住宅ローン返せない悩みは任意売却と債務整理どちらがいい?

投稿日:2017年7月10日 更新日:

このページでは、任意売却と債務整理の比較を行っていきます。
どちらも、住宅ローンの返済の悩みを解決するために、使われることの多い手続きです。

この記事では、利用者目線で特に気になるポイントだけに絞って、「どちらがいいか」を比較してみます。
仕組みについての比較は、次の記事で行っています。

 

任意売却と債務整理の違い(1):住宅ローン返済が楽になる理由

それでは、具体的な比較をまとめていきましょう。
まずは、“住宅ローンの返済が楽になる理由”です。

任意売却の場合

任意売却とは、“ローン返済中の住宅を仲介業者を通して売る”ことです。売却により、ある程度まとまったお金が手に入ります。このお金は住宅ローンの返済に充てられます。

なお、任意売却をしても、住宅ローンを完済できるとは限らず、借金が残るケースも多いのでその点は注意が必要です。
任意売却は、あくまで返済にあてるお金を工面する方法だと考えたほうが良いでしょう。

債務整理(個人再生・自己破産)の場合

債務整理とは、“国の認めた借金の減額・免除”の手続きです。

任意売却と違って、返済額そのものが減る・または返済義務がなくなる仕組みです。そのため、“返済にあてるお金がなくても、借金を減額・免除すること”が可能になります。

任意整理、個人再生、自己破産、特定調停といった方法がありますが、住宅ローンを返せなくなった際に利用されるのは「個人再生」「自己破産」です。

個人再生
個人再生では、原則として住宅は手放さなければなりませんが、住宅ローンを含め、車、クレジットカード、キャッシング、カードローンといった全ての借金が5分の1~10分の1まで減額されます。3~5年程度の分割払いになります。
たとえば、全ての借金の総額が3,500万円の場合、個人再生をすると10分の1の350万円まで減額されます。

ローン中の住宅を手放したくない場合は、住宅ローンは債務整理せず今まで通り払い続け、その他の借金を整理することも可能です。これを「住宅資金特別条項を定める個人再生手続き」いいます。

自己破産
一方で自己破産の場合は、住宅ローンを含め全ての借金が免責され、法的に返済義務がなくなります。住宅は手放すことになりますが、全ての借金がゼロ(チャラ)になるので減額効果がとても大きいです。

 

任意売却と債務整理の違い(2):住宅を残せるか

先ほど解説したとおりですが、任意売却、債務整理のどちらの場合も、“住宅を残せない”のは基本的に同じです。

任意売却後も家に住み続ける裏ワザ的な方法として、「親族間売買」「リースバック」「買い戻し」を紹介している情報サイトもありますが、実際にはできない方がほとんどでしょう。

 

一方で、債務整理は住宅ローンに限った話ではないため、“住宅ローンを整理しない”ことで、家を残せる可能性があります。

たとえば、「住宅ローンのほかにも多額の借金があり、住宅ローン以外の借金を整理すれば、生活や事業が立て直せる」という場合です。
この場合、「住宅資金特別条項を定める個人再生手続き」の「住宅ローン特則」を使う事で、住宅ローンは債務整理せず、他の借金を債務整理することで、家を残したまま借金の減額が可能となります。
住宅ローンはこれまで通り返済することには変わりませんが、他の借金が減額されたぶん生活が楽になるでしょう。

 

任意売却と債務整理の違い(3):住宅ローン以外の借金の整理

「住宅ローンの返済が苦しい」という方は、住宅ローンだけではなく、サラ金・消費者金融や車のローンなど他の借金にも悩んでいるケースが多いようです。

任意売却はあくまで“家を売って、お金を工面する”方法です。そのお金を住宅ローンの返済に充てても、他の借金の苦しさは何も改善されません。

一方、債務整理の場合は、“他の借金などの債務も、合わせて整理できる”仕組みになっています。

任意整理の場合…
整理する借金を選ぶことができます。
ただし、任意整理では“将来利息のカット”程度の効果なので元金は減額されません。金利の比較的安い住宅ローンの整理では、あまり適していないようです。

個人再生の場合…
原則として、すべての借金(債務)を減額の対象とします。
ただし“住宅ローン特別条項”を使うことで、住宅ローンだけを整理せずに残し、他の借金を減額することも可能です。これにより住宅を手放さずに済みます。

自己破産の場合…
原則として、すべての借金(債務)をが免責され、0円に免除する手続きです。
住宅ローン、銀行カードローンや消費者金融などの借り入れ、クレジットカードのリボ払いなど、原則すべての返済義務がなくなります。

