保証人と連帯保証人の違いとは?解除や借金の解決方法はある?

投稿日:2018年12月27日 更新日:

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★この記事を読んでわかること
  • 保証人と連帯保証人の違いとは?
  • 保証人や連帯保証人になり、借金の返済を迫られた場合の解決方法は?
  • 保証人や連帯保証人の契約を解除し、辞める方法はある?

この記事では、保証人と連帯保証人について解説していきます。
保証人と連帯保証人の違いとは
保証人、連帯保証人契約の解除方法
保証人、連帯保証人で借金を背負ってしまった場合の対処方法

といった内容をお届けしていきます。
また、共同債務や連帯債務といった用語・仕組みについても解説していきます。

かなり長い記事になるので、まずは目次をご覧頂き、気になる部分からお読み頂ければと思います。

連帯保証人・保証人で借金を背負ってしまった場合の解決方法

まず最初に、実際に連帯保証人や保証人で、借金を肩代わりしてしまった人や、請求・取り立てを受けてお困りの方のために、解決方法を解説していきます。

借金の返済トラブルは、国の認めた“債務整理”という手続きで解消できます。具体的には、

取り立ての最短即日ストップ
返済の減額や免除

…といった効果が期待できます。
一方で、保証人や連帯保証人になっている人が債務整理を行う場合、主債務者(借りた本人)との権利・義務関係の調整などもあり、個々人の事情によって適切な対処方法が異なります。

「自分の場合どうすればいいの?」という疑問の答えは、弁護士・司法書士に無料相談で聞いてみるのがもっとも確実です。

とはいえ、急に「弁護士や司法書士に相談」と言われても、実際に行うのは難しい方も多いでしょう。

そこで、まずは債務整理の返済減額シミュレーターを利用して、“減額・免除できる可能性があるかどうか”を調べてみましょう。

次の記事で、返済減額シミュレーターの利用方法や、詳しい解説をまとめています。

連帯保証人や保証人になってしまい、「取り立てを受けるかもしれない」と不安な方
連帯保証人や保証人になっており、そのせいで取り立てや督促を受けてお困りの方

こうした方は、ぜひ次のページをご覧ください。

借金減額診断、借金減額シミュレーターで返済がどれだけ減るか調べよう!

 

保証人と連帯保証人の違いとは?

それでは、連帯保証人と保証人について、詳しい説明に入っていきます。

連帯保証人と保証人は、言葉は良く似ていますが、実際には大きな違いがあります。

一言でまとめれば、

連帯保証人は、主債務者(借りた本人)の返済能力に関わらず、請求・督促を受ける可能性がある
保証人は、主債務者(借りた人)が返せなくなった場合にのみ、請求・督促を受ける

と言えるでしょう。

借金は借りた人が返すもの!その常識が通用しない?

私たちの常識の中には、「借金は借りた人が返すもの」という考えがあるかと思います。
しかし、保証人・連帯保証人は、「お金を借りた人ではない」のに、返済を求められてしまう事があります。

特に注意したいのは、連帯保証人です。
連帯保証人には、保証人に認められている「催告の抗弁」「検索の抗弁」「分別の利益」の3つの権利が認められません。

「催告の抗弁」「検索の抗弁」「分別の利益」とは?

それでは、「催告の抗弁」「検索の抗弁」「分別の利益」について、具体例で解説していきます。
この3つの権利があるかどうかが、保証人と連帯保証人の違いと言っても良いでしょう。

