この記事では、住宅ローン返済の悩みを「個人再生」で解決する方法について解説します。
「個人再生」とは、借金などの債務を最大10分の1程度まで減らし、残りを3~5年程度の分割払いとする、債務整理のひとつです。
「住宅ローンの悩み」の解決にもっとも多く用いられている手続きです。
2014年度の統計データ(日弁連)では、個人再生を行った理由の2位が「住宅購入(住宅ローン)」となっており、約4人に1人(26.98%)が、住宅ローン返済の解決のために個人再生を行っています。
目次
個人再生は家を残せる?“住宅ローン特別条項”とは
住宅ローン返済中の個人再生の場合は、住宅ローン特則とも呼ばれている“住宅ローン特別条項(住宅資金特別条項)”を使うかどうかで、債務整理の結果が大きく変わります。
この特別条項を適用すると、住宅ローンが整理の対象から外れるため、“家を残して、他の借金だけ減額できる”からです。
住宅ローンそのものを減額したい場合 | 住宅ローン特別条項を使わない |
---|---|
ローン返済中の家を残したい場合 | 住宅ローン特別条項を使う |
という形で、まずは簡単にご理解ください。
住宅ローンが返せない…「個人再生」で減額する場合
続いて、「個人再生」で住宅ローンの悩みを解決する場合について、解説します。
個人再生は非常に幅広い制度で、まず仕組み自体に「給与所得者等個人再生」と「小規模個人再生」の2種類があります。
さらにどちらの場合も、「住宅ローン特別条項(住宅ローン特則)」を適用するかどうかで、住宅ローンの結果が大きく変わってきます。
まずは、「住宅ローン特別条項」を適用しない場合について、解説していきます。
「個人再生」で住宅ローン特別条項を使わない債務整理は、次のような方に向いています。
住宅ローン返済中の物件を、手放しても良い
安定した収入があるが、住宅ローンの負担が大きく、残債を5分の1~10分の1程度まで減らしたい
住宅ローンに加えて、カードローンや消費者金融、その他のローンなどの債務(借金)もあり、保証会社や債権回収会社から督促を受けている。
住宅ローンも、その他の債務も、合わせて大幅に減額したい。分割返済で無理なく返したい。
住宅ローン返済中に、「住宅ローン特別条項」を使わずに個人再生をすると
- 債務の返済が禁止されるため、住宅ローンも“返済できない”状態となります。ほとんどの場合、銀行などの住宅ローンを出した金融機関は、競売手続を取ることになり、ローン返済中の家を手放す結果となります。
- ただし、手続き開始から退去までは、実際には3カ月~6カ月ほどの時間があり、その間は住み続けることも可能です。その間に、新しい住居への引っ越しなどを行う必要があるでしょう。
- 住宅ローンの残りや、他の借金(債務)に関しては、その全てが5分の1~10分の1程度に減額され、それを3年~5年程度の分割払いとなります。カードローンや消費者金融の借り入れ、医療ローン、教育ローンなど、またクレジットカードや携帯電話の支払滞納なども整理対象となり、減額されます。
- たとえば、住宅ローン残債もあわせて総負債額が5,000万円の場合、500万円(10分の1)まで減額されます。(※「小規模個人再生」での基準となります。)
- 弁護士に依頼することで、最短即日で取り立てがストップします。
「個人再生」+住宅ローン特別条項で債務整理をする場合
先ほどと違って、こんどは「個人再生」で“住宅ローン特別条項”を適用した場合を見てみましょう。
同じ個人再生でも、この特別条項を適用するかどうかで、住宅ローンの債務整理は大きく変わってきます。
これによって、“住宅ローンが債務整理の対象から外れるため、ローン返済中の家を残せる”ことになります。
「個人再生 + 住宅ローン特別条項」は、以下のような方に向いているでしょう。
住宅ローン返済中の家を、手放したくない
住宅ローンに加えて、カードローンや消費者金融、その他のローンなどの債務(借金)もあり、保証会社や債権回収会社から督促を受けている。
住宅ローン以外の債務(借金など)を5分の1~10分の1程度に減額できれば、住宅ローンは減額できなくても、生活や事業を立て直せる。
「個人再生」は、住宅ローンの悩み解決によく用いられる債務整理。ですが一方で、個人再生を行った方の2人に1人が、この「住宅ローン特別条項」を用いて、家(と住宅ローン)を残しています。
住宅ローン返済中に、「個人再生+住宅ローン特別条項」で債務整理をすると
- 住宅ローンを除く、すべての借金(債務)が減額の対象となり、5分の1~10分の1程度に減額され、3~5年の分割返済となります。
- 住宅ローンの残債は減額されませんが、そのためローン返済中の物件を手放す必要もなくなり、手元に家を残せます。
- 住宅ローン以外の債務については、すべてが原則として整理対象となります。カードローンや消費者金融の借り入れ、医療ローン、教育ローンなど、またクレジットカードや携帯電話の支払滞納なども整理対象となります。
- たとえば、住宅ローン以外の債務が合計500万円ある場合、5分の1の100万円まで減額されます。これを3年で返済する場合、月々の返済額は約2万8000円となります。(※小規模個人再生での基準となります)
- 弁護士に依頼することで、最短即日で全ての取り立てがストップします。
住宅ローンの減額も、残して借金整理も、どちらもできるのが個人再生
個人再生は、“住宅ローン特別条項”(住宅ローン特則)を適用するかどうかで、かなり結果が変わります。これを適用すれば、家を残して(住宅ローンは今まで通り支払い続け)、他の借金だけを大幅に減額できるからです。
「住宅ローンの返済が苦しい」という場合、ただ住宅ローンだけが借金苦の原因…という方は少ないのではないでしょうか?
消費者金融などの他の借入もあり、その返済に圧迫されて、生活が苦しい…といった場合、あえて住宅ローンの返済は減額(債務整理)せず、家を残して他の借金を減額するのも、毎月の支払総額が減るので大きな解決策になると思います。
一方で“住宅ローン特別条項”を適用せずに個人再生した場合、ローン返済中の住宅は手放さなければなりませんが、住宅ローンを含め全ての借金が大幅に減額されるので、債務の圧縮効果は大きくなります。
また、個人再生は“成功率”も高く、申し立てを行った人の90%近くが借金減額に成功しています。
2,000万円~4,000万円の借金を、300万円~500万円程度に減額できた人がもっとも多く、“減額の効果”もかなり大きい手続きです。
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まずは“無料相談だけ”でも、大きく改善が期待できます。
個人再生をするかどうか、今すぐ決める必要はありません。まずは無料相談で弁護士に話を聞いてみましょう。
個人再生は特に複雑な仕組みがあるので、自分で調べるだけでは、正しい判断ができないこともあります。
債務整理に強い弁護士に、メールで無料相談するだけでも、解決の見通しがついて大きく改善することも。
24時間メール無料相談受付の、評判の良い弁護士に、まずはアドバイスをもらってみてください。

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