきりとわかりません。

破産者マップは著作権法違反?官報の有料情報を使っていいの?

「破産者マップは著作権法違反では?」という声も、かなり早い段階から、Twitterや2ch(5ch)などで指摘されていました。

破産者マップは、官報に掲載された破産者の情報をもとに、googleマップ上にまとめられています。

官報とは、政府の発行する新聞のようなものです。
政府発行の文書ですから、著作権法は適用されないのでは…と思える一方、『官報は国立印刷局に著作権があるはず』という声もあります。

また、「本来、官報で有料のはずの情報を、無料で公開しているのは、著作権法違反では?」

という声もあがりました。

しかし、著作権というのは、実はとても難しい話です。
(普通の裁判所でも判断しきれない事も多く、“知財高裁”という特別な高等裁判所が作られているほどです。)

著作権と一言にいっても、実際には、公表権、氏名表示兼、同一性保持権、複製権、公衆送信権、翻案権、二次的著作物の利用権…など、たくさんの権利がセットになったものです。
一般に私たちがイメージするよりも、もっと複雑な仕組みですから、素人判断は避けるべきでしょう。

自己破産は隠す必要ナシ?破産者マップ運営者の主張

多くの人の批判を招き、違法性の疑いすら持たれた「破産者マップ」。
すでにサイトが閉鎖されていますが、閉鎖に至るまでの間には、運営者から反論がなされる場面もありました。

そうした運営者の主張の中から、次の2点に注目したいと思います。

「自己破産は悪いことではない」
「破産者の住所氏名は官報に載っているから、公表しても問題ない」

「自己破産は悪いことではない」

まず、破産者マップ運営者は、「自己破産は悪いことではない(だから公表してもいい)」という主張を行っていたようです。

https://twitter.com/hasanmaptokyo/status/1107057518835048448

 

確かに、自己破産や債務整理は、悪いことではありません。
自己破産や債務整理は、「お金を返せなくなった人に対する罰」ではなく、「返済を減額・免除して、生活を立て直し、人生のやり直しを助ける制度」です。

ですから、自己破産や債務整理を利用しても、何も後ろめたいことも、恥ずかしいこともない…という意見には、確かに説得力がありそうです。

しかし、「悪いことではない」からといって、「だから勝手にまとめられて、世間に公表されて良い」とは限りません。

「悪いことではないけれど、人に知られたくない…」

そんな過去の一つや二つ、誰にでもあるものです。
そうした“秘密”を勝手に暴露してしまうのは、あまりにも配慮が無さすぎるというものでしょう。

「官報に載っているから公開しても問題ない」

破産者マップ運営者は、「官報に載っている情報だから、公開しても問題ない」という主張も行っていました。

https://twitter.com/hasanmaptokyo/status/1107102211820191744

 

確かに官報は、毎日発行されており、希望すればだれでも購入・閲覧できます。また、国立図書館に行けば、過去の分も閲覧できます。

しかし、では現実問題として、過去の官報を調べて、「この人は破産歴があるかな?」と調べることはできるでしょうか?
実はこの検証、当サイトは以前、実際に行ったことがあります。

検証結果は、「官報で自己破産歴を特定するのは、とても大変で現実的ではない」となりました。

破産者マップの問題点も、ここにあるでしょう。
破産者の個人情報を、「誰にでもわかりやすく、探しやすく、特定しやすい」形にまとめてしまったことこそが、破産者マップの最大の問題点だったのだと思います。

★破産者マップが閉鎖した今、自己破産は「バレずに」可能に

実際に、「今までずっと秘密を守れていたのに、破産者マップのせいで自己破産歴がバレた」という人も大勢いました。
言い換えれば、「破産者マップができるまでは、自己破産歴がバレなかった」ということです。

破産者マップはすでに閉鎖していますから、現在は、「破産者マップが無い=自己破産を内緒で行いやすい」状態だと言っても良いでしょう。

とはいえ、実際に内緒で自己破産を行うためには、自己破産に強い弁護士や司法書士に相談し、秘密を守れるよう、工夫してもらう必要もあります。

 

 

---第三章 破産者マップ運営者の正体と目的---

破産者マップの運営者は誰?2ch(5ch)で特定された?