「催告の抗弁」とは

もしもあなたが、友達のAさんに頼まれて、借金の保証人になったとします。
ある日突然、Aさんが借りた業者から、あなたの所に取り立ての電話が掛かってきました。

--業者「保証人の○○さんですよね?Aさんの借金の返済をしてください。

--あなた「どういうことですか?Aは夜逃げや破産でもしたんでしょうか?」

--業者「いいえ。そういうことではありませんが」

--あなた「それなら、まず借りた本人のAさんから取り立てて下さいよ。私はただの保証人で、借りたわけじゃないんですから。」

…と、こんな風に言いたくなるかと思います。
これがまさに、「催告の抗弁」という、保証人に認められた権利の一つです(民法第452条)。

《民法第452条(催告の抗弁)》
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない

保証人は、取り立てを受けた場合、「まず借りた本人に督促してください」と主張し、取り立てを退けることができます。

ただし、

借りた本人(主債務者)が、自己破産した場合(自己破産を申し立て、裁判所から破産手続開始決定を受けた場合)

借りた本人が行方不明の場合

…この場合は、「催告の抗弁」ができない可能性もあります。

「検索の抗弁」とは

先ほどと同じように、会話例で考えてみましょう。
友達のAさんに頼まれて保証人となったあなたの所に、業者からいきなり督促が来ました。

あなたは「催告の抗弁」(民法第452条)を主張しました。業者はそれを受けて、いったん引き下がりました。
ところが後日、また業者から、あなたの所に取り立ての電話が掛かってきました。

--業者「Aさんの保証人の○○さんですよね?Aさんに請求をしたのですが、まだご返済頂いておりません。○○さん、保証人なんですから、払って下さいよ。」

--あなた「Aは滞納してるってことですか?」

--業者「そうなんです。もうずっと返済して頂けてなくて、私どもも困っているんですよ。」

ここであなたは、もしかしたら、少し迷ってしまうかもしれません。
借りた本人(Aさん)が滞納しているなら、保証人であるあなたが、お金を払うべきなのだろうか…。

ところが、ここであなたは、Aさんの家が「Aさん名義の持ち家」だと思い出しました。

そこであなたは、業者にこう答えました。

--あなた「Aは本当にお金が無いんですか?ちゃんと調べたんでしょうか?」

--業者「いえ、そういうわけではありませんが」

--あなた「Aの家は持ち家だし、家の土地もAの名義です。差し押さえるなりして、先にAの財産から回収してくださいよ。

…このように抗議することも、保証人に認められた権利の一つ、「検索の抗弁」です(民法第453条)。

《民法第453条(検索の抗弁)》
債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない

借りた本人(主債務者)に財産があり、その差押え(強制執行)ができる見込みがある場合は、債権者は、まずそうした本人の財産から、回収を行わなければいけません。

なお、差し押さえ(強制執行)については、詳しくは次の記事で解説しています。

「分別の利益」とは

さて、Aさんの借金の保証人である“あなた”は、「催告の抗弁」「検索の抗弁」によって、業者からの請求を2度も退けました。

業者はAさんに対して貸金返還請求訴訟を起こし、裁判所から強制執行命令が下され、Aさんの持ち家や財産が差し押さえられました。
ところが、Aさんの家と土地は、資産価値がとても低く、借金の返済額を満たせなかったようです。

保証人である“あなた”の所に、また業者から電話が掛かってきました。

--業者「Aさんの保証人の○○さんですよね?Aさんの滞納されていた借金ですが、家と土地を差し押さえて、競売に掛けました。ですが、それでも残債務が残っているんです。○○さんは保証人なんですから、今度こそ払って下さいよ。」

--あなた「そうですか…。いくら残っているんですか?」

--業者「残債務は、総額150万円です。お支払い頂けますよね?」

こうなったら、もう払うしかない…保証人になんて、なるんじゃなかった。
あなたはそう後悔し始めます。

と、ここでふとあなたは、以前Aさんが話していたことを思い出しました。
どうやらAさんは、あなたの他にも、友達のBさん、Cさんにも保証人になってもらったようなのです。