 

任意売却と債務整理の違い(4):手続き費用

任意売却と債務整理とでは、手続き費用にも違いがあります。
どちらも相場は数十万円ほどで、成功報酬も扱う金額により幅があるのも同様でしょう。

任意売却の費用は手元にお金がなくても売却代金から支払うこともできます。
同様に、債務整理も手元にお金がなくても可能という特徴があります。

  • 法テラスの民事法律扶助制度
  • 生活福祉資金貸付制度による債務整理の費用支援
  • 法律事務所、司法書士事務所が個別に行っている、“初期費用無料”+“分割・後払いOK”のサービス

任意売却の場合も、一部の不動産仲介業者などが“初期負担を抑える”仕組みを整えています。ですが債務整理のほうが、“公的な支援制度も充実している”という点で、大きな違いと言えるでしょう。

 

任意売却と債務整理の違い(5):手続き後に借金が残った場合

任意売却も債務整理も、実施後に債務(借金)が残る場合があります。この、“残った借金”がどうなるかは大きな違いがあります。

任意売却で借金が残った場合 … 返しきれない借金が残ると、債務整理が必要になる

任意売却は、住宅ローンの“返済に充てるお金を、住宅を売って用意する”方法です。

そのため、任意売却をしても、必ずしも十分な金額で売却できるとは限らず、借金が残ってしまうケースもあります。
任意売却をしても債務が残った場合は返済しなければなりません。もし返しきれない住宅ローンが残った場合は、“自己破産”または“個人再生”=債務整理を行う必要があります。

このことは、任意売却を仲介する不動産業者のホームページ等でもハッキリと書かれています。

(一部の不動産業者では、“債務整理”や“自己破産”といった言葉を使わず、「弁護士の仲介により、分割払いが可能になる」などの説明をしていますが、事実は“債務整理が必要になる”です。)

債務整理(自己破産)の場合 … 借金が残らない

自己破産にて債務整理を行うと、原則として全ての債務が免責され法的に借金が無くなります。住宅ローンを含め、他の借金、クレジットカードの未払い、遅延損害金なども、すべて返済が免除されます。

そのため、自己破産を行えば、“借金が残る”という心配自体が無くなります。

債務整理(個人再生)の場合 … 返しきれる範囲内に減額され、分割返済となる

個人再生は、債務(借金)の額に応じて5分の1~10分の1程度に減額し、分割払いで返済できるよう整える制度です。

また、分割払いの年数や月々の返済額など、“返済計画”も無理がないように決定されます。この返済計画は、「無理なく返済できるか」「生活や仕事に支障が出ないか」を、裁判所が公正に判断して決定します。

そのため、“個人再生をした後、残った借金が返しきれない”といった事態は、ほとんど起こらない仕組みになっています。

 

任意売却と債務整理の違い(6):手続きの仲介者・代理人

任意売却と債務整理は、どちらも“仲介業者”または“代理人”を通して行うのが一般的です。

任意売却 … 「不動産仲介業者」が仲介する
任意売却の場合は、「不動産仲介業者」が仲介となり、売却活動を進めます。いくらで売れるか等、この不動産仲介業者の実力によっても、結果が大きく変わってきます。

債務整理 … 弁護士・司法書士が代理人となる
一方、債務整理の場合は、弁護士、または「簡裁認定」を持った司法書士だけが、代理人となって手続きの依頼を受けられると、法律で決められています。
ただし、住宅ローンなど1件140万円を超える債務の場合、司法書士では扱えませんので弁護士に依頼することになります。

 

任意売却と債務整理を比較して感じたメリット・デメリットの感想

いかがでしょうか?
主なポイントを絞って比較しましたが、最後に私の個人的な感想をまとめます。

任意整理のデメリットを考えると、最初から債務整理したほうが確実なのでは?