「破産者マップ運営者の正体」についても、多くの人が興味を持ったようです。

興味本位で特定しようとする人だけでなく、

「名誉棄損で訴えたい」
「損害賠償や慰謝料を請求したい」

といった理由で、破産者マップ運営者の住所氏名などを知りたい人もいるかと思います。

2ch(5ch)で「破産者マップ運営者特定」の情報はデマ

3月17日ごろ、2ch(5ch)で「破産者マップ運営者が特定された」というデマが出回りました。

デマの拡散を防ぐため、実際の書き込みのご紹介は控えさせて頂きますが、

「ヤミ金ご用達の賞金首サイトの元運営者」
「ガチのヤクザ」

…などの書き込みがありました。
しかし、この情報はデマだと後に判明しています。

破産者マップ運営者を訴えるために特定したい!そんな場合は

「破産者マップ運営者を訴えるために、正体を特定したい!」

そんな場合は、弁護士に頼るのが一番良いでしょう。
弁護士には、“弁護士照会”という強力な制度があります。正当な理由であれば、相手の個人情報などの調査もできるでしょう。

弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件について、証拠や資料を収集し、事実を調査するなど、その職務活動を円滑に行うために設けられた法律上の制度(弁護士法第23条の2)です。個々の弁護士が行うものではなく、弁護士会がその必要性と相当性について審査を行った上で照会を行う仕組みになっています。

出典:弁護士会照会制度-日本弁護士会連合会

「破産者マップを訴えるために、運営者を特定したい」

という方は、自己破産の際にお世話になった弁護士や、法テラス、「破産者マップ被害対策弁護団」の弁護士などを頼ってみましょう。

(被害対策弁護団の弁護士情報は、この記事の末尾にてまとめます)

破産者マップの目的は?運営者の説明はウソではない?広告収入目当ての疑惑も

なぜ破産者マップ運営者は、「破産者の情報をまとめてgoogleマップ上に公開しよう」と思ったのでしょうか?
この点についても触れていきたいと思います。

破産者マップ運営者による説明

まず、破産者マップ運営者による説明を見てみましょう。

https://twitter.com/hasanmaptokyo/status/1107692715611951105

 

https://twitter.com/hasanmaptokyo/status/1107692776450392065

 

こうしてみると、データ活用という技術的な観点から、破産者マップを作った…と主張されているように思えます。

ただ、「個人を特定できない形にした上で」と言いつつも、実際の破産者マップは、住所氏名、さらには旧姓までも含めて、個人を特定できるサイトになっていました。

当初の段階では、検索も可能になっており、「個人を特定できない形にしよう」という意図があったと言われても、なかなか信じられません。

ヤミ金による個人情報収集が目的?という疑惑も

破産者マップ運営者の目的は、さまざまな予想が立てられました。

「ヤミ金による個人情報収集が目的では?」
「削除申請で、破産者の現在の情報を集めているのでは?」

といった説もありました。

実際に、ヤミ金やソフト闇金の手口として、「債務整理後や自己破産後で、お金に困っている人を狙う」というものがあります。

今回の「破産者マップ」も、削除申請で詳しい個人情報を入力させていた事などから、こうしたヤミ金犯罪者による情報収集目的だったのでは…という説もあるようです。

破産者マップ運営者の目的はお金儲け?仮想通貨(coinbase)やアマゾン広告も

「破産者マップ」運営者の目的は、“広告収入によるお金儲け”では…という疑惑も指摘されていました。

「coinbase」という仮想通貨取引所のウォレットを開設し、募金を募っていた
「破産者マップ」サイトにamazonの広告が張られていた

…といったことが理由です。
ただ、「儲けてやろう」と考えていたのか、「サーバー代の足しになればいいかな」ぐらいの考えだったのかは、今となってはわかりません。

今後、破産者マップに対する裁判が起こされれば、法廷を通して、こうした面も明らかになるかもしれませんね。

 

 

---まとめと感想---

破産者マップ炎上事件に対する、まとめと感想

最後に、今回の破産者マップ炎上・閉鎖事件について、筆者の個人的な感想をまとめていきます。

「なんてことをしてくれたんだ」

筆者は3月15日ごろから、破産者マップの動きを追っていました。
正直に言えば、「なんてことをしてくれたんだ」と思ったのも確かです。

自己破産は、確かに悪いことではありません。
ですが、「悪いことではないけれど、家族や職場に内緒にしたい」と思う人は大勢います。
そうした人たちの、生活再建の足を引っ張りかねないサイトが出てきてしまったぞ…と、借金問題を扱うジャーナリストとして、危機感を持ちました。