そこであなたは、こう答えました。

--あなた「その保証人って、私だけじゃないですよね?BとCも、保証人になっているはずです。」

--業者「はい、確かにそうです。」

--あなた「それなら、残債務150万円、私が全額払うのはおかしくないですか?BとCも保証人なんだから、3人で分割して3分の1、50万円ずつで良いですよね?」

このように、保証人が複数人いる場合、“ワリカン”のように、保証人一人あたりの負担は、人数割で良いことになっています。これを、「分別の利益」と呼びます。
分別の利益は、民法第456条・第457条によって定められています。

《民法第456条(数人の保証人がある場合)》
数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第427条の規定を適用する。

《民法第457条(分割債権及び分割債務)》
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。

連帯保証人には、「催告の抗弁」「検索の抗弁」「分別の利益」が認められない

いったん、ここまでの話を整理してみましょう。
保証人と連帯保証人には、大きな違いがあります。

保証人の場合…

債権者は、借りた本人(主債務者)にまず催告を行う(催告の抗弁)
主債務者に財産がある場合、そちらから先に回収させる(検索の抗弁)

というルールがあります。
そして、それでも債務が残った場合、保証人に返済義務が発生します。
しかし、保証人が複数人いる場合は、一人あたりの負担額は、“ワリカン”で良いことになっています(分別の利益)。

そして、この「催告の抗弁」「検索の抗弁」「分別の利益」は、保証人には認められますが、連帯保証人には認められません(民法第454条、および判例:大判大正6.4.28など)

これが、連帯保証人と保証人の大きな違いです。

極端な話、たとえば

“主債務者にお金があるのに、「連帯保証人からのほうが回収しやすそうだから」等の理由で、返済を請求される”

といったことも、連帯保証人には“あり得る話”になります。

借りた本人へ返済請求されずに、連帯保証人にいきなり請求される
借りた本人にお金(返済能力)があっても、連帯保証人に請求が行われる
複数人の連帯保証人がいても、だれか一人に全額返済の請求が行われる

…こうした事があっても、連帯保証人は対抗できません。
このことから、連帯保証人は、“借りた本人(主債務者)と、ほとんど同じ返済義務”があるのです。

★連帯保証人・保証人で返済の請求を受けたら

保証人・連帯保証人として返済の請求を受けた場合、保証人であれば、「催告の抗弁」「検索の抗弁」により、まず主債務者から取り立てるよう主張できます。

しかし、連帯保証人にはこうした権利が無いため、対抗する手段は“債務整理”がもっとも有力になるでしょう。

また、保証人の場合も、「主債務者が破産した、行方不明になった」等、正当な抗弁ができず、支払いを求められるケースがあります。
そうした際も、やはり支払いが困難な場合は、“債務整理”が解決手段となっていくでしょう。

債務整理による、返済の減額・免除については、次の記事で詳しく解説しています。また、無料で利用できる返済減額シミュレーターの案内も行っています。

借金減額診断、借金減額シミュレーターで返済がどれだけ減るか調べよう!

 

保証人や連帯保証人の契約は解除できる?保証人を辞める方法とは

保証人・連帯保証人の責任は、非常に重大だという事がわかりました。特に連帯保証人は、“主債務者とほとんど同じ義務”を背負うことになってしまいます。

「自分が借りてもいない借金を、返済しなければならない」

という事態ですから、できれば避けたいと考えるのも当然です。

さてそれでは、保証人や連帯保証人の契約は、“解除”できるのでしょうか?

「親しい友人や家族に頼まれて、良く知らずに連帯保証人になってしまった」
「保証人や連帯保証人をやめたい」

しかし、これは現実には大変な難しさもあると考えられます。

保証人や連帯保証人の解除は、債権者の同意が必要

ほとんどの場合、保証人・連帯保証人の解除や変更には、「債権者の同意が必要」といった契約になっているでしょう。

つまり、お金を貸した側(=債権者)の業者や銀行が「いいですよ」と言わなければ、連帯保証人や保証人の解除はできません。

そして債権者は、連帯保証人や保証人の解除を、そうそう簡単には認めません。債権者から見れば、連帯保証人や保証人が解除されてしまえば、それだけ“回収不能のリスク”が高まるからです。

