任意整理や債務整理・自己破産と過払い金ビジネス

投稿日:2018年11月24日 更新日:

★この記事を読んでわかること
(約5分で読めます)
  • 過払い金ビジネスとは?何が問題になっているのか
  • 過払い金返還請求は悪いことではない?
  • 過払い金がなくても債務整理できる弁護士・司法書士は?

この記事では、任意整理や債務整理・自己破産と、「過払い金ビジネス」について解説します。
少し専門的なテーマになりますが、

「借金やローンの返済を解消したい」
「返済を減額・免除してほしい」
「取り立てを止めてほしい」
「一括返済を請求されているが、分割にしたい」
「滞納の遅延損害金をまけて欲しい」

…など、返済トラブルを解決したい時、大変な失敗をしないためにも、重要な話となります。
債務整理と過払い金返還請求について、予備知識も少し必要になるので、順番に解説していきます。

債務整理と過払い金返還請求

まず、「債務整理」と「過払い金返還請求」について解説します。
それぞれ、どんな手続きなのか、簡単に見てみましょう。
すでにご存じの方は、ここは読み飛ばして頂いても大丈夫です。

債務整理とは

債務整理とは、ローンやクレジットカード、奨学金など、「お金が払えない」「返せない」となった時に、その返済を減額・分割したり、免除できる手続きです。
「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」という種類があり、それぞれ効果や費用などが異なってきます。

過払い金返還請求とは

そして、この債務整理によく似た手続きとして、「過払い金返還請求」があります。
これは一言で言えば、“払い過ぎた金利を取り戻す”手続きです。
2010年以前の、貸金業者やカード会社などへの借金返済には、グレーゾーン金利によって、利息の払い過ぎが生じている場合があります。この「払い過ぎた分」を取り戻す手続きです。

債務整理と過払い金返還請求の違い

「過払い金返還請求」は、債務整理の手続きと合わせて、一緒に行うこともできます。
場合によっては、債務整理で返済を減額し、さらに過払い金を取り戻して、残りの返済を相殺して大幅減額できることもあります。一方、完済後であれば、「過払い金返還請求のみを行う」こともできます。

どちらも

借金など“債務”に関するもの
返済中の債務を、大幅に減らすこともできる

…といった事から、違いがわかりにくいのですが、実際には大きく異なる手続きとなります。

債務整理と過払い金返還請求の違い
  債務整理 過払い金返還請求
利用条件 返済や支払いに困っていること 過払い金があること
・2010年以前
・サラ金などの借入れ
・グレーゾーン金利
…など、複数条件あり
目的 ・返済を解消する
・生活を立て直す
・過払い金を取り戻す
・取り戻した過払い金で、現在の返済を減らす
返済中か
完済後か
返済中のみ可能 返済中も完済後も可能
誰に頼むか 弁護士・司法書士に依頼して行う 弁護士・司法書士に依頼して行う

「どうしても返済できなくなってしまった」
「返済に追われて、生活できない」
「厳しい取り立てを止めて欲しい」

こうした時に解決できるのが、債務整理です。
過払い金があるかどうかに関係なく、債務整理は利用できます。

一方で、過払い金返還請求は、「払い過ぎた利息を取り戻す」ものです。「返済に困っているかどうか」といった返済の事情は、過払い金返還請求には関係がありません。

ただし、返済中の借金の過払い金返還請求については、現実的には、債務整理を通して行うことになります。

いろいろと複雑な仕組みですが、ここで重要になるのは、次の一点です。

“債務整理は、返済に困っている事情があれば、過払い金があるかどうかに関係なく利用できる(返済を減額・免除できる)”

という事です。

債務整理をしたいのに、弁護士・司法書士に断られた…理由は「過払い金が無いから」?