自己破産や債務整理は、“生活の立て直し”を助ける制度

自己破産や債務整理は、生活の立て直しを助ける制度です。
これは法律にもしっかり書き込まれています。

【破産法 第一条】
この法律は、支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により、債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し、もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。

【民事再生法 第一条】
この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。

債務者について経済生活の再生の機会の確保を図る(破産法第一条)
当該債務者の事業又は経済生活の再生を図る(民事再生法 第一条)

このように、自己破産や債務整理は、「生活の立て直しを助ける」ことが目的だと、はっきりと法律に書かれています。

こうした破産法や民事再生法の精神に照らし合わせても、破産者の生活再建・人生再建の足を引っ張りかねない「破産者マップ」は、閉鎖されてしかるべきと思えます。

自己破産が官報に載るのは、“さらしもの”にするためではない

自己破産のことが官報に掲載されるのも、世の中に“さらしもの”にするためではありません。あくまで手続き上、債権者に破産決定を通知するために必要な措置として、行われているだけです。

もちろん、破産者マップ運営者も、“さらしもの”にする気はなかったのかもしれません。ですが、結果としてそのような事態になってしまう…と、サイトを作る前に想像できなかったのだとしたら、残念です。

★自己破産や債務整理は、恐れる必要ナシ!ただし自分一人で抱え込まないで

破産者マップが閉鎖して、改めて当サイトとしてお伝えしたいことは、次の2点です。

自己破産や債務整理は、恐れる必要はありません
自分ひとりで抱え込まずに、弁護士や司法書士を頼りましょう

本当にこれに尽きます。

債務整理に強い弁護士や司法書士は、破産後・整理後の生活でも、困った時にはしっかりとサポートしてくれます。
今回の破産者マップ事件でも、依頼者のために、緊急対応にあたった弁護士や司法書士が大勢いました。

債務整理や自己破産を円滑に進めるためにも、その後の生活を守るためにも、弁護士や司法書士に相談をしていきましょう。

資料:破産者マップ被害対策弁護団 弁護士一覧

「破産者マップの被害にあった」
「損害賠償や慰謝料を請求したい」
「名誉棄損で訴えたい」

…など、破産者マップ被害の悩みをお持ちの方のために、「破産者マップ被害対策弁護団」参加弁護士の情報をまとめます。

2019年3月21日時点での情報となります。
最新の情報は、かならず公式にてご確認下さい。
また、各弁護士にご相談の際は、かならず事務所公式サイトをご覧頂き、営業時間や相談方法などをご確認下さい。

弁護士名 所属事務所 所属会 事務所住所 電話番号 WEBサイト
望月 宣武 日本羅針盤法律事務所 東京弁護士会 東京都新宿区四谷2-2-1 四谷フジビル4階 03-3358-0992 https://www.nipponcompass.pro/
北 周士 法律事務所アルシエン 東京弁護士会 東京都千代田区霞が関3-6-15 霞ヶ関MHタワーズ2F 03-5510-8255
(営業時間 平日9:00~18:00)
https://alcien.jp/
住田 浩史 御池総合法律事務所 京都弁護士会 京都市中京区烏丸御池東入 アーバネックス御池ビル東館6階 075-222-0011 http://www.oike-law.gr.jp/
高木 小太郎 横浜ユーリス法律事務所 神奈川県弁護士会 神奈川県横浜市中区日本通り18 KRCビル 403B 045-651-6635 https://www.jurislaw.jp/
寺林 智栄 弁護士法人北千住パブリック法律事務所 東京弁護士会 東京都足立区千住3-98-604 千住ミルディスII番館 03-5284-2101 http://www.kp-law.jp/
野田 隼人 高島法律事務所 滋賀弁護士会 滋賀県高島市新旭町深溝1137-1 050-3738-7703 https://www.locolo.jp/
萩原 達也 ベリーベスト法律事務所 第一東京弁護士会 東京都港区六本木1-8-7 MFPR六本木麻布台ビル11階 03-6234-1585 https://www.vbest.jp/
南 和行 なんもり法律事務所 大阪弁護士会 大阪府大阪市北区天神橋2-5-28 千代田第二ビル2階 06-6882-2501
※お電話での法律相談はお受けしておりません
http://www.nanmori-law.jp/

 

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