つまり現実的に言えば、「保証人や連帯保証人の解除は難しい」という事になります。

連帯保証人や保証人の契約解除は、「合意解約」になる

保証人や連帯保証人に限らず、契約の解除には、大別して3つの種類があります。

解約の根拠が法律によって定められている、「法定解約」

契約(約定)によって解除権留保が定められている、「約定解約」

お互いの話し合いによって契約を解除する「合意解約」

借金などの連帯保証人や保証人の場合、3つめの「合意解約」となるのが通常です。
そのため、債権者も含めた合意がなければ、解除が難しいと言えるでしょう。

保証人・連帯保証人・根保証解除の判例

実際には、保証人・連帯保証人などの解除については、裁判で争われた事例もあり、判例が示されています。
八田企業総合法律事務所の解説から、抜粋してご紹介します。(http://www.kinyu-bengoshi.com/qahoshou7.html)

保証後に債務者の資産状態が著しく悪化したような場合には、相当の期間が経過したか否かにかかわらず、保証人は直ちに解約することができるとしました(大審院昭和9年2月27日判決)。

「主債務者に対する信頼が害されるに至った等保証人として解約申入れをするにつき相当の理由がある場合は、右解約により相手方が信義則上看過しえない損害をこうむるとかの特段の事情がある場合を除き、一方的にこれを解約しうる」(最高裁昭和39年12月18日判決)

包括根保証契約については、判例上、保証後相当の期間が経過したときは将来に向かって契約を解約することができるとされています(大審院昭和7年12月17日判決)

※出典はいずれも下記より
金融機関取引の基本-保証編 八田企業総合法律事務所

ちなみに、最後の事例で出てきた「包括根保証(根保証)」というのは、企業の借入などで用いられる保証の形態です。保証期間や保証限度額の定めがない保証人契約…とされていましたが、平成16年民法改正により改定されています。

今回の記事では、私たちにも当てはまる「個人の借金」「個人の保証人・連帯保証人」について解説していくので、企業の借入等については説明を割愛していきます。

ともかく、裁判によって「保証人・連帯保証人の解除が認められる」というケースは、過去に実際にあったことがわかりました。また判例により、そうした判断基準も積み上げられています。

とはいえ実際には、日本の法律制度においては、判例は法的判断の大きな根拠にはなりますが、実定法と同様の法的拘束力は持ちません。
(※判例が強い法的拘束力を持つ国もあります。また日本国においても、民事訴訟法第318条により上告の理由として認められること等から、判例に法的拘束力があるとする学説もありますが、専門家の間でも諸説あります。)

つまり、「過去の裁判で、このような事情で保証人の解除が認められているから、私の保証人契約も解除できるはず!」という主張は、ただちに認められるわけではないのです。それを認めさせるために、裁判を起こす…といった事が必要になるでしょう。

保証人や連帯保証人を辞めたい・解除したい場合は?

保証人や連帯保証人などを解除したい・辞めたい場合は、裁判を起こす覚悟も必要になるでしょう。

いろいろな難しさもあるので、まずは法テラスや弁護士会・司法書士会の相談窓口など、信頼できる法律専門家にご相談下さい。

★連帯保証人や保証人の契約解除よりも、債務整理のほうが現実的なことも

「保証人や連帯保証人になった借金の取り立てを受けている」

といった場合など、債務整理のほうが現実的な場合もあります。もう取り立てを受けるところまで来てしまっていますから、今から保証契約解除を主張しても、認められないでしょう。

ですのでこうした場合は、やはり“債務整理による返済の減額・免除”を第一として、検討を進めたほうが良いと思います。
具体的な検討に役立つ、返済減額シミュレーターなどを次の記事でご案内しています。

借金減額診断、借金減額シミュレーターで返済がどれだけ減るか調べよう!

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