私としては、「任意売却よりも、最初から債務整理をしたほうが手間が少なく、確実なのでは」と思いました。
気になるのは、任意売却のデメリットです。

任意売却をしても、住宅ローンが残ってしまったら、結局は債務整理(個人再生または自己破産)が必要になることもある

住宅ローン以外の、クレジットカードやサラ金などの悩みも解決したい場合、任意売却では解決できず、債務整理が必要になる

この2点が、「任意売却よりも債務整理が良い」と思った理由です。

民間の営利企業か、それとも弁護士か

もう一点、これは単純に私の個人的な気持ちなのですが、「借金や住宅ローンの悩みを相談するなら、弁護士のほうがいい」と思います。

というのも、任意売却の場合、これを行うのは“民間の営利企業である、不動産業者”です。

営利企業ですので、“利益を上げる(=お金を稼ぐ)”ことが、第一の義務として、株式約定などに定められているでしょう。つまり、任意売却も、“企業がお金を稼ぐために”行っているわけです。
ですから、住宅を売却した代金から手数料や利益・経費が差し引かれます。

もっとも、これは正当な企業活動です。逆に利益を軽視してしまったら、株主から背任罪に問われてしまうでしょう。

もちろん、“利益もきちんと上げつつ、お客様第一”という素晴らしい業者も存在します。ですがその一方で、あまり好感の持てない姿勢の業者もあるため、注意が必要となります。

 

一方、債務整理を行う弁護士は、“国の定めた法律によって、人権擁護や社会正義、依頼者の秘密厳守が厳しく義務づけられている”有資格者です。弁護士法第一条1項などに、はっきりと記されています。

つまり、弁護士は、“困っている人を助けるために”、債務整理などを行うことになります。

  • 任意売却は、“民間の営利企業が、利益を得るために”行う事業
  • 債務整理は、“困っている人を助ける義務がある、弁護士が”行う、国の認めた手続き

この違いを考えると、まずは債務整理に強い弁護士に相談したほうが良いでしょう。
「本当に自分のためになる、役立つ答えが欲しい」と思ったら、“困っている人を助ける義務がある、弁護士”のほうが、安心して相談できるのではないでしょうか。

住宅ローンが返せない悩みを無料で相談できる弁護士の一覧と相談窓口

 

任意売却をした後に自己破産、という方法もあります

「任意売却か、それとも債務整理(自己破産、個人再生)か」

という比較で、ここまでお話をしてきました。
ですが、自己破産の仕組みについて、より専門的に考えますと、「任意売却をしてから自己破産」したほうがメリットが大きくなるケースも考えらえます。

その理由は、「自己破産の管財事件と同時廃止」です。

 

自己破産の管財事件と同時廃止

自己破産には、2つの種類があります。
それが、「管財事件」「同時廃止」です。

自己破産の管財事件とは

管財事件は、一定以上の資産がある方の場合の自己破産となります。
法律上は“資産を有する”としか条件がないのですが、裁判所の基準により、およそ20万円以上の資産がある方が、この管財事件となるようです。

管財事件となると、資産が「破産財団」となり、破産管財人の管理下に置かれます。
より詳しい財産調査や、その他の手続きなどにより、時間が何か月もかかります。
また、“予納金”も発生することとなり、これが少額管財事件で20万円、通常の管財事件で50万円となっています。

自己破産の同時廃止とは

資産がほとんどない方の自己破産では、「同時廃止」という手続きが取られます。
これは、破産財団の設置や、詳しい財産調査などを省略して、ほとんど即時に破産を完成させるものです。
同時廃止のほうが時間もかからず、予納金などの費用も発生しません。

 

家が残っている場合、“管財事件”になりやすい

売却益の期待できる不動産、家などが残っている場合、このままの状態で自己破産を行うと、負担の大きい“管財事件”になりがちです。

先に任意売却を行って、家を手放し、住宅ローンを少しでも減らしてから自己破産をしたほうが、負担の少ない「同時廃止」で解決できる可能性が高くなります。

もっとも、管財事件になるか、同時廃止になるかは、家の有無だけで決まるものではありません。
その他の資産状況なども含めて、トータルで判断する必要があります。

また、必ずしも任意売却をすれば、自己破産を同時廃止にできるとは限りません。
他の財産が基準以上あれば、任意売却後に自己破産しても、管財事件となる可能性が高いでしょう。

 

先に任意売却をする場合でも、まずは弁護士に相談を

任意売却をしてから自己破産するメリットは、自己破産が「同時廃止」にできる可能性を期待して…という事になるでしょう。
ですが、任意売却さえすればよいのか、それとも他の財産も任意で手放してから自己破産を申し立てるべきなのか等、個人の事情によって、具体的な判断は大きく異なります。

“トータルで自分の状況を判断してもらう”必要があります。

任意売却の業者は、不動産についてはとても頼もしいですが、それ以外の資産も含めたトータルの判断はお願いできません。
ですから、「任意売却をしてから自己破産して、同時廃止にしたい」という場合も、まずは“債務整理に強い弁護士”に相談し、アドバイスをもらったほうが良いでしょう。

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