債務整理は、過払い金の有無に関係なく、返済解決のために利用できる制度です。

ところが一時期、

「債務整理をしようと弁護士・司法書士に相談したら、“過払い金が無いからできない”と断られてしまった」

というケースが出てくるようになりました。

本来ならば、過払い金が無くても、債務整理は可能です。また、過払い金があるかどうかに関係なく、債務整理をするべき人も大勢います。それなのに、「過払い金が無いから」と債務整理を断わる弁護士や司法書士は、適切とは言えません。

こうした、一部の弁護士・司法書士による不適切な対応が、“過払い金問題”・“過払い金ビジネス”という問題になっています。

利益が目的?救われるべき人が救われない“過払い金ビジネス”の問題点

「過払い金が無いから」と債務整理を断る、一部の弁護士・司法書士。こうした“過払い金ビジネス”の背景には、“過払い金返還請求は、利益を得やすい”という事情もあるようです。

過払い事件は、実質的にはサラ金のボロ儲け利益の上前をはねる事件であり、何よりも、数年前から相次いだサラ金利用者側に有利な最高裁判決のお陰で、この数年前から10件の内8~9件は、殆ど事務員任せで間に合い、弁護士は殆ど関与せずとも、多額の報酬が取れる、極めて効率的な、弁護士にとっておいしい事件となっていました。

出典:弁護士界の憂鬱-”ポスト過払いバブル”はなんでもあり雑感4 小松亀一法律事務所 link archive

「極めて効率的な、弁護士にとってはおいしい事件」となってしまった、過払い金返還請求。

そのため、“過払い金を取り戻せる案件のみ”を受任することで、効率よく利益を上げよう…と考える弁護士や司法書士が、出てくるようになってしまったのです。

過払い金ビジネスの問題点

過払い金ビジネスの一番の問題点は、「過払い金がなくても、債務整理が必要な人が、救済されない」という点です。

先ほども解説しましたが、債務整理と過払い金は、本来は別々のもの。過払い金の有無に関係なく、債務整理による借金問題などの解決は利用できます。

それにも関わらず、「過払い金が無いから」と債務整理を断られてしまうと、本来、返済に困っていて債務整理をするべき人が、債務整理できないことになってしまいます。

★“過払い金ビジネス”ではない弁護士・司法書士に、債務整理の無料相談を

借金問題や取り立て被害、滞納・未払いなどのトラブルを抱えている場合、“過払い金ビジネス”ではない弁護士・司法書士に相談したほうが良いでしょう。

次のページで、“過払い金目当て”・“利益目当て”だけでない、信頼できる弁護士・司法書士の無料相談窓口をまとめています。
お困りの方は、こちらも是非ご覧ください。

債務整理に強い弁護士・司法書士事務所 一覧と解説

“過払い金返還請求”自体は悪ではない…なにが不適切とされるのか

ここまで“過払い金ビジネス”の問題点を指摘してきましたが、実際のところ、“過払い金返還請求そのもの”は、決して悪ではありません。

グレーゾーン金利で、払い過ぎた利息がある
過払い金を取り戻したい

…という方にとっては、返済中・完済後を問わず、有益なものと言って良いでしょう。

あくまでも問題は、“「払い金が無いから」という理由で、本来できるはずの債務整理を断る、一部の弁護士・司法書士”にあります。こうした不適切な振る舞いが、問題となっているわけです。

資格のない事務員に処理させる「非弁行為」も

過払い金ビジネスには、「非弁行為」の問題もあります。
一部の弁護士事務所・司法書士事務所では、“資格を持たない、事務員に事件処理をさせる”といった行為も行われていたようです。こうした行為は、「非弁行為」と呼ばれる、違法なやり方になります。

債務整理や過払い金返還請求は、弁護士、および「簡裁訴訟代理認定」を持った司法書士の独占業務となっており、こうした資格を持たない人は、事件を処理(解決)することが認められていません。

しかし、過払い金返還請求だけであれば、比較的かんたんに処理できてしまう事もあり、弁護士・司法書士の資格を持たない事務スタッフに行わせる「非弁行為」も、一部の法律事務所・法務事務所で行われているようです。

こうした悪質な行いをする「悪徳弁護士」「悪徳司法書士」について、次の記事で詳しくまとめています。

“過払い金バブル”で問われた、弁護士・司法書士の使命と経営問題

過払い金ビジネスに手を染める弁護士・司法書士は、そのほとんどが「利益目的」「効率よく稼ぐため」と言われています。

ここには、「弁護士・司法書士の、法律家としての社会的使命」と、「現実的なビジネスとしての問題」、二つの側面のせめぎ合いがあるとも見られています。

過払い金ビジネスに対する批判の中には、

「社会的な使命を帯びた法律家が、利益のために、債務整理で救済されるべき人を見捨てている」

といった声もあります。
確かに、弁護士や司法書士は、「法の下の平等」「人権擁護」「社会正義」などを実現する、大きな社会的使命が課せられています。

【弁護士法 第一条】 弁護士の使命
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。

出典:弁護士法 link archive

【司法書士倫理規定 第一条】 使命の自覚
第1条 司法書士は、その使命が、国民の権利の擁護と公正な社会の実現にあることを自覚し、その達成に努める。

出典:司法書士倫理規定 link archive

そして債務整理は、“国によって認められ、法律で定められた、日本国民の正当な権利”です。「返済が苦しくなったら、減額・免除できる権利」と言って良いでしょう。そして、これには「過払い金があるかどうか」は、まったく関係ありません。

すなわち、「過払い金が無いからといって、債務整理を断る」ことは、弁護士・司法書士の使命を考えると、適切ではない…と言うこともできます。

一方で、「利益目的」「効率よく稼ぐ」ことを重視せざるおえない、弁護士・司法書士の事情についても、さまざまな指摘があります。

  • 弁護士や司法書士も、ある種のビジネスなので、利益を優先しないとやっていけない
  • 社会的な使命は確かにあるが、その役割を果たしていくためにも、利益を上げないといけない
  • 平成11年の司法制度改革によって、弁護士や司法書士の数が増えすぎてしまい、競争が厳しくなっている

…などの指摘です。

「利益ではなく、社会のために働く使命」
「利益を重視しなければ、活動の継続が難しい現実」

この二律背反とも言える厳しい事情が、“過払い金バブル”によって浮き彫りになったとも言えるでしょう。

弁護士会や司法書士会の対応は?過払い金ビジネス”への対策の取り組み

利益重視の“過払い金ビジネス”に走らなければ、活動を維持できない…。
そんな厳しい事情を抱えた弁護士・司法書士もいることに対しては、一定の理解も必要かと思います。

ですが、だからといって、「債務整理できる人・債務整理するべき人」を、過払い金が無いからと見捨てることは、法の下の平等に反すると言わざるおえません。

【日本国憲法 第14条第1項】
第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

出典:日本国憲法-国立国会図書館 link archive

弁護士会や司法書士会も、やはり“過払い金ビジネス”の姿勢については、ある程度、問題視している様子です。

たとえば、日本弁護士会連合会は、平成23年に、「債務整理事件における直接面談義務」を定めました。この経緯について、弁護士法人心(こころ)の松山悠弁護士は、次のように解説しています。

(…略…)事務員などを使い,電話のみで債務整理事件を受任し,不適切な事案処理を繰り返すような弁護士が一定数いました。
このような不適切な事案処理は,違法すれすれと評価されるものではありましたが,違法とまではいえず,不適切な事案処理をする弁護士を処分することが容易ではなかったようです。
(…略…)
そこで,平成23年に,債務整理事件において弁護士による直接面談義務が規定されることになりました。

出典:債務整理における直接面談義務 - 弁護士 松山悠 link archive

「違法とまでは言えないが、不適切」と判断され、これを何とかするためにも、弁護士の直接面談義務を定めた…といった背景が読み取れます。

こうした「直接面談義務」について、次の記事でも詳しく解説していきます。

過払い金が無くても、債務整理はできる!適切な弁護士・司法書士に無料相談を

最後に、繰り返しになりますが、「過払い金が無くても、債務整理(返済の減額・免除)は可能」という事は、重ねて強調しておきたいと思います。

もしもあなたが、弁護士や司法書士に債務整理の相談をして、「過払い金が無いから」と依頼を断られたとしても、諦める必要はありません。その弁護士・司法書士が、単に“過払い金ビジネス”だったという事だけです。

過払い金ビジネスではなく、債務整理に真剣に取り組む弁護士・司法書士も、世の中には大勢います。

そうした中から、特に相談しやすい弁護士・司法書士を、次の記事にまとめています。相談無料、24時間対応、全国対応など、すぐに相談しやすい窓口です。

債務整理を検討中の方は、こちらも是非、お役立て下さい。

債務整理に強い弁護士・司法書士事務所 一覧と解説

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